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「庄内藩幕末秘話」宇田川敬介

2022/10/20公開 更新
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「庄内藩幕末秘話」宇田川敬介


【私の評価】★★★☆☆(73点)


要約と感想レビュー

 ロシアのウクライナ侵攻を見ていると、東北出身者としてはどうしても戊辰戦争を思い出してしまうということで、手にした一冊です。戊辰戦争については新選組や会津戦争、函館五稜郭の戦いがドラマや小説として書かれていますが、東北で最後まで戦ったのは庄内藩(山形県鶴岡市)です。この本では、あまり語られないガトリング銃、アームストロング砲、スペンサー銃で武装した庄内藩がいかに戦い、いかに降伏したか教えてくれるます。


 大政奉還によって幕府を倒すという名目を失った薩摩藩は、幕府を挑発するため、江戸市中に工作員を派遣し、テロ行為を行わせ、薩摩藩邸に工作員をかくまっていました。この薩摩藩邸を摘発したのが、江戸市中見廻りだった庄内藩、上山藩、鯖江藩、岩槻藩だったのです。挑発したほうが悪いのか、挑発に乗った人が悪いのか、考えさせられます。


・これで幕府も動くでしょう・・大きな正義を成すときは、小さな悪に目をつむらんといかん(西郷隆盛)(p11)


 会津戦争が多く取り上げられるのは、会津が鳥羽伏見の戦いで、錦の御旗に対して攻撃を行ったという侵攻の理由がはっきりしているからでしょう。しかし、庄内藩については、薩摩藩邸を焼き討ちされた私怨を、薩摩が錦の御旗を使って果たしたのです。


 戦後、庄内藩は「攻められたから防御しただけである」としましたが、太政官から「首謀者」を出せと言われ、石原倉右衛門を首謀者として差し出しています。人の道のために戦うのか、領内を戦争の惨禍で荒廃させないために恭順するのかの判断で、庄内藩主酒井忠篤はウクライナのように戦うことを選んだのです。


・戦をはじめる奴は馬鹿だ。しかし、逆に守らなければならない者を守るために槍や鉄砲を持てない奴は、生きている価値のない意気地なしだ(酒井忠篤(さかいただずみ))(p86)


 ロシアはウクライナがナチスに支配されていると称して侵攻したように、薩長を中心とする新政府軍も江戸でテロ活動を行って紛争を作り出したのです。しかし著者が、「戦は人の道の正しいか正しくないかで勝敗が決まるのではない。強いか強くないかで決まる。正しい者は強くあらねばならぬ」と言わせているように、力がなければ道理は通じないのです。


 江戸でテロ活動を行い、御所を攻撃し、錦の御旗を背景に反対勢力を武力攻撃するいのは、人の道に反することでしょう。しかし、歴史は戦争に勝ったものがすべてを決め、歴史を語るのです。薩長が手段を選ばなかったように、ロシアも手段を選ばないのかもしれません。宇田川さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・薩摩は偽りの忠誠心で錦の御旗を手に入れ、この日の本のすべての藩が敵になって庄内に攻めてくるのであろう(p50)


・仁和寺宮(にんなじのみや)様や有栖川宮様に各方面軍の総大将になっていただき、三条殿や四条殿に副官、我々武士が、その下について実質的に動く(木戸孝允)(p72)


・孝明天皇に関しては会津殿を信頼されていましたが、現在の帝は、孝明天皇とも反目している独自の思想の持ち主・・・大山庄太夫の書き残した通りのことです(p37)


▼引用は、この本からです
「庄内藩幕末秘話」宇田川敬介
宇田川敬介、星雲社


【私の評価】★★★☆☆(73点)



著者紹介

 宇田川敬介(うたがわ けいすけ)・・・1969年、東京都生まれ。麻布高等学校を経て中央大学法学部を1994年に卒業。マイカルに入社し、法務部にて企業交渉を担当する。その後、国会新聞社に入社、編集次長を務めた。国会新聞社退社後、フリーで作家・ジャーナリストとして活躍。


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