「ズバ抜けて結果を出す人だけが知っている 感情に振り回されないための34の「やめる」」片田 智也
2023/03/03公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
失明した事実は変わらない
著者は若くして緑内障で片目を失明し、もう片方の目も大幅に視力を失ってしまいました。そこで、著者は失明しても続けられる仕事である、カウンセラーになることにしたのです。失明して気づいたのは、失明したことに落ち込んだり、イライラしたとしても失明したという事実は変わらないということです。著者はコントロールできないことは無視することにしました。
そうして気づいたのは、コントロールできないことを意識すると、それまでの不安、イライラ、後悔、怒りの感情から解放されたというのです。視覚障害はどうしようもない。失明してもできる仕事をはじめよう、というように前向きに考えることができるようになったのです。
「自分次第でコントロールできるもの」と「コントロールできないもの」を分ける(p2)
「感情」はコントロールできない
面白いと思ったのは、「感情」はコントロールできないという事実です。不安や怒りといった「感情」は、私たちを危険から守るための防御システムであり、コントロールできないのです。ですから「感情」はコントロールするものではなく、「手なずける」(マネジメントする)ものだという。例えば、不安な気持ちになったら「無視するべき不安」はスルーし、「対処すべき不安」には対処すればいいのです。
また、自分の思い通りに進まずに、怒りの感情が湧き上がってきたとしたら、「大丈夫、想定済みのことだ」と自分を安心させてあげればよいのです。物事が自分の思い通りに進まないのはよくあることであり、コントロールできないことを、コントロールしようとしてイライラしたり、人に当たるのは「不安のおもらし」で、恥ずかしいことなのです。確かに、飛行機が遅れて当たり散らしている人を見たことがありますが、いくらイライラしても天候は変わらないのですから、精神的に子どもなんだなと感じたことがありました。
イライラとは、思い通りにことが進まず、不安が募っている状態・・・怒りとは、「不安のおもらし」なのです。恥ずかしい(p94)
人と比べても何も変わらない
著者は失明して落ち込んでいたときの自分を振り返り、他人と比べることの無意味さを実感するというのです。健康な人と比べても、何も変わらないのに、人と比較して自分から「みじめな気分」に飛び込んでいる自分に気づいたのです。著者が伝えたいことは、他人と比べてダメな自分を確認するのをやめること。自分にバツをつけるのをやめるということです。
自分でコントロールできない、自分という存在を否定しても何も生まれません。自分という存在をどう最大限活用するのかが、自分がコントロールできるところなのです。不安になりやすい日本人として、知っておくべき知恵だと思いました。★4とします。片田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・私たちが「より不安になりやすい民族」・・安心安全、OKの基準が異様に高い。だからこそ、良い仕事になるのです(p43)
・重要な商談・・契約が決まるかどうかは相手次第。ドギマギしたところで、結果をコントロールすることはできません(p17)
・想定外を想定しておく(p90)
・結果を出せない人ほど、他人をコントロールしたがるもの・・他人を思い通りに動かすことはできません(p157)
・誰かに怒りをぶつけられたら・・・「この人、ガマンできずに漏らしてしまったんだな・・」・・慈しみの目で見てあげてください(p95)
【私の評価】★★★★☆(88点)
目次
第1章 感情とうまくつきあうための「やめる」
第2章 不安に支配されないための「やめる」
第3章 イライラや怒りに囚われないための「やめる」
第4章 迷いを断って行動するための「やめる」
第5章 ブレない自分をつくるための「やめる」
著者経歴
片田 智也(かただ ともや)・・・産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。大学卒業後、20代で独立するがストレスから若年性緑内障を発症、視覚障害者となる。同年、うつ病と診断された姉が自死。姉の死の真相を知るため、精神医療の実態や心理療法を探求、カウンセラーに転身する。教育や行政、官公庁を中心にメンタルケア事業に多数参画。カウンセリング実績は延べ1万名を超える。カウンセリングから企業コンサルティング、経営者やアスリートのメンタルトレーニングまで、心の問題解決に広く取り組む。企業研修やセミナーの受講者は延べ2万名以上。
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