「市場烈々―13億人に売りまくった「鉄の女」の物語」董 明珠
2010/09/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
■中国No1エアコンブランドであり、
ダイキンと提携している格力電器。
その格力の成長の軌跡を
現在の総裁である董(どん)さんが語る一冊です。
■董さんは中国エアコン市場において、
はじめて代金先払い方式を確立した人で、
これはダイキンも参考にしているようです。
また、信頼できるパートナー作り、社内管理の強化、
品質・サービス向上、安易な値下げを止めるなどにより、
格力を中国No1エアコンブランドに育てており、
中国市場の基本を知るために良い本だと思います。
・入社間もない頃、一人の悪徳債務者から売掛金を
回収するために丸々40日間を費やした。・・・
現在、当社には売掛金は一銭もない。(p15)
■驚いたというか、再認識したのは、
中国市場が、日本人にとってだけでなく、
中国人にとっても厳しい市場であるということです。
営業部員は代金をネコバナするし、
販売店はお金を払わない。
さらに売り場では、過当競争から激しいダンピングが
行われているのです。
どうりで、普通の日本の会社が中国に行けば、
大損して丸裸で帰ってくるわけです。
・取引先が代金を支払ったのに商品が出荷されないケースや、
逆に出荷したのに請求書が見当たらないという事態が、
私が営業部員のときにも日常茶飯事だった(p154)
■このように中国人自身がなかなか信頼する人を
見つけにくい中国という国家を考えると、
中国人もたいへんだなと思いました。
商売でも、外交でも駆け引き、騙し、誹謗中傷など
いろいろ仕掛けてくるのが当たり前のようです。
比較的自分さえよければ良い、という人の比率が
多いようですので、リーダーには
注意と決意が必要なのでしょう。
董さん、良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・彼らはどうやら勝手に自分の口座を開設して、
売れたエアコンの代金をその口座に入金していたようだ。・・・
格力の立ち上げ時期には、営業部員に
かなり自由な活動を許してきた(p169)
・立て直しをしようとすれば、
必ず抵抗勢力が登場する。・・・
営業部門を立て直したら、
関係部門の問題が明るみに出てきたので、
あいつは余計なことをやってくれる、
と思うようになったらしい。(p173)
・人間というものは、プレッシャーをかけられて、
ようやく自分の頭で考え始め、自分で条件を創り出し、
早く成長する。(p178)
・70年代、裕福な家庭を象徴する
「三種の神器」は、自転車、時計、ミシンだった。
80年代はカラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機となり、
90年代にはAV機器、電話機、エアコンとされた(p74)
・ちっぽけな日本が何を頼りにこの大国家たる中国を
侮ることができるのか。
会社に対して責任を負うことなく
出勤して給料をもらい、少しばかり権限があれば
すぐ甘い汁を吸おうとするようでは、
我々が民族を盛り立て、民族の勢いを
盛んにすることなどできるだろうか(p162)
日経BP社
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
■著者経歴・・・董明珠(どん・みんじゅ)
格力電器有限公司総裁。1954年生まれ。
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