人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「世界のニュースを日本人は何も知らない2 未曽有の危機の大狂乱」谷本 真由美

2023/07/28公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

「世界のニュースを日本人は何も知らない2 未曽有の危機の大狂乱」谷本 真由美


【私の評価】★★★☆☆(73点)


要約と感想レビュー

グローバル化で疫病リスクが高まっている

海外で仕事をしてきた著者が違和感を持つのは、日本のマスコミの報道と、自分が現地で感じた感覚のズレです。この本では、新型コロナウイルスが蔓延する2020年の著者の言葉を聞いてみましょう。


まず、新型コロナウイルスが明らかにしたのは、グローバル化の光と影です。光としては、最適地で生産することでコストは下がりましたが、国内に仕事がなくなるという影があります。また、人の往来によって、疫病発生のリスクが高まっていることが明らかになりました。また、日本の新型コロナ対応は完璧とは言えないものですが、海外に比べれば桁違いに少ない死亡者数と、経済的混乱も限定的であったと評価できるのではないでしょうか。


特に企業では欧米ではレイオフが当然で、欧州やアメリカの航空会社は、従業員を数万人単位で解雇しますが、日本ではJALもANAも従業員を解雇せず、労働者の心理的負担は欧米に比べれば小さいといえます。逆にそのせいで、自分の能力を高めようという意欲が小さくなっているという面もあるのかもしれません。 


・2020年8月30日時点で、アメリカでは死者がなんと18万人・・日本の死者数は・・1300人ほど(p18)


日本国の安定性、安全性は際立っている

やはり貧富の差が拡大している海外から見ると、日本国の安定性、安全性は際立ったものがあります。


格差として著者が指摘しているのは、アメリカには高齢者などを除いて、公的な国民皆保険の制度がないため、医療保険を持っていない人が大勢いること。教育格差としては、イギリスやアメリカでは、高額な学費の必要な私立の教育レベルが高く、公立学校のレベル低下が著しいと指摘しています。欧米の底辺校では麻薬やナイフで生徒同士がケンカをするなど日本では想像できない状況だというのです。


安全についても、・アメリカでは1年間に76万人もの子どもが行方不明になるという。日本では、行方不明が1年間に8万人で、そのうち10代までの子どもは1万7000人ほどでしかありません。移民についても、日本でも外国人の姿をよく見るようになりましたが、スウェーデンでは、4人に1人は外国生まれか、両親とも外国人だという。移民を大量に受け入れている国で、治安が悪化しているのは明らかなのです。


・スェーデンでは「警察力が十分に及ばない危険地帯」は60カ所もあり、約半数の女性が夜の外出を不安に感じ、女子生徒は決して夜間に外出しません(p194)


自分で一次情報を調べる

目次の最後にある世界の「重要なニュース」を知る方法は自分で一次情報を調べるということです。マスコミは営利団体であり、視聴率さえ上がれば何でもありですから、信用度は低いといえるのでしょう。


最後に、著者はマスコミが海外のいいところだけ紹介する原因として、番組を制作しているバブル世代のおじさんが海外経験がなく、海外は日本よりも進んでいると思い込んでいるのではないかと書いています。本のソムリエもバブル世代なんだけどな!ただ、マスコミといっても普通の会社ですから、私達と同じそこらへんのおじさん、おばさんが作っているというのは事実なのでしょう。谷本さん、良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言

・「成り上がり」しやすい国・・子どもが親世代の階層を超える国の一位はキプロスです。そのほか、デンマーク、イギリス、スウェーデン・・日本も六位(p165)


・アメリカの場合、1950年代には富裕層の所得のうち、70%が税金として徴収されていましたが、所得税は年々下がり、現在はたった23%です(p153)


・コンピュータサイエンスを専攻する学生のうち、アフリカ系はたった8.6%でヒスパニックは10%です。一方でアジア系は46.4%、白人は38%です(p214)


▼引用は、この本からです
「世界のニュースを日本人は何も知らない2 未曽有の危機の大狂乱」谷本 真由美
谷本 真由美、ワニブックス


【私の評価】★★★☆☆(73点)


目次

第1章 世界の「マスク騒動」を日本人は何も知らない
第2章 世界の「称賛」を日本人は何も知らない
第3章 世界の「自己チュー」を日本人は何も知らない
第4章 世界の「教育」を日本人は何も知らない
第5章 世界の「イギリス王室」を日本人は何も知らない
第6章 世界の「格差」を日本人は何も知らない
第7章 世界の「残念な国民性」を日本人は何も知らない
第8章 世界の「技術」を日本人は何も知らない
第9章 世界の「重要なニュース」を知る方法



著者経歴

谷本真由美(たにもと まゆみ)・・・著述家。元国連職員。1975年、神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて 国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、 国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。趣味はハードロック/ヘビーメタル鑑賞、漫画、料理。


この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ


ブログランキングにほんブログ村



<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本


コメントする


同じカテゴリーの書籍: