【書評】「世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法」ピョートル・フェリークス・グジバ
2025/09/30公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
生産性の高いチームの特徴
3年間、Googleで人材開発に携わった著者に、よいチーム作りのコツを教えてもらいましょう。
生産性の高いチームの特徴は、グーグルが2012年に実施したプロジェクト・アリストテレスで「心理的安全性」であるとされています。心理的安全性とは、「自分らしさを発揮しながらチームに参画できる」という実感のことです。
プロジェクト・アリストテレスの結論は、次のとおりです。
1 チームの「心理的安全性」が高いこと
2 チームに対する「信頼性」が高いこと
3 チームの「構造」が「明確」であること
4 チームの仕事に「意味」を見出していること
5 チームの仕事が社会に対して「影響」をもたらすと考えていること
これらは、2009年にグーグルが実施したプロジェクト・オキシジェンで「チームの成果を高めるマネジャーの特性」と類似点があります。プロジェクト・オキシジェンの結論は、よいマネジャーは、よいコーチであり、チームを勢いづけて、マイクロマネジメント(チームのメンバーに対する過度な干渉)はしないなどでした。
つまりチームに心理的安全性を与え、よいコーチである人が、よいマネジャーということです。
サイバーエージェントの藤田晋さんは・・「終身雇用を目指す」という方針を打ち出したところ、いつ消えるかわからなかった会社が・・「終身雇用を目指す」という方針が社員の心理的安全性を高めた(p3)
グーグルのチーム作り
グーグルにおけるメンバーの心理的安全性を高めるための仕組みの一つが、「ワン・オン・ワン」(1 on 1, 1対1)です。マネジャーは週1回1時間、必ずメンバーと1対1で個人面談してコーチングしなければならないのです。
また、グーグルでは上司による部下に点数やランクを付けることを行っていません。そのかわりに個人が自発的にそれぞれのゴール設定をしていくOKR(Objective and Key Result、目標と主な結果)を使っています。OKRはメンバー自身が決めますが、具体的で測定可能で達成可能であり、期限が明確でなくてはなりません。
日本は欧米に学んで定量的な人事評価制度を取り入れてきましたが、欧米は日本的な心理安全性を重視した人事評価制度に変わってきているというのです。
グーグルの一番の魅力は、じつは「チームを大事にするところ」なのです・・・ダイバーシティ(多様性)に富んだ「集合知」が不可欠だからです(p15)
優秀なマネジャーの共通点
著者がこれまで見てきた優秀なマネジャーの共通点は、「腰が低い」ことだという。腰が低いので、メンバーの一人ひとりをそのまま人として承認してあげる。メンバーも承認されることで、心理的安全性が高まり、心を開くのです。
また、マネジャーが失敗したときには、「やらかしちゃった、ごめんね」などと、メンバーに対して素直に誤って、「自分の弱み」を出すことで、なんでも言っていい雰囲気をつくっているという。つまり、よいマネジャーはメンバーと心理学で言う「ラポール」(和やかな心の通い合った状態)を構築しているのです。
チーム内でもめごとが起きても、建設的な対話になるように、マネジャーがファシリテーションします。よいマネジャーのファシリテーションは、一方的に解決策を提示することではなく、当事者の言い分を穏やかに聞き出し、次の一歩を促すのです。
僕は3年ほどカウンセラーのボランティアをやっていました・・一切条件をつけずに相手をポジティブに承認するということ。それがカウンセリングの大前提です・・どんな人であっても「目の前にいる人はいい人」と考えるのがカウンセラーです(p41)
よいファリシテーションとは
よいマネジャーのよいファシリテーションとは、建設的で次のアクションにつながることです。
例えば、「うちのメンバー、最近、私の話を聞いてくれないんだよね」という話があったらい、「じゃあ、メンバーにもっと話を聞いてもらいたいんですね?」とか「話を聞いてもらえたら、何かが変わるんですね?」と返します。
ポジティブな表現に言い換えて聞き返すテクニックです。そうすることで、部下は自分から次のアクションに思考を進めることができるようになるのです。
つまり愚痴とは、チームのことを気にしている証拠であり、「改善したい」と常に考えている証拠なのです。だから・メンバーから愚痴が出たら、愚痴を拾ってあげて、会話のキャッチボールをしながら、「じゃあ、一緒にやろうよ」と前向きな一歩に変わるまで会話を続け、最後に「よく言ってくれたね、ありがとう」感謝の言葉で締めくくるのです。
マネジャーとはコーチなのだと思いました。グジバさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「プロジェクトはどれくらい進んでいますか?」「何がボトルネックですか?」「私はどういうふうにサポートすればいいですか?」といった明確な会話をすることこそがマネジャーの仕事です(p106)
・雑談のテーマ・・仕事を通じて何を得たいですか?・・あなたの一番の強みはなんですか?・・いまどんなサポートが必要ですか?(p77)
・グーグルでは、マネジャーが進行役になって、「ライフ・ジャーニー」というセッションをよくやっていました。A3の紙に、自分がどんな人生を歩んできたのかを、ターニングポイントにおける「1行動、2その意図、3味わった感情」がわかるように、できるだけ具体的に書いてもらいます(p39)
・「人生の中で大事な瞬間はいつでしたか?」「いまの自分をつくった出来事はなんですか?」といった質問をすると、すごく会話が盛り上がります(p83)
▼引用は、この本からです

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ピョートル・フェリークス・グジバ (著)、朝日新聞出版
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
はじめに──グーグルでなくてもできる最高のチームづくり
第1章 世界共通のチームづくりのルールとは
第2章 「愚痴」も「もめごと」もチームにとってよいこと
第3章 チームのパフォーマンスを向上させる「良質な会話」
第4章 「一瞬」で差をつける「チーム時間」の使い方
第5章 「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法
第6章 劇的に生産性を上げる仕組みのつくり方
著者経歴
ピョートル・フェリークス・グジバ(Piotr Feliks Grzywacz)・・・プロノイア・グループ株式会社代表取締役/モティファイ株式会社取締役チーフサイエンティスト。プロノイア・グループにて、組織文化の変革コンサルティングを行い、そのメソッドをモティファイにてテクノロジー化。2社の経営を通じ、変革コンサルティングをAIに置き換える挑戦をする。ポーランド生まれ。2000年に来日し、ベルリッツ、モルガン・スタンレーを経て、2011年、Googleに入社。アジア・パシフィック地域におけるピープル・ディベロップメント(人材開発)に携わったのち、2014年からはグローバル・ラーニング・ストラテジー(グローバル人材の育成戦略)の作成に携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発の分野で活躍。2015年に独立して現職
1on1面談関連書籍
「世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法」ピョートル・フェリークス・グジバ
「部下とは15分だけ話しなさい!」藤間秋男
「離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!」竹野 潤
「任せるコツ―自分も相手もラクになる正しい丸投げ」 山本渉
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