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「新型コロナワクチン本当の「真実」」宮坂 昌之

2023/10/23公開 更新
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「新型コロナワクチン本当の「真実」」宮坂 昌之


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

新型コロナワクチンの有効性90%

2年前の2021年8月に出版された本です。2021年2⽉にファイザー製ワクチン、5⽉にモデルナ製とアストラゼネカ製の製造販売承認され、ワクチン接種が進められている時期です。当時国内では、ワクチン反対派の存在もあり、この本の前半は、新型コロナワクチンの有効性についての説明となっています。


ファイザー社のワクチンでは、数万人への第三相の臨床試験(治験)で感染を防ぐ有効率が90%を超えており、従来のワクチンの有効率50%程度と比較すると、驚異的な有効性だったのです。また、米国で約2300万人へワクチン接種した結果、「重篤な副反応の頻度は従来のワクチンと同等」と評価されたのです。


・ワクチンは決してノーリスクではありません。きわめて頻度が低いものの100万人に数人程度で、アナフィラキシーショックとよばれる重篤な副反応が起きます(p6)


日本はワクチン後進国

この本の特徴は、当時の段階で、日本が世界の中のワクチン後進国であることをはっきり指摘していることでしょう。1992年にワクチン接種後の副反応に対して、厚生大臣の「施策上の過失」を認めて、国に損害賠償を命じるという判決を東京高裁が出しています。そのため、厚労省は1994年に予防接種法を改正して義務接種だったワクチン接種を推奨接種という形に変えてしまったのです。


厚労省は新たなワクチンの認可にも消極的となり、「海外で普通に使われているワクチンが日本では認可されず使えない」という「ワクチンギャップ」という状況が続いていたという。つまり、数百人のワクチンによる副作用をなくすために、数万人の命が失われているのです。これは「人の命は地球より重い」として、ハイジャックの人質と交換に、テロリストを開放した福田首相と似ているように感じます。短期的には数人の命を救い、長期的にはテロリストが同じことを行うことを推奨してしまうのです。日本特有の自分が責任者である間だけ、公的に批判されないように保身に走り、未来はどうでもよいという考え方のように感じました。


・日本では年平均で37万人が交通事故で死傷します。これは100万人につき、約3000人が交通事故にあって死傷する・・つまり、新型コロナワクチンでアナフィラキシーに出合う確率は、交通事故で死傷するリスクの1000分の1程度に過ぎません(p62)


日本のメディアは質が低い

また、こうした状況となったのは、マスコミの責任が大きいと指摘しています。欧米では免疫や感染症に精通した医療ジャーナリストによるレベルの高い記事が掲載されるのに、日本のメディアでは圧倒的に質が低いというのです。さらに、テレビのニュース番組やワイドショーに登場する「専門家」の偏った意見の持ち主が出演している点も問題であり、この本では、ワクチン否定派の宮沢准教授や、近藤誠氏の主張には間違いが多いとしています。
 

なお、新型コロナウイルスが中国武漢から広がったのは明らかですが、武漢の研究所から人工ウイルスが漏れたのかどうかについては知見がないとしています。ただ、新型コロナウイルスと同一の配列を持つウイルスが野生動物から見つかっていない点と、人工的にウイルスに変異を導入してウイルスの性質を変えるという実験は研究所でよく行われている点は、多くの可能性を残しているということなのでしょう。


当時出版されたものの中では、データを示し、適切な内容のものとなっていると思いました。宮坂さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・mRNAワクチンをいち早く国民に接種したイスラエルと英国では、目に見えて新規感染者が減少に転じました(p43)


・アナフィラキシーは、ファイザー製が100万回に4.7回。モデルナ製は100万回に2.5回・・米国・ボストンの医療従事者約6万5000人の結果・・16名でアナフィラキシーが見られました(p61)


・若年層の大半が軽傷ですむとはいえ、重症化する人は確実に存在します。後遺症も深刻です。すでに説明したとおり、感染から回復後も1~2割の人たちに呼吸困難、疲労感、認知障害が残り、社会復帰に困難を感じることが多いようです(p182)


▼引用は、この本からです
「新型コロナワクチン本当の「真実」」宮坂 昌之
宮坂 昌之 、 講談社


【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

プロローグ 新型コロナウイルスはただの風邪ではない
第1章 ワクチンは本当に効くのか?
第2章 ワクチンは本当に安全か?
第3章 ワクチンはなぜ効くのか?
第4章 ワクチン接種で将来不利益を被ることはないのか?
第5章 平穏な日常はいつ戻ってくるのか?
第6章 新型コロナウイルスの情報リテラシー
第7章 「嫌ワクチン本」を検証する
第8章 新型コロナウイルス感染症の新たな治療法、そして未来



著者経歴

宮坂 昌之(みやさか まさゆき)・・・大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授。一九四七年長野県生まれ。京都大学医学部卒業、オーストラリア国立大学大学院博士課程修了。金沢医科大学血液免疫内科、スイス・バーゼル免疫学研究所、東京都臨床医学総合研究所を経て、大阪大学医学部教授、同・医学研究科教授を歴任。医学博士・PhD。


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