「ビジネスで大切なことはみんな吉祥寺の焼き鳥屋で教わった」玉岡一央

【私の評価】★★★★★（92点）

要約と感想レビュー

焼き鳥屋の常連さんたち

高卒フリーターから不動産業界に入り、大手不動産会社で最短で営業リーダーに出世した秘密は、父親の焼き鳥屋にあったという一冊。父親の焼き鳥屋は吉祥寺のハーモニカ横丁にありました。お客さんが来ると、「ドンドンドン」と太鼓が叩かれたという。「ポンポコリン！」と叫ぶお好み焼き屋がありますが、インパクトのある儀式をお店の特徴としていたのです。

最初に5本焼き鳥を注文するというルールがあって、常連さんには焼き鳥が勝手に出されました。常連さんの好みは熟知しているので、問題ない範囲で在庫が多い焼き鳥を出すこともできたので、売り残りのリスクも低減させることができたという。さらに常連さんになるためには、父親に認められる必要がありました。波長が合わないと、会話もなく常連のサークルに入れなかったのです。常連になると、売上が伸びなさそうな日には、「何時に来る？」と会社に電話して呼び出していたというくらいの関係になれたのです。

常連さんとは麻雀大会や競馬観戦ツアーに行ったり、お金を強制的に積み立てて2,3年に一回観光旅行に出かけていたという。常連さんの間で、仕事の紹介までしていたというのですから、異業種交流会のようなものだったのです。

・常連さんになってもらいたいのは、気心が知れてきた人だけ・・お客様を取捨選択する（ｐ22）

焼き鳥屋から学んだこと

著者が父親から学んだのは、努力・根性・義理・人情です。常に30人～40人の常連さんを持っていた父は、常連さんの好みをすべて知っていました。いつも笑顔で、元気のない常連さんには話を聞いてやり、調子が悪そうなら「今日は早く帰ったら」と気を遣う。常連さん一人ひとり、すべてを知ったうえでオーダーメイドで接客していたのです。

忙しいときには、常連さんに買い物してきてもらってきたり、年末の大掃除に強制参加させるなど、店の客という関係ではなく一人の人間として付き合っていたのです。著者も転職先で部下との関係が悪くなったとき、自分がどんな人生を歩んできて、どんな夢を持っているのかを伝え、部下がどんな生き方をしてどんな夢を持っているかも聞いて、一人の人間として付き合うようにしたら関係がよくなったというのです。

・努力・根性・義理・人情が足りない！・・ビールを提供する温度、商品を出すタイミング・・お店のありとあらゆる、すべてに対して愛情を持つこと（ｐ83）

父親の教え

著者の失敗と学びに感動しました。なぜ感動するのかといえば、著者の今は亡き父への思いが、エピソードから伝わってくるからでしょう。商売とは商品やサービスをお金と取り替えることですが、そこには単なる金銭的価値だけではなく、義理人情という世界があるのです。論語とソロバンというように、商売を通じて人との繋がりを作ることができれば、人生も楽しいし、商売もうまくいくということを著者の父親は教えてくれたのです。

私の父も商売をしていたなぁと思い出しつつ、35年間焼き鳥屋で生計を立ててきたノウハウは伊達ではないと感じました。玉岡さん、良い本をありがとうございました。

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この本で私が共感した名言

・大掃除には強制参加・・朝から掃除をして、晩は飲み会（ｐ33）

・焼き鳥屋は「原価2割未満」・・スニーカーの仕入れ原価は5割がほとんど・・大量の売れ残り（ｐ57）

・自分から選んでブラックな働き方をする・・自分がどこまでできるのか、どこまで腹をくくれているのか、一度は体験・体感してみる（ｐ87）

▼引用は、この本からです

玉岡一央 , 秀和システム

【私の評価】★★★★★（92点）

目次

序章　大将の焼き鳥屋を繁盛させた8つの変なルール
第1章　焼き鳥屋で学んだ「仕事選び」7つの教え
第2章　焼き鳥屋で学んだ「コミュニケーション」6つの教え
第3章　焼き鳥屋で学んだ「自己研鑽」6つの教え
第4章　焼き鳥屋で学んだ「自己管理」4つの教え

著者経歴

玉岡一央（たまおか　かずふみ）・・・1976年生まれ東京都出身。宅地建物取引士。ユニバーサル・リアルティ株式会社代表取締役社長。不動産プロデューサー（登録商標第6645885号）。東京の吉祥寺ハーモニカ横丁で焼き鳥屋を経営する父親の下で、小学生から家業を手伝う。ファッションへの興味から文化服装学院へ進学し中退。結婚をきっかけに、中堅の不動産会社を経て三井不動産リアルティ株式会社へ転職。営業奨励賞5年連続受賞などの功績が認められ営業リーダーへ抜擢、年収1000万円超えを実現する。2020年に独立し、ユニバーサル・リアルティ株式会社を設立。

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