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「安全保障は感情で動く」潮 匡人

2017/11/09公開 更新
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安全保障は感情で動く (文春新書 1130)


【私の評価】★★★☆☆(73点)


要約と感想レビュー

■元航空自衛隊員であった著者が教える
 現在の国際情勢です。


 アメリカのトランプ大統領の登場により
 保護主義的な考え方が、
 力を持つようになってきました。


 つまり、国家の壁を低くする
 グローバリズムよりも
 英国のEU離脱、カタルーニャ独立のような
 国家主義、民族自決的な
 流れにあるのです。


 これは一世紀前の保護主義への
 歴史の流れを思い出させます。


・一世紀前も、保護主義が戦争をもたらした・・保護主義は昔も今も排外主義を生む。だとすれば、やはり、こう言えよう。いま起きていることは、第三次世界大戦の予兆である、と。(p36)


■短期的には、北朝鮮情勢も
 非常に緊迫しています。


 70年前には朝鮮戦争が
 相互のコミュニケーション不足から
 起きています。


 アメリカと北朝鮮が
 感情的な非難の応酬を繰り返す
 状況を見ていると不安になるのも
 当然のことです。


 ちょっとしたきっかけで
 戦争を誘発する可能性が 
 高まっているということです。


・1950年1月12日、アメリカのアチソン国務長官は「フィリピン、沖縄、日本、アリューシャン列島に対する侵略には断固として反撃する」と演説・・したが、台湾やインドシナに加え、朝鮮半島には言及しなかった・・要するに、アメリカ政府は、断固として韓国を防衛するという意思を示さなかった。これが北朝鮮の誤認を招き、朝鮮戦争の誘因になった(p106)


■指導者といえども人間ですから、
 心理や感情といった視点も
 無視することはできないのでしょう。


 大きな歴史の流れを
 過去を振り返りながら
 考えさせてくれる一冊でした。


 心の準備だけは
 しておく必要があるのでしょう。


 潮さん
 良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言


・「エスタブリッシュメント」への反感は、それ自体が感情である。それは古今東西の人類が大なり小なり持つ、嫉妬心に根差す・・いわゆる「グローバリズム」への反発も同様である・・彼らの生活を苦しくしているという実感に由来する感情なのである。それは、端的には移民に雇用を奪われたという主張に現れている(p18)


・今後もし、在韓米軍兵士の家族が続々と出国したり、出国を促す退避勧告が出たりすれば、「斬首作戦」等の予兆と考えてよい(p30)


・トランプの登場は、これまで歴代大統領が遵守してきた、アメリカの行動原則のようなものを根底からくつがえした・・トランプ就任演説では、歴代大統領が好んだ『聖書』からの引用も、以下の一箇所だけ・・キリスト教徒が『旧約聖書』と呼ぶ「詩編」(大133篇)の一節である。イエスをキリスト(救世主)と認めないユダヤ教に対する政治的な配慮がうかがえる(p45)


・2016年、ロシアはこの「バスチオン」(射程300キロ)を日本固有の領土、北方領土の択捉島に実践配備した・・北海道東部のほぼ全域を射程に収める(p58)


・米軍はこのSBX-1に加え、弾道ミサイル監視用の偵察機「コブラボール」を二機、日本周辺に展開させ、監視飛行させてきた。米空軍はこの「コブラボール」を三機しか保有していない(p86)


・「グレーゾーン事態」・・これは、決してウクライナ情勢に限った話ではない。わが国眼前の東シナ海でも起きていることだ。現に日本固有の領土である尖閣諸島周辺には、ほぼ常時「海警」などの中国公船がいる(p143)


・テロに加えて、現代的な課題が、無人兵器の登場である・・そもそも感情を持たない戦闘ロボット相手には抑止はまったく効かない。国家や軍隊はロボットの犠牲をそれほど考慮する必要がない。大量の戦闘ロボットを送り込んでくる敵・・(p180)


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【私の評価】★★★☆☆(73点)



目次

第1章 「見捨てられた人々」の逆襲が始まった
第2章 アメリカ合衆国が最大の懸念となった
第3章 第二次朝鮮戦争が始まる
第4章 米中戦争の可能性が「非常に高い」理由
第5章 だから戦争はなくならない


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