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「決算書のトリセツ」前田 忠志

2022/05/26公開 更新
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「決算書のトリセツ」前田 忠志


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー

 決算書を読むとその会社の状況がわかるということで、この本では決算書から意外な会社の素顔を紹介してもらいます。調子の良い会社には、調子が良い理由があります。


 例えばキーエンスは、センサー類を販売していますが、営業利益率はなんと50%以上です。顧客の問題解決につながる提案営業をしているので営業利益率が高いと言われています。


 創業者の前澤氏が宇宙に行ったりして注目されているゾゾタウンの営業利益率は29.9%です。この高収益の源泉は、ブランド品のインターネット販売を受託しており、手数料として高収益を得ているのです。ブランドが自分の商品をインターネットで売ることができないので助けているとも言えるのでしょう。


 ユニ・チャームといえば紙おつむですが、日本より海外で売上をあげています。海外で働きたい人はユニ・チャームで働いてみるといいのかもしれません。


・ユニ・チャームの成長を支えているのは海外です。海外の売上高は、この20年間で、300億円から4400億円へと大きく増えました(p40)


 調子の悪い会社に注目してみると、テレビ局の代表としてTBSは本業での稼ぎが30億円程度なのに、配当金が85億円、不動産収入が77億円と投資企業のようになっています。


 原子力事業で大きな損失を出した東芝は、パソコン事業でも粉飾決算を行っていました。その後、メモリ事業、パソコン事業を売却し、重電・インフラ機器主体のメーカーとなっています。


 JR東海はリニア中央新幹線を建設中ですが、工事が進まないだけでなく、完成したとしても維持運営費をまかなうだけの収入が増えないと予想されています。つまり、現在の東海道新幹線の利益を食いつぶすだけになる可能性があるのです。


 このように決算書の数字を見ていくと、冷徹に結果が見えるということが決算書を読むことの面白いところです。


・TBS・・もはやテレビ局とはいえない・・受取配当金の85億円・・TBSは、東京エレクトロンという半導体製造装置メーカーの大株主です・・・2番目の稼ぎ頭は、不動産・その他の事業の77億円(p73)


 書きにくいのかもしれませんが、最後のほうに、書籍の販売額がどんどん減ってきている中で、なぜ多くの新刊が出るのか?という疑問への答えが書いてありました。


 その答えは、新刊を出すと出版社は、本を取次(問屋)に卸し、取次から売上代金が入金されるのです。新刊を出せば、売れなくてもすぐに現金を手にすることができ、キャッシュフローが改善するということです。本質的には書籍が売れた時点で利益が確定するわけで、販売店への押し込み販売と同じで一時的な現金の帳尻を合わせているだけということです。追い込まれるとそうしたことをせざるをえなくなってしまうのでしょう。


 多くの事例が乗っており、参考となりました。前田さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・ライフネット生命は赤字が続いている・・・資料によると、保険契約を1件獲得するための費用は約67000円。そして、その後は、平均して約43000円の保険料が約17年入ってくる(p50)


・1000万円の定期死亡保険を30歳で契約した男性の場合、保険料は1068円。そのうち、保険会社の経費にあてられるのは401円・・・経費が安いといわれるライフネット生命(p52)


・スターバックスは好業績なのに債務超過・・・配当金の支払いと自社株買いといった株主還元をした結果、債務超過となったのです(p120)


・メルカリ・・2020年6月期まで赤字が続いていました・・・営業CF(キャッシュフロー)はプラス・・・代金の受取と支払いのタイミング・・・商品を買った人がメルカリに代金を支払います・・・受け取ってから、メルカリが、預かっていたお金を出品者に支払います(p194)


・クックパッドの売上高が111億円です・・・日本ハム、資生堂、セコムといった会社は売上高が1兆円規模です(p28)


▼引用は、この本からです
「決算書のトリセツ」前田 忠志
前田 忠志、実務教育出版


【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次

第1章 大きい取引ができるのは、社長か?課長か?―会社の大きさを読む 損益計算書(PL)1
第2章 なぜ頑張っても給料は増えないのか?―会社の稼ぐ力を読む 損益計算書(PL)2
第3章 持ち家と賃貸、どちらが得か?―会社の倒産リスクを読む 貸借対照表(BS)
第4章 なぜ牛丼店のいすには背もたれがないのか?―会社の効率を読む BS×PL
第5章 本が売れない時代に、なぜ多くの新刊が出るのか?―お金の流れを読む キャッシュ・フロー計算書(CF)



著者紹介

 前田忠志(まえだ ただし)・・・ 1971年生まれ。公認会計士。東京大学経済学部卒業。日本興業銀行(現みずほ銀行)にて融資業務、決算業務に従事。財務コンサルタントを経て独立し、M&A仲介会社を設立。約30年間にわたり、銀行員、コンサルタント、M&Aアドバイザーといった多面的な実務経験を通じて決算書を読み続け、決算書のエッセンスを見極める手法を確立した。脳と言葉の技術であるNLPにも精通しており、現在は、心と数字のわかるコンサルタントとして活躍している。


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