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「マリア・カラス コンクール」中丸 三千繪

2009/04/19公開 更新
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マリア・カラス・コンクール―スカラ座への道

【私の評価】★★★☆☆(72点)


■イタリアにおけるオペラ最高峰のコンクール。
 20世紀最高のソプラノ歌手といわれるマリア・カラスの
 名を冠した「マリア・カラス・コンクール」が、
 3年間に一度、開催されています。


 1990年、その最終選考の会場に
 一人の日本人が立っていました。


 中丸 三千繪は、400人もの参加者の中から、
 予選を戦い、最終選考の12名に選ばれたのです。


■日本であれば美空ひばりコンクールのような
 イタリアの国民的なお祭りであり、
 イタリア人によるイタリア人のためのコンクールです。


 「マリア・カラス・コンクール」は
 過去に3回開催されましたが、
 1回目、2回目の優勝者はイタリア人、
 3回目は該当なしでした。


 中丸 三千繪は、優勝がいかに難しいのか、
 いかに不可能に近いことなのか
 十分理解していました。


  ・フィレンツェで生まれたオペラは、
   ローマへ伝わり、その後、
   十七世紀にヴェネツィアに伝わって、
   ここで民衆の楽しみとして開花しました。(p35)


■1987年、オペラを本格的に勉強するために
 イタリア・ミラノに単身で渡り、
 先生を訪ね、レッスンを受け続けました。


 毎日のレッスンで、背中は筋肉痛、
 横隔膜を激しく使うため、内臓が興奮して、
 冷たいものを食べないと眠れないほど。


 すべてを歌にささげるような、
 生活を送ってきたのです。


  ・往復五時間かけてモデナに行き、ポーラのレッスンを受け、
   ミラノにもどって晩にはシミオナートのレッスン、そして
   プールで泳ぎ、近くの公園をジョギングする・・・
   友人にも会わず、ひたすら音楽だけの生活です。・・・
   狂ったように練習に明け暮れました。(p146)


■「マリア・カラス・コンクール」の最終選考では、
 気持ちよく歌えた満足感と、優勝できるのだろうかという
 複雑な気持ちで発表を待ちました。


 その結果は・・・マリア・カラス賞(優勝)!!


■やはり才能も大切ですが、
 努力する才能も必要なのだなと
 感じさせてくれる一冊でした。

 本の評価としては、★3つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・方法論として十個のタイプの表現方法が
   自分の中にあるとすると、
   その十個の表現をすべて完璧に
   できるように練習しておくのです。
   それというのは、本番で歌っている間に、
   突然、別の表現方法が浮かんできたりする(p47)


  ・先生はよくいわれたものです。
   「あなたはどんなものでも歌える。
   あなたは思いどおり歌えるのだから、
   そんなに心配しないで。できるのだから大丈夫・・・」
   私は先生の言葉を呪文のように復唱しました。(p54)


  ・ウィーン国立歌劇場で「椿姫」のリハーサルの最中に
   マリア・カラスがカラヤンに向かって、
   「だったら、『椿姫』はあなたがお歌いになれば」
   といってその場を立ち去り、
   二度と劇場にもどってこなかった(p244)


▼引用は、この本からです。
マリア・カラス・コンクール―スカラ座への道 (講談社文庫)
中丸 三千繪
講談社
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4 世界の歌姫 その誕生秘話
5 世界の歌姫と呼ばれるまでの、中丸三千絵さんの半生から、夢を持つことの大切さ学びました!
5 歌に生きる

【私の評価】★★★☆☆(72点)



■著者経歴・・・中丸 三千繪(なかまる みちえ)

 1960年生まれ。
 桐朋学園大学声楽科へ進み、1985年同大学研究科修了。
 在学中、ジュリアード音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院に留学。
 1986年小澤征爾指揮/日本フィルでデビュー。
 1987年よりミラノ在住。
 1988年ルチアーノ・パヴァロッティ・コンクールで優勝。
 1989年フランチェスコ・パオロ・ネリア・コンクール優勝。
 1990年第四回マリア・カラス国際コンクール優勝。


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