「小池百合子の大義と共感」大下 英治
2021/08/20公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
要約と感想レビュー
コロナ対応について、緊急事態宣言や飲食店の時短や酒類提供禁止などについて、小池東京都知事と官邸との対立が気になり、小池さんの本を3冊ほど手にしました。
この本から小池氏の経歴を見ていくと、テレビ番組のキャスターとして知名度を高め、1992年日本新党から初出馬しています。その後、新進党、自由党、保守党、自民党と渡り歩き環境大臣、防衛大臣を歴任し、2008年には自民党総裁選で3位。
環境大臣のときにクールビズ運動を始め、防衛大臣として、その後、接待疑惑で逮捕される守谷事務次官を更迭しており、実績を上げているといえるでしょう。
2016年に小池氏は都知事となりますが、自民党東京都連幹部を抵抗勢力として選挙戦を戦い、自民党と対立しています。二階幹事長と近く、石破茂氏を応援するなど、自民党に近い保守でありながら、自民党をぶっ壊すと言った小泉的な面を持っている政治家のように見えました。
・小池百合子は、平成24年9月、当時野党だった自民党の総裁選挙では、石破茂を応援した(p258)
面白いのは、武漢ウイルス対策については、東京都は厳しい感染症対策に前向きですが、小池都知事と医師会は密に連絡を取り合っており、医師会の意向を考慮していることがわかります。
オリンピック無観客開催やコロナ対応についてマスコミでは菅政権を批判していますが、オリンピックにしろ医療体制にしろ、飲食店への要請にしろ、実は知事が持つ権限が大きいのです。
「GoToトラベルキャンペーン」でわかるように官邸は経済重視で、できるだけ経済活動に悪影響を与えない範囲で、コロナを抑えたいのです。一方、東京周辺でコロナ感染者が拡大し、医療体制も整備されないため病床が逼迫して、緊急事態宣言となり、経済活動が制限されてしまうことにイライラしているのは官邸なのです。
医師会とすれば、病院経営にリスクのあるコロナ病床はできるだけ作らず、病床が逼迫したとしても、非常事態宣言で飲食店の時短や経済活動を制約してもらえばよいという考えなのでしょう。
・新型コロナ感染症の渦中、東京都医師会の尾崎治夫会長は、日本医師会の横倉義武会長と頻繁に連絡を取り合っていた・・・知事には今日電話して、早めの日本型ロックダウンを改めて要請しました・・・「一部地域では病床が不足しつつある」とし、これ以上の患者増加は医療現場の対応力を超えると指摘した(p59)
内容としては、小池氏の経歴を淡々と説明するだけで、学歴詐称疑惑は記載していない点から、小池氏側の書籍のように感じられました。
キャスターから政治家となったことから、時代の流れを読むのがうまく、マスコミ対策や世論誘導ができる人だと思いました。二階幹事長と近いところが、不安材料ですが、もう少し小池氏を調べてみたいと思います。
大下さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・平成5年8月に細川護熙内閣・・・私(小池)は、、石田幸四郎総務庁長官のもとで総務政務次官に任命されました。その時、二階先生は社会党の伊藤茂運輸大臣のもとで運輸政務次官を務めておられました・・二階先生とはそれ以来、新進党、自由党、保守党とご一緒しました(p26)
・東京都では、令和2年1月末から2月にかけて、自民党の二階俊博幹事長や外務省などの要望を受けて、新型コロナで苦しんでいる中国に計5回、合計約33万着の備蓄防護服を無償提供した(p22)
・小池百合子都知事が主宰する政治塾「希望の塾」は、初めて「都議選対策講座」を開いた・・「選挙ではメッセージをいかに明確に出すかが重要。主張に一貫性を持たせることが大事だ」(p300)
・尾崎(東京都医師会会長)の元には自民党の医系議員から連絡が相次いでいた。「自民党の国会議員のうち、経済重視派は八割。医療優先派は二割しかいない」・・・「昨日、都が出した休業要請が厳しすぎると、いま副知事が呼ばれて官邸で責められている」(p66)
▼引用は、この本からです
大下 英治、エムディエヌコーポレーション
【私の評価】★★★☆☆(72点)
目次
序章 小池都知事直撃!「東京」再構築
第一章 東京、新型コロナとの闘い
第二章 小池百合子の源流
第三章 通訳からキャスターへ
第四章 華麗なる転身の先
第五章 権力の階段
第六章 生き馬の目を抜く
第七章 崖から飛び降りる覚悟
第八章 破竹の都民ファーストと同床異夢
第九章「東京」デジタルトランス戦略
終章 小池都政の現在、東京のゆくえ
著者経歴
大下英治(おおした えいじ)・・・作家。1944年広島県広島市に生まれる。1歳のとき被爆。父を失う。広島大学文学部仏文学科を卒業。大宅壮一マスコミ塾第七期生。1970年、『週刊文春』特派記者として月刊『文藝春秋』に発表した「三越の女帝・竹久みちの野望と金脈」が大反響を呼び、三越・岡田社長退陣のきっかけとなった。1983年、『週刊文春』を離れ、作家として独立。政治、経済、芸能、闇社会まで幅広いジャンルにわたり執筆活動を続ける。
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