「仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法」内田 和成
2006/05/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(76点)
要約と感想レビュー
セブン・イレブンなどが得意とする仮説思考についてコンサルティング会社のトップが解説してくれる一冊です。短期間に成果を求められるコンサルタントは、仮説を立てて仕事を進めることが求められているのでしょう。
コンサルタント会社に入社すると、まず自分の仮説を持つことを叩き込まれるというのです。仕事としてコンサルタントは、限られた時間の中で成果を出さなくてはならない仕事だからでしょう。
・コンサルタントは、「自分の仮説をもて」ということを 厳しく叩き込まれる。(p23)
仕事の進め方には、データを集めてそれを分析する方法と、仮説を立て、仮説を実証していく方法があります。著者は、データを集めて分析する方法は、死に向かう道であるとしています。労多くて、成果なしということです。
もちろん官僚的な会社では、仮説思考は批判される可能性があります。コンサルタントはこの業界をよく知らないではないか、というもっともな意見です。しかし、そこで妥協してしまうと、作業量だけが増えて、何も得られない、本質を発見できないで終わる可能性が高くなってしまうのでしょう。
・結論から考えるやり方には、自分の心の気持ち悪さだけでなく、他人から反論されたり批判されたりする気持ち悪さがある。・・・しかし、網羅思考は死への道でもある(p224)
では、仮説はどのようにして作られるかといえば、それは経験であるといいます。仮説をたて、小さく実験し、データを蓄積していくのです。だいたいダメな会社というのは同じパターンでダメになっているため似ているのかもしれません。「経験」ですか・・・答えのようで答えでない回答でした。
私は、松下幸之助の「学問や学歴だけで塩の味を知ったような気になってしまうのでなく、実際になめて体験し、塩の味を知ることが大切である」という言葉を思い出しました。大きなストーリーを作れ!両極端に振ってみろ!など思考法のヒントも含まれており、一読の価値がある一冊です。
★3つとしました。
この本で私が共感した名言
・よい仮説は経験に裏打ちされた直感から生まれる(p194)
・免疫学の世界で国際的に有名な石坂公成先生(ラホイヤ・アレルギー免疫研究所名誉所長)が、アメリカのカルフォルニア工科大学科学部研究員だったころ、恩師であるダン・キャンベル先生から「実験する前に論文を書け」といわれ驚いたそうだ(p43)
・大きなストーリー、すなわち幹の話が描けると、仕事もスムーズに進むことが多い。たとえば、・・・我が社はキャッシュフロー経営をしていこう」などと大きなストーリーをつるくほうが効果的だ。(p53)
・『戦争論』の著者クラウゼヴィッツは、先の読めない霧の中を見通すためには、物事を両極端に振って考えることだ」といっている。たとえば、「戦争」の代わりに平和」を追求したらどうなるのか・・(p135)
【私の評価】★★★☆☆(76点)
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著者経歴
内田 和成(うちだ かずなり)・・・大学卒業後、慶応大学MBA取得。日本航空を経て、ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。マーケティング、新規事業などのプロジェクトを経験。BCGシニア・ヴァイス・プレジデント、ディレクター2006年より早稲田大学商学学術院教授。
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