スラックライン世界一「楽しいだけで世界一!」林映寿
2021/03/24公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
無料で利用できるスラックライン施設
長野県小布施町にある浄光寺では、コンビニのように人が集まるお寺を目指して「寺子屋活動」をしているという。例えば、楽しく字を書く「筆遊び教室」。裏山で遊ぶ「グランピング体験」。そして、無料で遊べるスラックラインです。
スラックラインとは細いベルトの上でバランスを楽しんだり、綱渡りをしたり、技を競うスポーツです。何と浄光寺のスラックライン部から第1回「X Games」世界大会での優勝者を出してしまったという。
「浄光寺スラックラインパーク」が正式にオープン。いつでも誰でも無料で利用できるスラックライン施設としては、おそらく日本初です。もともと何もなかった空き地が、日に日に人が集う場所に進化していく。これは嬉しい!楽しい!(p21)
自分に合ったものを続ければよい
面白いのは、何でも遊び心からやってみて、楽しいかどうか。楽しいから次はこうする。次はこれを準備しようと、徐々に本格的になっていくことです。何事もやってみないとわからないこともあるし、失敗を恐れていたら何もできない。できるところから、遊びのレベルからやってみれば、自分にとって楽しいのか楽しくないのかわかるのです。
1つのことを長い期間やるより、10のことをやってみて、自分に合ったものを続ければよい、という考え方なのでしょう。「無理だ」と負けてしまうよりも、できるためにどうするのかを考える。できるために行動を重ねていく。そのほうがワクワクするというのです。
浄光寺の裏山にはツリーハウスが建っています。建築士の仲間が完成予想図の絵を描き、それを造ったものです。これは遊びでした。でもそれがきっかけで、彼も今では大手食品会社が主催するツリーハウスプロジェクトの仕事を請け負うまでになりました(p23)
楽しい!面白い!と工夫
読んでいて、なぜか涙が出てきました。人口が減り、仏教離れの日本ではお寺とは衰退産業なのです。しかも、檀家を増やすと葬儀で長期の予定は立てられない。お寺はブラック職場なのです。
そうした中、経済状況が苦しい時も、お寺をコンビニにする!と決めて楽しい!面白い!と工夫しているうちに、人が集まるようになってきたのです。設備がなければ、「マットほしい!」「もっと欲しい!」と周りの人たちにいいつづけているうちに、人から人へと情報が伝わって、埼玉の方からマットを譲り受けたという。
最後には、16歳の世界チャンピオンが生まれたのです。楽しく生きる道は必ずあるし、なんだか楽しそうに思えるから心が動かされたのかもしれません。林さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・5万5000しかないコンビニに人々は頻繁に行くけれど、7万7000もあるお寺にはほとんど行かない・・・そのとき、僕は決めました!「浄光寺のライバルはコンビニだ!地域の人たちがコンビニよりも浄光寺にたくさん訪れてくださるようにしよう!お寺を、みんなが楽しく集う場所、みんなから必要とされる場所にしよう!(p30)
・次の目標があったほうが励みになるし、上達も早い!・・・初級から上級まで、合わせて計30の階段を整備しました(p53)
・スラックラインを楽しくて始めたのなら、楽しいだけで続けさせてあげたい。いままでのように、「気合!、忍耐!、苦労!」という姿勢で指導されるよりも、選手自らが自主性をもって練習するほうが、きっと身になる(p75)
・自分で考え、自分で行動し、自分で納得する。すべて自分から発したことの結果なら失敗を恐れることも悔いる必要もない。むしろ、たくさん失敗してたくさん学んだほうがいい(p118)
・毎晩布団に入ったとき、「明日死んでも悔いはないか?」と、目をつぶって自分に問うのです(p171)
【私の評価】★★★★★(91点)
目次
第1章 楽しいだけで世界一!
第2章 明日死んでも悔いはない
著者経歴
林映寿(はやし えいじゅ)・・・1976(昭和51)年生まれ。1999(平成11)年大正大学人間学部仏教学科(当時)卒業。長野県小布施町真言宗豊山派浄光寺副住職(浄光寺第三十四世)。数々の寺子屋活動を行う。書道ではなく筆で字を書く楽しさを伝える「筆遊び教室」、寺の裏山でアウトドアを楽しむ「グランピング体験」など。2013(平成25)年から導入したスラックラインは、地域や行政を巻き込んで3年連続全国大会を開催。2016(平成28)年にはアメリカ・フランス・ドイツで開催された世界大会で世界チャンピオンに輝いた高校生を輩出
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