【私の評価】★★★☆☆(70点)
■動物の進化と、
大気の酸素・二酸化炭素濃度との
関連を考える一冊です。
石炭が作られた時代(石炭紀)に
酸素レベルは30%にまで上昇し、
二酸化炭素レベルが急減しました。
そのためなのか地球は
寒冷化しています。
酸素濃度の上昇に伴い
動物、昆虫は巨大化しています。
・石炭紀という名前は、地球上で今日発見される
石炭のほとんどがこの年代に起源をもつという
事実からきている。この時代には、酸素レベルが
目を見張るような形で上昇し、石炭紀の最後から
次のベルム紀に入るところでは、酸素レベルは
最終的に35%近くにまで登りつめ・・(p165)
■そして三畳紀に入ると、急激な酸素濃度の低下、
二酸化炭素の濃度が上昇します。
そして地上からは動物が
いなくなてしまいました。
そしてこの低酸素に適応した
恐竜と哺乳類を育成することに
なったらしいのです。
そして恐竜の呼吸器は
鳥類の呼吸器と似ており、
鳥類こそが恐竜の祖先であると
推察しています。
・鳥類において気嚢を入れ込むのに
必要とされる特殊な骨の形状が、
竜盤類恐竜の骨にもみられることを
示した点にある・・同じ(あるいは相同な)
骨に同じ形の空洞があるのである(p274)
■これだけ酸素濃度と、
二酸化炭素濃度が変わるのかと
びっくりしました。
でも酸素濃度が10%まで下がったのが
3億年前ですから、けた違いの
昔なのでしょうがないですね。
ウォードさん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・鳥類が哺乳類にとって命取りの高さに
存在できるだけでなく、
この酸素の乏しい空気の中で、飛翔という、
動物界で知られているかぎりもっとも
極端な身体活動をおこなうこともできる
という事実は、まったく不思議としか
言いようがない(p10)
・カンブリア紀は主として三葉虫に影響を与えた
一連の小規模な絶滅事件によって終わったのだが、
この多様性の急落は束の間のことで、そのあとに、
海にすむ動物の種類、ことに石灰質の殻を形成する
生物の数の膨大な増加がつづいた。(p131)
・翅開張50cmのトンボの化石について書いた。
75cmの翅開張をもつさらに大きなトンボの化石さえ、
石炭紀には見つかっている・・
翅開張48cmのカゲロウ、体長1m(あるいはそれ以上)
のヤスデやサソリがあげられる(p176)
・2億5000万年前あたりで、
途方もない規模の壊滅的な大量絶滅が、
陸も海も同じようになめつくした・・
地球上の全生物種の90%が絶滅したというのが、
世界の生物多様性が受けた打撃だとみなされている。
この事件がペルム紀絶滅である(p202)
・ペルム紀の絶滅の引き金となった
大気成分の重要な二つの変化は、
酸素濃度の急激な低下と二酸化炭素濃度の
急激な上昇であった・・
ペルム紀初期に達していた35%という
最高の濃度から、三畳紀初期にはたぶん
12%という低い値にまで、三分の二も
下落したらしい(p208)
・いかなる哺乳類も、標高4200メートル以上では
繁殖することはできない。そしてこの酸素レベルは
ジュラ紀初期の酸素レベルに対応する(p341)
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文藝春秋 (2010-10-08)
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
■目次
第1章 哺乳類の呼吸とボディ・プラン
第2章 地質年代における酸素濃度の変化
第3章 カンブリア紀大爆発はなぜ起こったのか
第4章 オルドビス紀―カンブリア紀爆発の第二幕
第5章 シルル紀=デボン紀―酸素量の急上昇が陸上進出を可能にした
第6章 石炭紀=ペルム紀初期―高酸素濃度・火事・巨大生物
第7章 ペルム紀絶滅と内温性の進化
第8章 三畳紀爆発
第9章 ジョラ紀―低酸素世界における恐竜の覇権
第10章 白亜紀絶滅と大型哺乳類の台頭
第11章 酸素の未来を危ぶむべきか?