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「よみがえる 松岡洋右」福井 雄三

2022/09/03公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(72点)


要約と感想レビュー

三国同盟でドイツとの提携に踏み切った松岡洋右とは、どんな人間であったのか知りたくなって読んでみました。そもそも松岡洋右は、ドイツに不信を抱いていましたが、三国同盟によってアメリカに圧力をかけ、アメリカから妥協を引き出そうとしたのです。アメリカとだけは戦争すれば、負けるというのが松岡の考えだったのです。


そしてドイツがソ連に侵攻すると、松岡は天皇に「即刻北進してソ連を討ち、ドイツとともにソ連を東西から挟み撃ちにすべし」と提案し、天皇に否定され、撤回せざるを得なかったという。松岡の反対の中、日本は南進して仏印の石油を手に入れることにし、アメリカと日本の対立は決定的となってしまったわけです。


そもそも論でいえば、最初調子のよかったナチス・ドイツとあえて悪と手を握ったのが、日本をアメリカ・イギリスと戦争をせざるをえない状況にしてしまったのです。松岡は「虎穴に入らずんば虎児を得ず」として、参戦の可能性を持った日独伊三国同盟を推進してしまったのです。虎穴に入って死んでしまったというわけです。


・三国同盟は、アメリカの参戦防止によって世界戦争の再起を予防し、世界の平和を回復し、国家を泰山の安きにおくことを目的とした(p20)


松岡洋右の性格には、人を人と思わぬ傲岸不遜なところがあったという。自分が正しいと信じたことは、相手の都合などいっさいおかまいなしに強引に押し通してしまうのです。そのためなのか、駐日アメリカ大使だったジョセフ・グルーは、「松岡は会談のあいだ、のべつまくなしに自分が一方的にしゃべりまくり、相手にいっさいしゃべる暇を与えない。彼の英語は完全だが、彼は大いなる鉄仮面とうぬぼれのかたまりである」と評価しているのです。


福井さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・7月2日の御前会議で南進を決定した。このとき松岡は断固として北進を主張し、南進に反対した。南進すれば必ずアメリカと衝突し戦争になる(p22)


・当時の満鉄社員の給料は・・高給だった。ちなみに理事として迎えられた松岡の月給は二千円で年俸二万四千円であり・・現在の貨幣価値に換算すると年間3~4億円(p126)


▼引用は、この本からです


【私の評価】★★★☆☆(72点)


目次

第1章 三国同盟は僕一生の不覚
第2章 青年松岡洋右、大陸へ雄飛
第3章 革命前夜のロシアへ、そしてアメリカへ
第4章 外務省を辞し満鉄へ、そして政界へ
第5章 外相就任、松岡洋右の大構想と大戦略
第6章 日米開戦と「すべての罪を松岡へ」



著者経歴

福井雄三(ふくい ゆうぞう)・・・京国際大学教授。昭和28年(1953)7月、鳥取県倉吉市生まれ。東京大学法学部卒。企業勤務ののち、大阪青山短期大学教授を経て、平成24年(2012)4月から現職。専攻は国際政治学、日本近現代史。


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