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「権力に翻弄されないための48の法則 下」ロバート・グリーン

2021/02/21公開 更新
本のソムリエ
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【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

パワーゲームの泳ぎ方

人がいるところには、必ずパワーゲームが存在しているという。つまり、王室にも国会にも芸術家にも大企業にも権力者がおり、その下っ端がパワーゲームをしているのです。そうしたパワーゲームの中でいかに泳ぎ、自分にとって良い結果を得るかどうかは、その法則を知っているかどうかで変わるのです。


例えば、新しい組織に入ると、既存のメンバーに馴染めないためにイジメられる可能性が高まります。そうした中でいかに相手を立てて、自分はへりくだり、敵ではなく仲間を作ることができるのか。そこが大事なのです。


・自分より下の者と敵対関係になることの愚かしさを知っていたド・レは、自分の長所を隠してできるだけへりくだり、成功したのは運がよかったためだと強調した(p386)


失敗しそうな仕事は他人にまかせる

組織の中で権力を維持するためには、リスクのある危険なことは人にやらせることで失敗を減らし、自分の評判を落とさないことが大切です。初めての仕事を、自分だけでやろういとするのは危険すぎるのです。汚い仕事や危ない仕事であれば、かわりに仕事をしてくれる「手先」を探すのです。失敗しそうな仕事は他人にまかせ、自分は成果の出そうな仕事だけするようにするのです。


また、成功したとしても、できるだけ人に妬まれないように、自分は運が良いだけで人に助けてもらったことを強調するべきなのです。目立たないのもだめですが、目立ちすぎも危ないということなのです。だから自分の独創性や優越性を見せてもよいのは、明らかな友人と、自分を心から評価してくれる人物だけにすべきであり、普段は普通の人でなければならないのです。


・できるだけ人に妬まれないように、自分から提唱するのではなく、他人が言いだしたように見せかけることを心がけていた(p382)


問題児は、孤立させるか追放する

気に食わない人に対し、周囲を煽動して足を引っ張ろうと画策するような人は、どこにでもいます。そういう人を変えることは不可能であり、追放するしかないと断言しています。つまり、問題を起こす人は限られており、そうした人は何を言っても変わらないのです。問題児は、孤立させるか追放するかです。問題児を追放すれば、問題の原因がなくなり、それに従っていただけの中間層はリーダーを失って安定するという。


組織の中で、性格のよい人の好意を期待することは甘い考えといえるのでしょう。もし同僚が好意的であるとすれば、それが自分の利益になるときだけということは多いのです。いわんや、知らない人の中で、人の好意を得るためには、相手の個性を尊重し、相手の都合を理解してあげる必要があるのです。強気に出るのは、自分に抵抗する敵を作っているだけ、ということになりがちなのです。


世の中いろいろな人がいますので、危険を避けつつ、意見を聞きおだてながら、手柄を皆で分配し妬まれないようにすることが大事なのだと思いました。グリーンさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・自分の力を信じ、王のように振る舞うことによって、王冠をかぶるべき人間であるように見せることだ(p163)


・改革の必要性を説け、ただし一度に多くを変えるな・・・もし変革が必要なら、過去のゆるやかな変化を装うことだ(p363)


・コロンブスは、探検家としてはせいぜい二流というところだった・・・だが、コロンブスには一つの天才的な側面があった。それは自分の売り込み方を知っていたことだ。チーズの行商人の息子で下層の海運商人にすぎなかった男が、最上級の王や貴族になんとか自分を売り込んでしまった事実をほかにどう説明できるだろうか?(p169)


▼引用は、この本からです


【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

法則25 新しい自分を創造せよ
法則26 自分の手を汚すな
法則27 何かを信じたがる人間の性向を利用して、盲目的な崇拝者をつくれ
法則28 大胆に行動せよ
法則29 終わりにいたるまで計画を立てよ
法則30 努力は人に見せるな
法則31 選択肢を支配せよ - 自分に都合のいいカードを引かせる
法則32 幻想に訴えよ
法則33 人の摘みネジを見つけろ
法則34 自分のやり方で王になれ - 王のように振舞えば、王のように扱ってもらえる
法則35 タイミングをはかる技術を習得せよ
法則36 手に入らないものは相手にするな。無視する事が最大の復習である
法則37 壮大なものを見せて人の目を釘付けにしろ
法則38 考えは自由でも、行動は他人にならえ
法則39 魚をつかまえるために水をかきまわせ
法則40 ただ飯を軽蔑せよ
法則41 偉大な人間の靴に足を入れるな
法則42 羊飼いを攻撃せよ、そうすれば羊は散り散りになる
法則43 相手の頭や心に働きかけよ
法則44 ミラー効果で敵を武装解除させ、あるいは激しく怒らせろ
法則45 変革の必要性を説け、ただし一度に多くを変えるな
法則46 あまり完璧に見せてはならない
法則47 狙ったところを超えて進むな、勝ったら引きどきを心得よ
法則48 かたちあるものなどない



著者経歴

ロバート・グリーン (Robert Greene)・・・1959年、アメリカ・ロサンゼルス生まれ。雑誌の編集者や脚本家として経験を積んだのち、ベストセラー作家となる。著書に『成功者たちの誘惑術(原題:The Art of Seduction)』、『マスタリー―仕事と人生を成功に導く不思議な力 』(新潮社)などがある。


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