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「志のみ持参―松下政経塾十三年の実践録」上甲 晃

2006/05/26公開 更新
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【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー

●本日は、私の目を覚ましてくれた一冊です。


 松下政経塾といえば、多くの政治家、
 実業家を生み出しているブランドともいえる
 私塾ですが、初期の運営では
 とてつもない問題ばかりだったようです。


●昭和五十五年に松下政経塾を開塾したとき、
 九百名もの応募者があり、
 そのなかから二十三名が選ばれます。


 その選りすぐられた二十三名に対し
 松下幸之助は、塾生に期待する
 話をしました。


 そしてその話の最後に、松下幸之助は
 「・・・二十一世紀の世界、日本を担って立つために、
 明日から毎朝しっかりと努力してほしいことがある」(p73)
 と言ったのです。


 塾生は身を乗り出して、次の言葉を待っていました。
 すると松下幸之助は次のように言いました。
 「明日から、朝、早う起きて、しっかり掃除してくれ」(p74)


●松下政経塾の初年度には、
 企業から来た塾生は
 ほとんどが辞めました。


 その原因が、掃除なのです。
 経営の神様から、経営のコツを
 教えてもらおうと来てみたら、
 毎朝掃除をちゃんとしなさいと
 指導されるわけです。


 塾生のなかには、
 次のようなことを言う人も
 いたようです。


 「みんなで相談した結果、みんなが掃除は
 やめとこうかというふうに決まったら、
 これはやめていいでしょうか」(p84)


 「それは塾長の横暴ではありませんか」(p85)


●松下幸之助は、掃除もちゃんとできない人が
 日本の政治の掃除ができるはずがないと
 考えていたのでしょう。


 一事が万事であるということです。


 実際、松下幸之助は、
 こうした塾生に対し、
 このように言っています。


・相談して変えることはものによる。・・・この掃除は、みんなで相談をして、相談した結果やるとかやめるとかいうもんではない。これは政経塾の方針である。この方針に合わなかったら、君が塾をやめてくれ(p85)


●八十五歳も超えた松下幸之助は、
 こいつらは青二才やなと思ったでしょうが、
 諦めることなく説得しているのです。


 松下幸之助は、何事も、
 成功するためには自らの意志で
 継続することが大切であることを
 早朝の掃除で伝えたかったのでしょう。


 この本は、まさに松下幸之助の
 成功の秘密が伝わってくる一冊です。
 ★5つとしました。


この本で私が共感した名言

・お歳暮にナショナルラジオを贈るというときに・・・カタログを見せながら言ったら、ひとこと言われました。「君、自分で使ったんか」と。(p182)


・まず最初に目に見えるものをしっかり磨きなさい。それを一生懸命やっているうちに、気がついたら目に見えない心も磨かれていますよ(p147)


▼引用は下記の書籍からです。


【私の評価】★★★★★(93点)



著者経歴

 上甲 晃・・・1941年生まれ。大学卒業後、松下電器産業入社。1981年松下政経塾に入職。1985年同塾塾頭。1988年同塾理事・評議員。1994年から同塾常務理事・副塾長。1996年松下電器産業を退職後、(有)志ネットワーク社設立。「青年塾」を全国5ケ所で展開。


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