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「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」ランス・アームストロング

2005/10/05公開 更新
本のソムリエ
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ただマイヨ・ジョーヌのためでなく (講談社文庫 あ 105-1)
【私の評価】★★★★☆(88点)


※「マイヨ・ジョーヌ」とは、「ツール・ド・ フランス」で、そのステージ
 まで総合首位の選手が身につける黄色い栄誉あるジャージである。


●表面だけを見れば、癌を克服し、ツール・ド・フランス2連覇したという
 スーパーヒーローの物語です。

 しかし、実際のヒーローの心の中は普通の人間であり、苦しみ、悩んで
 いることがわかります。

 そこには、癌という再発の危険性がある病気に悩む若者がいました。
 そして、それを廻りの人たちの協力により乗り越えていきます。

 ・もう時間稼ぎはやめるべきだと思った。動くんだ。僕は自分に言った。
  もし動けるなら、もう病気じゃない。・・・上り続けていく間に、僕には
  自分の人生全体が見えた。・・・それは単純なことだった。「僕の人生
  は長くつらい上り坂を上るためにある」(p255)


●著者が、くじけずに自分の道を歩むことができたのは、やはり個人の資質だけ
 ではなく、彼を育てた親であり、パートナーのサポートがあったからでしょう。

 ・「あらゆるマイナスをプラスに変えなさい」と母は言う。無駄なことは
  なに一つない、あらゆることを利用しなさい、昔の傷や屈辱は張り合う
  エネルギーのもとになる。(p31)


●あまりに劇的な物語でありながら、人間の可能性と、人間は一人ではない
 ということを学べる一冊だと思います。

 ・「君ならツールで優勝できるよ」と常に僕を励ましてくれたコーチ、
  クリス・カーマイケルと。それは真実になった。(p336)


●今、生きている瞬間が、自分の人生であるということを
 確認させてくれる一冊ということで★4つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・病気は僕という人間を、屈辱的なまでに素っ裸にし、僕は容赦のない
  目で自分の人生を振り返ることを余儀なくされた。「もし生き残れる
  としたら、いったいどんな人間になりたいのか。」・・・断言していい。
  癌は僕の人生に起こった最良のことだ。(p9)


 ・毎晩、母は本を読んでくれた。僕がまだ小さくて言葉が理解できない
  ころから、母は僕をだっこし、飽きずに読んでくれた。(p28)


ただマイヨ・ジョーヌのためでなく (講談社文庫 あ 105-1)
ランス・アームストロング
講談社
売り上げランキング: 2131
おすすめ度の平均: 4.5
4 癌とヨーロッパ文化の壁を相手に闘った男の記録
5 自転車の本であり、癌の本でもある。
【私の評価】★★★★☆(88点)


●著者経歴・・・ランス・アームストロング

 1971年アメリカ、テキサス州生まれ。21歳で、史上最年少で世界自転車
 選手権優勝。1996年、25歳のときに睾丸癌を発病。脳と肺に転移するも
 完治。1999年、2000年自転車レースの最高峰ツール・ド・フランスで
 個人総合優勝2連覇という偉業を達成。


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