「吉野家で学んだ経営のすごい仕組み: 全員が戦力になる! 人材育成コミュニケーション術」野村孝博
2024/06/24公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(87点)
要約と感想レビュー
ドンブリ勘定と日次決算
著者は父親の運送会社を引き継いで、学生時代に吉野家のアルバイトで学んだ仕組みを適用して、売上を2倍の16億円にまで成長させ、事故やトラブルは半減させました。吉野家の仕組みのすごいところは、アルバイトを戦力にするマニュアルと教育です。また毎日棚卸しをして、お店ごとに月次決算を行っているという。
著者はまず吉野家の日次決算を真似して毎日棚卸しをしてみました。すると、時々発生していた在庫の差異の原因がわかり、対策を打つことができたという。さらに、トラックごとの原価を計算することで、粗利の低いトラックの運用改善や契約見直しがデータに基づいて考えることができるようになったのです。
「吉野屋の精算」を思い出し、とにかく毎日棚卸をしてみる・・在庫差異が発生する要因がつかめる・・ミスなどを防ぐためにマニュアル化する(p54)
社員の信頼を獲得する
しかし、実際の現場で課題だったのは、親の息子ということで社長となった著者の言うことを社員がなかなか聞いてくれないという現実です。例えば、トラックは長時間乗ることから乗務員は同じトラックしか運転しないし、他のトラックは運転できない状態でした。すると乗務員一人が病気になると、社長が言っても誰も代走しようしないし、できないので社長自らが代走するような状態であったのです。
著者は自ら代走しながら、各ドライバーが複数の仕事をこなせるように教育し、管理職が代走できる体制を作っていったのです。そこに至るまでには、社員との対話や懇親会を重ね、冠婚葬祭があれば、社長も自腹でご祝儀や香典を出して出席するなどして、姿勢で社員の信頼を得る努力をしたのです。
仕事を頼んでも拒否される・・その部署は、担当課長も自ら代走をしてくれており、そうした姿勢にドライバーも共鳴したのだと思います(p84)
仕組みでトラブル対策
会社の内部留保を厚くして、営業と社員教育に力をいれる著者の行動に、売上2倍というのもわかるような気がしました。トラブル対応に問題があれば、組織を細分化して管理職の責任を明確化したり、出納が社長不在でもできるようにダブルチェックで社員だけでもできるように仕組みで対策を打っているのです。
お客様から見れば、粗利が少なければ値上げを打診してくるけれども、課題があれば真摯に対応し、対策を打って同じトラブルが起こらないように対処する会社を信頼するのではないでしょうか。内容的には当たり前のようですが、それを現場で実践して結果を出しているところがすごいと思いました。野村さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・お客様の要望をもっと柔軟に受け入れて・・お客様の希望になるべく近い答えを提案・提供する(p65)
・ダメなものはダメ。しかるべき処分をしなければ、きちんと仕事をしているほかのアルバイトにも示しがつかなくなってしまいます(p140)
・1か月のトラック1台当たりの収支を計算しました・・トラックの償却費、修理費、燃料費、ドライバーの人件費などを引いた金額が粗利になります(p171)
【私の評価】★★★★☆(87点)
目次
第1章 吉野家でのアルバイトは経営者としての原点
第2章 地道に結果を出し続ける営業術
第3章 マニュアルとロープレをフル活用する社員教育
第4章 社員のモチベーションを上げるコミュニケーション術
第5章 丸く収まる、ビジネスのトラブル対処術
第6章 事業を拡大するためのお金と数字の管理術
著者経歴
野村孝博(のむら たかひろ)・・・株式会社野村運送 代表取締役。1974年、埼玉県入間市生まれ。1992年、中央大学理工学部入学。学業の傍ら塾講師やファミリーレストランでアルバイト。1993年から吉野家でアルバイト。1997年に大学を卒業後、中堅運送会社での勤務を経て、2002年4月、父親が経営する株式会社野村運送に役員として入社。吉野家のアルバイト経験で培ったノウハウを生かし、マニュアルを使った社員教育や日次決算などの数値管理を自社の業務に応用。入社時9億円だった会社の年商をグループ全体で16億円まで成長させ、交通事故をはじめとするトラブルの半減を実現。
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