「十皿の料理」斉須 政雄
2005/06/21公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(76点)
要約と感想レビュー
私も東京で大学生をして、イキがっている時代がありました。私自身はどちらかというと、小さい頃から好奇心旺盛で、悪く言えば、身の程知らずだったのです。それで、お金がないのでアルバイトに精を出し、東京にたくさんある高級レストランに行きました。そしてお金がなくなるとアルバイトをするという生活をしていたのです。
その頃から、著者である斉須 政雄さんのコート・ドールは有名でしたが、港区三田という場所の敷居が高かったのか訪れる機会はありませんでした。この本でやっと本の上だけですが、頭の中だけで訪れることができたように思います。
斉須 政雄さんのお話を聞いていると、イチローの話を聞いているような感覚におそわれました。それは、外野の声はどうでもいいではないか、自分が納得できればいい、というものです。斉須さんは人からどう言われようと、自分が旨いと感じるものを出し続けることにしたのです。人から評価されようというのではなく、自分らしくありたいと思ったときのほうが、力が湧いてきたというのです。
・日本に帰る二年ほど前、突然、なんでもできることが大切なのではない、旨いの一点に総てを集約すればよいのだと気がついたのです。ふてぶてしいと言えばそれまでですが、旨ければよいのだ、それが大前提だと体中が感じたのでした。(p83)
ある技術を極めた人の考えは似てくるようです。たとえば、ささいなことにも決して手を抜かない、基本やルーティンを忠実に実行していくということです。一日三回の掃除も同じです。常に考えて準備ができている、そこに妥協はないのです。
そうした毎日の習慣をコツコツと続けることで、とんでもないところに運んでくれるというのが、一流の人の考え方なのだと感じました。簡単なこと、単純なこと、当たり前のことを当たり前にやり続けるということなのです。
・簡単です。たったこれだけのことなので、初心者はあなどりがちです。が、実はこんなものこそ曲者なんです。単純なだけにささいな手違いが事を左右する。逃げがきかない。(p33)
もう肩肘はらずにレストランに入れる年齢になりましたが、大学時代の気持ちで東京のレストランを訪れたくなりました。感謝の気持ちで、料理をいただきたいと思います。
この本で私が共感した名言
・炒めるときに、ただ炒めるんじゃなくて、体積に見合った熱量を適度に加えることが大切です。むやみに熱を加えてもうまくはいかない。恋愛 と同じです。(p16)
・あたり前の顔をしてすごいというのは、能く考えた結果だと思います。料理も、もちろん、人間もです。(p40)
・お客に出す価格は、原価の三倍というのが通り相場です。(p73)
・いつも彼はこう言っていた。「なあ、マサオ、人がちやほやするものはつまらないよ。それよりも、なんでもないものを立派にしてやろうよ。下積みをひきあげてやろうや。なんにだっていいところはあるんだ」(p124)
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【私の評価】★★★☆☆(76点)
目次
第1章 十皿の料理
第2章 この十皿の料理は、僕の12年間のフランスの結実です
著者経歴
斉須政雄(さいす まさお)・・・1950年生まれ。1973年よりフランスに渡り、1985年に帰国するまでの12年間、複数の三つ星レストランで働く。その頃に出会った料理人たちの姿を理想として、自らがオーナーシェフを務める「コート・ドール」にて、現在も現場の最前線に立ち、チームを牽引している
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