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「トランプと自衛隊の対中軍事戦略」北村 淳

2021/03/25公開 更新
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「トランプと自衛隊の対中軍事戦略」北村 淳


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

宮古島、石垣島が危険

尖閣諸島での中国海警の領海侵犯が日常的になってきて、自衛隊の離島奪還訓練も行われる状況に今後どうなるのだろう、と手にした一冊です。著者は日本人ながらシアトル在住。米国大学で博士号を取り、米国海軍のアドバイザーを務めています。


この本からわかる軍事常識は、次のとおりです。スクランブル一日2回は平時ではない。占領されるのは尖閣ではなく宮古島、石垣島です。島嶼は奪還は難しいので、まず占領されないことが大切です。したがって、南シナ海を封鎖されたら、日本も海峡封鎖を実施します。


那覇空港で何度も自衛隊機によるスクランブル発進に出くわしたことのある米軍将校などは、「毎日、平均して2回もスクランブルを行っているような状態は、もはや平時とはいえない」と、日本政府の「暢気(のんき)さ」に驚いている(p6)

玉城デニー沖縄県知事は反対

軍事常識から見れば、中国が侵攻するのは尖閣諸島ではなく、宮古島や石垣島です。尖閣はインフラがなく、補給が難しいからです。宮古島や石垣島なら、島民を人質にして空港や港からの補給も容易に行うことが可能なのです。


自衛隊が宮古島、石垣島に自衛隊基地を建設しようとしていることは、合理的かつ島民を守るためなのでしょう。玉城デニー沖縄県知事が、「宮古、石垣の自衛隊基地建設工事を止め丁寧な説明を」防衛相へ要請していますが、中国侵攻を支援する姿勢を示したことになります。


中国が占領するのは無人島ではなく、宮古島や石垣島のような比較的大きな有人島ということになるだろう。島民を盾にできる・・・もし宮古島が占領されてしまい、我々が奪還しなければならない事態に陥ってしまった場合・・・これほど悪条件がそろっている島嶼に侵攻した経験はない(p39)

玉城デニー沖縄県知事は反対

著者が提案するのは地対艦ミサイルを日本の島嶼に大量に配備することです。できれば、中国を包囲するようにフィリピン、インドネシアなどにも配備したい。地対艦ミサイルは中国が侵攻してきたときに使用される専守防衛兵器ですが、中国が南シナ海を封鎖したときの対抗手段として海峡封鎖にも活用できるのです。


中国を支援する人にとっては困ることだと思いますが、宮古、石垣の島民を守るため 大量の地対艦ミサイルを配備してもらいたいと思います。北村さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・2017年6月、日米が陸上自衛隊の地対艦誘導弾(SSM)を用いて共同訓練を行うことも判明した・・・SSMを、米軍は保有していない(p3)


・中国側にとって最も効果が期待できるのは、軍事的反撃の恐れがない日本を締め上げ、その日本を軍事的に支援するアメリカも道連れにし、窮地に陥れる戦略だ・・・南シナ海を縦貫する日本のシーレーンを妨害する態勢を見せつけ、日本に経済的圧力をかける(p78)


・一隻の超大型石油タンカー(VLCC)には、およぼ200万バレルの原油を積載することができる。この量は、日本で一日に消費される原油総量のおよそ半分だ・・・一年を通して毎日16隻以上の日本向け、そして日本からのVLCCが、九段線内部の南シナ海を航海し続けている(p81)


・日本政府は国家緊急権の法理を発動し、領海法附則第二項を停止した。すなわち、これまで長きにわたって日本政府が「特定海域」として国際海峡とみなしてきた津軽海峡、対馬海峡(西水道韓国側を除く)、大隅海峡は、ようやく国際海洋法条約の原則通り、日本の領海に戻されたのだ(p200)


▼引用は、この本からです
「トランプと自衛隊の対中軍事戦略」北村 淳
北村 淳、講談社


【私の評価】★★★★☆(81点)


目次

まえがき―日本が開発・製造している地対艦ミサイルが主役
第1章 「グレートバリア戦略」とは何か
第2章 大反撃を受ける中国
第3章 中国人民解放軍が宮古島に侵攻する日
第4章 南シナ海で中国が直面する悪夢
終章 地対艦ミサイルは専守防衛の武器



著者経歴

北村淳(きたむら じゅん)・・・アメリカ海軍アドバイザー(政治社会学博士)。東京都に生まれる。東京学芸大学教育学部卒業。警視庁公安部勤務後、1989年に北米に渡る。ハワイ大学ならびにブリティッシュ・コロンビア大学で助手・講師等を務め、戦争発生メカニズムの研究によってブリティッシュ・コロンビア大学で政治社会学博士号を取得。専攻は戦略地政学ならびに海軍戦略論。軍隊の内部でフィールドリサーチを行う数少ない日本人で、米シンクタンクで海軍アドバイザーを務める。シアトル在住。


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