「図解 人的資本経営 50の問いに答えるだけで「理想の組織」が実現できる」岡田 幸士
2024/09/16公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(80点)
要約と感想レビュー
人的資本経営とは
最近、職場の環境や社員のスキルを見える化しようとする取り組みが増えています。どうやらこの本のタイトル「人的資本経営」を意識した取り組みらしいのです。
「人的資本経営」とは、社員の人的価値を見える化したうえで、教育などにお金をかけて、人を育てようという取組みです。
人への投資の成果を見える化する指標としては、社員の仕事への誇り、女性比率、1人当たりの教育費用、メンタル不調による休業者率など様々です。こうした人的指標を役員報酬に反映させる会社もあるという。
人は投資する量によって価値が変わる資産(可変資本)と捉える(p31)
知識・スキル・経験を見える化する
よくある会社の取組みとしては、職場で必要な知識・スキル・経験などを誰が持っているのか見える化することです。そして、その情報を基に上司と期待するレベルと今後の取組みを定期的に話し合うというもの。
必要があれば、知識やスキルを学ぶ機会を会社の費用で行います。私のイメージでは、仕事に必要な知識やスキルを得るために自腹で勉強しよう!という人は少ないので、社員の能力の底上げには効果があるはずです。
そもそも「学ぶ必要がない」職場であったり、「失敗しなければ、そこそこで出世できる」という状況そのものが問題なのです。が、それをいっちゃあおしまいよ。
職場において学ぶことに対する目的意識や課題意識を持ってもらう仕組みやきっかけが不足している・・「学ばなくてもなんとかなる」職場環境なのです(p344)
職場の環境を見える化する
職場の状況を見える化することで、パワハラや業務上の不正が減るのは間違いないと思います。その一方で、会社の利益が増えるかどうかは不透明でしょう。
そのため人事部門のやっている姿勢を示したい気持ちもわかりますが、現場の負担になっても困るということで、バランス感覚も大切ではないかと思いました。
私は若い時、年上部下から過去の情報を教えてもらえなかったり、「あなたが決めたのだから、あなたがやってください」と仕事をボイコットされたことがありますが、そういった陰湿な職場が減るだけでもよいのではないかと思います。岡田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・人材の体験を・・社員に広告塔になってもらう(p85)
・日立製作所では、若手の優秀層を集中的に育成する「Future50」という仕組み・・部下30人ほどの中間管理職の社員を、いきなり社員5000人、売上5000億円のグループ会社社長に就任させたケースもあります(p111)
・社内FA制度・・星野リゾート・・総支配人や管理職を立候補制で決めています・・「私がこの役職に就いたら、こういう戦略でこういう成果を出します」と発表します。それを聞いた社員が投票や議論を行い、就任の可否を決める(p172)
▼引用は、この本からです
岡田 幸士、ディスカヴァー・トゥエンティワン
【私の評価】★★★★☆(80点)
目次
第1章 人的資本経営の「なぜ?」と「なに?」
第2章 あらゆる人を惹きつける「人・組織のビジョン」と「人事戦略」を作成しよう
第3章 人的資本経営を進化させる「人的資本の開示」をしよう
エピローグ 50の問いの先にあるもの
著者経歴
岡田幸士(おかだ こうじ)・・・ルヴィアコンサルティング株式会社 共同経営者。神戸大学金井ゼミで組織行動論を学び、日本マクドナルドで人事を経験。その後、デロイトトーマツコンサルティング合同会社の組織・人事コンサルティング部門に移り、2年で全社トップ3%の評価を受ける。2020年に独立して現職。
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