欧米か!「ずるい!?なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか」青木高夫
2021/03/16|

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【私の評価】★★★☆☆(75点)
内容と感想
■最近勝てないスキージャンプの
高梨沙羅さんが「スーツ規定違反」で
失格になったことを思い出して
手にした一冊です。
著者はHonda 本田技研工業の社員なので、
1989年F1でのホンダのターボエンジン禁止は
ホンダ潰しを狙ったものと断言しています。
それ以外にも思い浮かぶだけでも、例えば
水泳だと泳ぎ方で失格になる場合があり、
鈴木大地のバサロは10mに制限されました。
また、ノルディックスキーでは荻原兄弟が
活躍していましたが、ジャンプと距離の
計算方法を改正されて勝てなくなりました。
柔道もルール変更されて1本を狙う
柔道ではなくJUDOになってしまった
と言われています。
・スポーツでの「ずるい」2・・・無敵のマクラーレン・ホンダのターボエンジン禁止(p46)
■著者の問いかけは、こうしたルール
変更を「ずるい!」と思うのは、
正々堂々と勝つのが良いのだ、という
価値観が日本人の心の中にあるのでは
ないか、ということです。
ルール変更して勝ったとしても、
勝ちは勝ち、というのが欧米です。
ルール変更は適切な手続きを経て、
合意されたものだからです。
確かに、憲法でさえも必要があれば
変更する欧米人、
問題があっても変更しない日本人には、
どこか価値観に差があるように感じます。
それぞれ良い面、悪い面があると思いますが、
世界で戦おうとすれば世界のルールと
価値観の中で勝つことを考えないと
いけないのでしょう。
・もしかすると、私たち日本人は、スポーツやビジネスで勝者になることより、この美学の方を大切だと考えているのかもしれません(p27)
■なお、意外にも高梨沙羅さんが
勝てなくなったのはルール変更が
原因ではないようです。
現在のジャンプスキー板の長さは
体格指数(BMI)の値によって
「身長に対するスキー板の長さ」が
決まっており、痩せすぎの人が
有利にならないように
設計されているのだという。
背の低い選手が勝つこともあり、
最近ルール変更はありませんので、
高梨さんが勝てないというより
ライバルが強くなってきたのかも
しれませんね。
青木さん
良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・古くは水泳や卓球、新しくはスキージャンプからF1レースまで、日本の選手が強くなり始めると、ルールを変更してその頭を叩くという欧米列強の常套手段に「ずるい!」「またかよ!」と憤りを感じているスポーツファンは数限りなくおられることでしょう(p20)
・ビジネスなら、優秀な製品・サービスの開発に徹するのではなく、法律や制度をねじ曲げて自社製品を売り込む企業をずるいと思うのはどうしてでしょうか。それは、こうした相手の態度が美しく映らないからです(p27)
・1987年、文部省は1989年から導入を予定していた学校教育向けパソコンの標準規格として、トロンの派生製品の採用を決定しました・・・USTRが発行した外国貿易障害報告書の中に、この件は日本政府の市場への介入であるとの指摘が現れるのです・・・日本政府がこのクレームを素直に受け入れて、学校用教育パソコンへのトロン採用を断念したことについては、多少の疑問を持ちます(p73)
・現在の土俵の直径は15尺(4メートル55センチ)・・・1945年に開催された一場所のみ土俵の直径が16尺になったのです・・・相撲は早く勝負が決まるため、連合軍の兵士たちは早い勝負をつまらないと感じたのでしょう(p148)
・飛行機のシートベルト・・・「なぜ、金属製のバックルが体にあたるような設計をするのだろう」・・・金属のバックルで体を傷つける危険性が高くなります・・・不公平に思うのは、客室乗務員が、F1ドライバーのような4点式のシートベルトを装着していることです(p172)
▼引用は、この本からです
青木高夫、ディスカヴァー・トゥエンティワン
【私の評価】★★★☆☆(75点)
目次
第1章 なぜ私たちはルール変更を「ずるい」と思うのか?
第2章 実際に「ずるい」を味わってみるd
第3章 ルールを変えれば本当に勝てるのか?
第4章 ルールがあってこそ成長する
第5章 ルール作りのプリンシプル
著者紹介
青木高夫(あおき たかお)・・・本田技研工業(株)勤務。現在、渉外部長として、税制・通商など国内外の自動車産業に関わるルール作りに参画。豪州・英国での駐在期間を通じ、販社開発・企業合併・多国籍部門のマネジメントに携わる。この間、海外でのレース活動にも関与。本業の傍ら、欧米のビジネス書を発掘・翻訳する
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