「続・志のみ持参―生き方の一流をめざそう」上甲 晃
2006/07/17公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(94点)
要約と感想レビュー
松下幸之助の教育
十四年間、松下幸之助とともに松下政経塾で仕事をしてきた上甲 晃氏が、「松下幸之助に学ぶ 経営者・幹部の経営心得」とのテーマで講演した内容をまとめた一冊です。松下幸之助のエピソードが圧巻で、電車の中で読み始め、そのまま自宅まで、歩きながら読みきりました。私はリュックサックにパソコンを入れて持ち運びしているため、私の歩きながら読む姿は、きっと二宮尊徳のようだったでしょう。
松下電器からは多くの優秀な経営者が輩出されていますが、これはすべて松下幸之助の教育によるものです。松下幸之助と一緒に仕事をするなかで、多くの人が成長していったのであり、著者もその一人ということになります。
松下電器で松下幸之助から学んだ最高幹部の人たちの特徴は、第一に朝が早いこと、そして、とにかくしつこいと言うこと、さらに、小さなことにうるさいと言う特徴があったという。
君な、本当に人を育てようと思ったら、育てる君が二十四時間、塾生と共に生活する、それぐらいの覚悟がなかったら、人なんか育てられんぞ(松下幸之助)(p54)
安定した生活が手に入ると成長が止まる
一番、身につまされたのは、著者が「小成功病」と呼ぶものです。ちょっと成功してしまい安定した生活が手に入ると、成長が止まってしまうというものです。症状としては、天狗になる、本業に身が入らなくなるということです。確かに生活が安定すると、そこで満足してしまうというのは人間の性なのかもしれません。
例えば芸能界で、ちょっと売れて年収1200万円から1500万円になると、九割のタレントはそこで年収が増えなくなるという。天狗になり、芸を学ぶ努力をしなくなるというのです。
「小成功病」という病気にかかるのです・・・第一の症状は、途端に天狗になる、急に偉そうにし始めると言うのですね。・・・二番目の症状は、「本業に身が入らなくなる」ことだそうです。(p31)
壁をやぶるのは志である
しかし、その小成功の壁をやぶるのは、「志」であるといいます。自分の人生の小さい目標だけでなく、より大きいものを目標にすることで、本当の成功というものが見えてくるのです。松下幸之助の口癖は「常に信念を持たないかん」だったという。「固い信念を持たないかん。信念がなければなるもんもならん」という精神的なことを重要視しているわけです。
もともと私は松下幸之助のエピソードには弱いのですが、私を歩きながら本を読む変なオジサンにさせてしまったほどの一冊ということで★5つとします。
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この本で私が共感した名言
・小島直記先生は、「志には三つの条件がある」と教える。三つとはまず人生のテーマを持つこと、そして、生きる原理原則を持つこと、最後に、言行一致であった。(p2)
・「使い終わった後の部屋を見たら、その人の人間性がわかる」とホテルの支配人さんは言う。その支配人さんは、こうも言いました。「始末ぐせの悪い人は決して偉くならない」と。(p74)
・宴会を開くときに、「九時まで貸してください」とお店と約束したとします。そうしたら、「必ず十分前に終わる」ということを励行したのです。・・・みんなで宴会場の片づけをするのです。(p78)
私の言う大成功というのは、もっと金持ちになるということではありません。私の好きな宮沢賢治に、「世界が全体幸せにならない限り、個人の幸せはあり得ない」という言葉があります。(p35)
【私の評価】★★★★★(94点)
目次
1 「大成功者」への道を歩む
2 日々の生活が教育となる
3 すべては自分の中にある
4 「自修自得」と「万事研修」
5 青年塾と「知恵の人づくり」
著者経歴
上甲 晃・・・1941年生まれ。大学卒業後、松下電器産業入社。1981年松下政経塾に入職。1985年同塾塾頭。1988年同塾理事・評議員。1994年から同塾常務理事・副塾長。1996年松下電器産業を退職後、(有)志ネットワーク社設立。「青年塾」を全国5ケ所で展開。
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