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「シューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」」安宅和人

2011/10/27公開 更新
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イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

 東大→マッキンゼー→イェール大学→マッキンゼー→ヤフーCOO室室長という著者が教える課題解決の考え方です。この手の本は、課題→仮説→調査→分析→プレゼンという内容になるのですが、課題設定が一番難しいのです。


 課題設定とは、教えるに教えられない、学びたいが学べない、という性質のものでしょう。その課題設定を中心に語った一冊なのです。※この本では「課題」を「イシュー」と英語で表現しています。


・イシューを見極めるためには「実際にインパクトがあるか」「説得力あるかたちで検証できるか」「想定する受け手にそれを伝えられるか」という判断が必要となり、ここにはある程度の経験と「見立てる力」が必要になる(p47)


 著者は、「落とし場所」を考えて、課題を設定するようです。つまり、調査ができること。答え(対策と成果)が出ることが前提なのです。答えが出そうな課題でなければ、成果は出ないということです。


 これはコンサルタントの発想だと思いました。コンサルタントは限られた時間の中で、成果を出してお金をもらわなくてはなりません。つまり、お金と時間をつかって、成果はありませんでしたは許されないのです。


・「よいイシューの条件」の3つめは、イシューだと考えるテーマが「本当に既存の手法、あるいは現在着手し得るアプローチで答えを出せるかどうか」を見極めることだ(p73)


 安宅さんの評価は、この本ではなく、ヤフーCOO室室長としての仕事の成果で判断されるので、ヤフーの業績を見ていきましょう。


 安宅さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・「限界まで働く」「労働時間で勝負する」というのは、ここでいうレイバラーの思想であり、この考えでいる限り、「圧倒的に生産性の高い人」にはなれない。(p37)


・停滞を引き起こす要因として、最初に挙げられるのが「丁寧にやり過ぎる」ことだ。・・・僕の経験では、「60%の完成度の分析を70%にする」ためにはそれまでの倍の時間がかかる。(p197)


・(実験には)2つの結果がある。もし結果が仮説を確認したなら、君は何かを計測したことになる。もし結果が仮説に反していたなら、君は何かを発見したことになる。(エンリコ・フェミル)(p140)


・確かに<重力も電磁気的な力も三次元の空間にありながら、距離の二乗に反比例する>というのは非常に興味深い現象だ。ただ、このような問題には関わらないほうがよい。現在のところ、答えが出せる見込みがほとんどないからだ(p70)


イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」安宅和人

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【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

はじめに 優れた知的生産に共通すること
序章 この本の考え方―脱「犬の道」
第1章 イシュードリブン―「解く」前に「見極める」
第2章 仮説ドリブン(1)──イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
第3章 仮説ドリブン(2)──ストーリーを絵コンテにする
第4章 アウトプットドリブン──実際の分析を進める
第5章 メッセージドリブン──「伝えるもの」をまとめる
おわりに 「毎日の小さな成功」からはじめよう



著者経歴

 安宅和人(あたか かずと)・・・1968年富山県生まれ。東京大学大学院生物化学専攻にて修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。4年半の勤務後、イェール大学・脳神経科学プログラムに入学。平均7 年弱かかるところ3年9カ月で学位取得(Ph.D.)。2001年末、マッキンゼー復帰に伴い帰国。東京事務所における新人教育のメンバーとして「問題解決」「分析」「チャートライティング」などのトレーニングを担当。2008年よりヤフー株式会社に移り、2012年よりチーフストラテジーオフィサー。


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