「私の財産告白」本多 静六
2008/01/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(93点)
要約と感想レビュー
天引き貯蓄して種銭を作る
大学教授として給与取りながら、巨万の富を築き、退官後はその財産のほとんどを寄付した本多静六氏のお金の考え方をまとめた一冊です。 私は、日本経営合理化協会の「人生と財産」で既読でしたが、たった1000円で再読できるのはありがたい。
まず、お金を増やすためには、核となるお金を貯める必要があります。その手段は、天引き貯蓄とアルバイトです。
著者は天引き貯蓄の理想として、自分の確実に得られる年収を四分割し、四分の一分で生活し、四分の一部を貯金し、四分の一分を交際修養費に当て、残りの四分の一分を社会有用の事業に投資するとしています。年収1000万円なら500万円で生活、交際費、勉学費用とし、500万円は貯蓄・投資するということです。実際、収入の半分で生活するのは、よほどの覚悟が必要でしょう。
また、著者は大学教授のアルバイトとして、ライターとして文章を書いていました。ただし、アルバイトといっても本業に良い影響を与えるものでなくてはなりません。文章を書くということは、本業の論文を書くための訓練という意味合いがあったのです。
私は確信をもって人にすすめてきた。どんなに辛い思いをしても、まず千円をお貯めなさい・・・千円溜まれば、たちまち五千円貯まり、五千円貯まれば間もなく一万円にはいとやすいことである。(p37)
確実な投資を行う
そして、その貯まったお金を投資していきます。それはFXのような投機ではなく、より確実な投資でなくてはなりません。好景気のときには貯蓄をし、お金が不足する不景気のときにこそ思い切った投資をすることが肝要です。(今が日本株投資のラストチャンスかも)本多先生も財産を成したのは、放置されていた埼玉県秩父の原生林を購入し、その価格が上昇したことで大きな資産を築いたのです。
あくまで、お金というものは、本業に打ち込む自分の生活を保障するものであり、お金儲けが人生の目的ではたりえません。自分の人生をかけるべきものを見つけた人こそが、幸せといえるのでしょう。ですから、本業を第一とし、本業のプロフェッショナルとして成果を出すのが王道なのです。
平凡人はいついかなる場合も本業第一たるべきこと。本業専一たるべきこと。一つのことに全力を集中して押しすすむべきこと。これが平凡人にして、非凡人にも負けず、天才にも負けず、それらに伍してよく成功をかち得る唯一の道である。(p206)
一意専心努力で花開く
著者は努力が大切であるとしています。つまり、自分の才能を開くのは、努力なのです。自分の職業についてプロとして勉強し、自分の能力を高める努力をするのです。あらゆる職業はあらゆる芸術と等しく、はじめは苦労しますが、一意専心努力するにおいては、早晩必ずその仕事に面白みが生まれてくるというのです。
お金の付き合い方と、仕事を通じた社会貢献が柱となっています。まさに「先哲の知恵」とは、このような本のことを言うのでしょう。文句なく★5つとしました。
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この本で私が共感した名言
・投資戦に必ず勝利を収めようと思う人は、何時も、静かに景気の循環を洞察して、好景気時代には勤倹貯蓄を、不景気時代には思い切った投資を、時機を逸せず巧みに繰り返すよう私はおすすめする。(p52)
・貯金とアルバイトで雪達磨の芯を作る・・・新しく積極的な利殖法を考えることである。それは断じて「投機」ではない。・・・あくまでも堅実な「投資」でなければならぬのだ。(p47)
【私の評価】★★★★★(93点)
目次
私の財産告白
私の体験社会学
著者経歴
本多 静六(ほんだ せいろく)・・・1866年生まれ。苦学の末、1884年に東京山林学校に入学。ドイツに私費留学。1892年東京農科大学助教授。1900年教授。4分の1天引き貯金と投資で莫大な財産を作る。1927年定年退官時に、全財産を匿名で寄付。370冊の著書を残す。1952年逝去。85歳。
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