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【書評】「三度のメシより事件が好きな元新聞記者が教える 事件報道の裏側」三枝 玄太郎

2026/03/25公開 更新
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「三度のメシより事件が好きな元新聞記者が教える 事件報道の裏側」三枝 玄太郎


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー


日本の人質司法の実態

産経新聞の記者として東京社会部で警視庁、国税庁、国土交通省などを担当した著者に、事件の裏側を教えてもらいましょう。


最初は、「人質司法」です。日本では、検察官の言う通りに自白しないと、弁護士の立ち会いなしで数カ月、取り調べが毎日続くという。


例えば、鈴木宗男衆議院議員は437日、村木厚子・労働省雇用均等・児童家庭局長は164日、身柄を拘束されました。ちなみに、村木厚子局長の事件では、大阪地検検事が証拠を改ざんたことが発覚し、特捜部長らが逮捕されました。


ただ、反対の例として、カルロス・ゴーン容疑者は108日拘束され、保釈された約8ヶ月後、レバノンに逃亡してしまいました。同じように「イトマン事件」で逮捕された許永中被告も公判中の1997年に旅行中の韓国で逃亡しています。


こうした逃亡を防ぐために保釈保証金という制度がありますが、ゴーン氏は15億円、許氏は6億円の保釈保証金を没収されることになるのに逃亡したのです。


現在は、逃亡のおそれがある場合には、位置測定端末(GPS)を装着させることを裁判所が命じることができることになっています。「人質司法」が減っていくのか、チェックしていきたいものです。


ゴーン事件のあとに刑事訴訟法が改正され、位置測定端末(GPS)を装着させることを裁判所が命じることができる改正刑事訴訟法が成立しています(p39)

犯罪が2002年をピークに減った理由

日本の犯罪認知件数は20年前の2002年のピークから減少し続けています。この本では栃木県警のデータを示し、2002年の犯罪認知件数4万件で、検挙率は20%程度であったものが、2022年は8883件、検挙率は約42%と改善されているのです。


著者は、第一の原因として、捜査で防犯カメラのデータを使うことで犯人を逮捕しやすくなったことを説明しています。防犯カメラは検挙率を高め、同時に事件の数が減ったのです。


その一方で、著者が暴力団の取材をしていたとき、自宅の郵便受けに「お前の行いをやめろ。天罰が下るぞ、いつも見ているよ」という脅迫状が置いてあったという。被害届を出しに地元の警察署に行ったら、警察は被害届を受け取らなかったという。警察は「起訴できそうもない」と判断すれば、被害届を受理しないので、犯罪認知件数が減っている可能性もあるということなのでしょう。


犯罪全体は減少していますが、特殊詐欺は増えており、捕まりにくい犯罪に移行していることがわかります。


今後は、防犯カメラの顔をAIで認識したり、DNAや指紋のデータベース化など、犯人を捕まえやすくする仕組みを導入することで、さらに犯罪が減ることが期待されます。


1998年ごろ、私が警視庁捜査一、三課担当をしていたころは・・一晩の間に都内で捜査本部が三つも立ったことがあるくらい・・1年に20件ほど捜査本部が設置される・・・今では、捜査本部事件は全国で27件(p93)

情報リークはほとんどない

この本を読んで意外だったのは、警察が意図的に記者に情報をリークすることはほとんどないということです。


記者は情報を得るために夜に朝に捜査員の家を訪問しますが、基本的に情報は得られないという。それでも僅かな可能性を信じて記者は、 夜討ち朝駆けするというのです。


さらに意に沿わない報道をした場合、そのメディアを「出入り禁止」にすることもあるので、警察もメディアもそれぞれの組織内の枠で生きているわけです。


警察と番記者の実態はおもしろいと感じました。三枝さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・2005年、京都府で教会の牧師が信者の女児らを強姦した・・逮捕された牧師は在日韓国人で通名も持っていましたが、産経と毎日は「〇〇(通名)こと△△(戸籍名)」と書いています。読売は「△△(戸籍名)」のみ。朝日は「◯◯(通名)」のみでした・・朝日は「差別を助長するおそれがある」と通名報道を徹底している(p163)


・風営法違反、出資法違反、暴行のような比較的軽い犯罪・・不起訴や処分保留になって保釈されそうだったり、起訴はされたけれども罰金刑で済みそうだったりする場合は、「会社員の男(58)」のように匿名で表記してしまうわけです(p158)


▼引用は、この本からです
「三度のメシより事件が好きな元新聞記者が教える 事件報道の裏側」三枝 玄太郎
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三枝 玄太郎 (著)、東洋経済新報社


【私の評価】★★★★☆(81点)


目次


第1章 逮捕ってそもそも何なの?
第2章 取調室では何が起きているのか?
第3章 「命に別条はない」と「意識あり」はどう違う?
第4章 火事や失踪ほど難しい事件はない
第5章 「超」踊る大捜査線――現実は刑事ドラマより奇なり!?
第6章 事件ニュースが「ぼやけて」きている?
第7章「夜討ち朝駆け」は風前の灯火か?
第8章 大新聞で事件記事が減っている?
第9章 それでも事件記者は走る


著者経歴


三枝 玄太郎(さいぐさ げんたろう)・・・フリーライター、元産経新聞記者。1967年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1991年、産経新聞社入社。静岡支局、東京社会部(警視庁、国税庁、国土交通省などを担当)、大阪社会部(大阪国税局担当)、東北総局次長などを経て、2019年退社。WEB編集チームとしてネット記事制作の専門部署にも在籍した。現在はYouTube「三枝玄太郎チャンネル」で日々のニュースの解説動画を配信。


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