「汗出せ、知恵出せ、もっと働け!」丹羽 宇一郎
2008/02/06|

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【私の評価】★★★★★(90点)
■世の中には、現実を直視できる人が、
ごくわずか存在します。
私には、丹羽さんがその人だと感じました。
丹羽さんに見えるのは、何もない日本です。
食料なし、エネルギーなし、水なし・・・
日本にあるのは、「日本人」と
その勤勉さに裏打ちされた
「技術」だけなのです。
・日本人よ、目を醒ませ。日本には日本人が
食っていけるだけの天然資源はないのだぞ。
あなたがたや私たちが稼ぐよりほか、
これを手に入れる術はないのだぞ(p2)
■日本の法制度を含めた硬直性も
問題です。法令遵守が国を滅ぼす・・・
あまりに官僚と法律に縛られた民間企業は、
日本では自由に活動ができないのです。
・武田薬品は、アメリカに研究所を移して、
新薬の開発をしています。なぜなら、
日本では規制が厳しすぎて、
開発ができないからです・・・
日本は確実に取り残されるでしょう。(p26)
■そして、税率も高い。
・たとえば法人税です。・・・
同じ一兆円儲けても・・・
実効税率は韓国27.5パーセント、
日本は約40パーセントですから、
一千億円余り違うのです。(p168)
■年金をくれ、道路を作れ、医者を増やせ・・・
と要求ばかりの日本人ですが、
そうした日本人を叱ってくれる一冊でした。
文句を言う前に、自分で稼いで税金を
納めればいいんですよ、
と現実を教えてくれる一冊です。
★5つとしました。
─────────────────
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・1973年にアメリカで大豆の輸出が禁止になったとき・・・
もうアメリカに頼っていてはダメだ、と思いました。(p20)
・アメリカでは、(臓器)移植希望者が長蛇の列をつくっていますが、
日本人はその行列に、大金を払って割り込んでいます。・・・
日本人は金の力で何でもやれると思っているのかと、ものすごく
評判が悪いんです。(p25)
・営業は、未知数のことをやるわけですから、
失敗もする。管理部門は文句を言うだけです。
しかし、文句を言うことが
実行力であるかのように、
間違って解釈されてしまうケースがきわめて多い・・
管理タイプの人がどんどん昇進していけば、
うちは管理会社になってしまうでしょう。(p108)
・飲み屋のお姉さんに給料の半分を払う。
独身寮に三割ぐらい払って、
あとのニ割は本代です・・
本には相当なお金をつぎ込みました。(p58)
・省庁間の書類の字句の修正、政治家への
「ご説明」、「ご進講」、
国会の資料作りに忙殺されて、
皆さんの先輩方は、何のために
公務員になったのかわからないような
仕事をしています。(p126)
▼引用は、この本からです。
文芸春秋
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【私の評価】★★★★★(90点)
■著者紹介・・・丹羽 宇一郎(にわ ういちろう)
1939年生まれ。62年大学卒業後、伊藤忠商事入社。
一貫して食料畑を歩む。68年から9年間アメリカ駐在。
98年に社長就任。99年に不良資産を一括処理。
社長任期6年の公約どおり04年から会長に退く。
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丹羽さんの本は初めて読みましたが、
本当に真っ当でごもっともで説得力がありますね。
私もやらねば!と強く思いました。
氏のいろんな講演集なのですが、
氏の主張があまりにも首尾一貫しているため、
同じことばっかりおっしゃってる感もありましたが、
一読すべき本だと思いました。
「人は仕事で磨かれる」で感動し、新作も早速チェックしました。
期待を裏切らない内容で、座右の一冊にしたいと思いました。
我々日本人は、やはり「危機感」が足りないと改めて痛感しました。
最近では中国産ギョーザの問題も話題になっていますが、
「食の安全」と「自給率」について真剣に考える必要性を感じました。
当然ながら、「人づくり」が非常に大事ですね。