「日本人よ!」イビチャ オシム

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日本人よ!

【私の評価】★★★☆☆(79点)


■ジェフユナイテッド市原を育て、
 2006年サッカー日本代表監督に就任した
 オシム監督の一冊です。


 2007年に脳梗塞で倒れる前に
 書かれたもので、
 日本人への最後のメッセージに
 なっています。


 まず、日本人は良いものを
 持っている。


 だから、日本人は自身の特徴を
 最大限利用して
 育てることが大事だとしています。


・まず自分の頭で考えて欲しい。
 日本人は世界最高のものを模倣している。
 まずそれをやめるのだ。
 客観的に自分の力を見極め、
 そこから自分の道を探して欲しい。
 その先にのみ、栄光は待っている(p41)


■そして客観的になることを
 推奨しています。


 特にメディアは、プロなのだから
 子供のような質問をしないでほしい。
 選手やチームを持ち上げすぎないでほしい。


 なぜなら旧ユーゴスラビアが
 メディアによって世論を操作され
 戦争によって分裂してしまったから。


 メディアの怖さを実感として
 知っているからです。


 理想論としてはメディアはプロですが、
 現実は違うことが多いからです。


・残念ながら、旧ユーゴスラビアでは新聞や
 テレビを通して戦争が始まった。
 民衆にとって良い情報を一方的に削除し、
 政治家が自分に都合のいいことだけを並べて、
 国民に火を点けるのは簡単なことである。
 その瞬間に国民は狂い出すのだ・・
 私が心からお願いしたいのはこれだけだ
 「ジャーナリストもプロフェショナルであれ」(p172)


■日本人のあいまいな思考とは違って、
 シニカルで論理的、冷静な思考を
 感じました。


 現実を直視した理想主義とでも
 言うのでしょうか。


 そうしたオシムでも祖国の
 戦争を防ぐことはできなかったのです。


 オシムさん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・日本人や日本人選手に関して、
 ヨーロッパにはこんな冗談があるくらいだ。
 「日本人のマークを外すことは決してできない。
 いつも君の隣に一人いるからね」
 これは、すなわち日本人の流動性を
 褒めているのだ(p20)


・他人がどんなことをやっているかを
 見るのは良いことだ。それを知り、
 利用することも悪くないだろう。
 けれども、それは自分たち日本人に
 相応しいものだけで良い。
 すべてのこをと模倣しようなどと
 考えては、絶対にいけない。
 それは、愚かなことであると同時に、
 不可能なことだからだ(p23)


・私の言うリスペクトとは
 「すべてを客観的に見通す」
 という意味である・・
 人は客観的な価値以上にブラジルを
 課題評価してしまうし、
 客観的な価値以下にイエメンを
 過小評価してしまう(p27)


・日本は、2006年ドイツワールドカップで
 過大な期待を代表チームに抱いていた・・
 そう騒いでいたのは、実際はメディアだけかも
 しれないが、メディアとは怖いもので、
 世の中には根も葉もない情報にも
 扇動されてしまう人たちが多いということを、
 私は旧ユーゴスラビアで経験している(p30)


・監督へ意見するということを選手の誰一人も
 することなく育ってしまったこと・・
 あるいは、「人に何か言うことを、
 日本人の誰もが好まない」ということが、
 コミュニケーション不足の原因ではなかろうか(p48)


・日本にはヒエラルキーがある。
 例えば、年上と年下、監督と選手の間に
 という具合に、見えない階級が存在している・・
 ヒエラルキーとは、一方の者が常に正しく、
 もう一方の者が常に間違っているという
 意味合いのものではない(p108)


・監督が必要以上に頑固だったり、自分は常に
 最も知恵があると自惚れていたりしたら、
 逆に非常に危険なことだ。
 時には選手たちの方が物事を
 よく見ているという事実を、監督は
 受け入れる必要があるだろう(p110)


・ある事柄を人々に言えるようになるには、
 その国民性のことを熟知しなければならない・・
 同じことと言うにしても、ドイツ人やボスニア人、
 クロアチア人に言うのと同じ方法で、
 日本人に言うことはできない(p113)


・監督が選手たちに『走れ』というのは簡単だが、
 実際に走らせるのは簡単ではない(p123)


・相手を怪我させるために犯す汚いファウルがある・・
 しかし、審判はそれに気付かないことがある・・
 ある種の審判は自分のミスを認めようとしない。
 きっと彼らは誤って教え込まれただけだ。
 そう思いたい(p155)


・ジャーナリズムに従事している者ならば、
 子供のような質問を私にしないでほしい。それは、
 「あの選手はなぜゴールを決めたのか?」
 「あの選手はなぜ失敗したのか?」
 といった質問である。・・
 子供じみた問いに関しては、私は説明できるが、
 ジャーナリスト自身が自分の考えを人々に
 説明する必要があるだろう(p172)


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■目次

第1章 日本人とサッカー
第2章 代表が意味するもの
第3章 監督という仕事
第4章 進化するJリーグ
第5章 敵か味方か



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