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組織で生き抜く「権力に翻弄されないための48の法則(上)」ロバート・グリーン

2021/02/18公開 更新
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権力に翻弄されないための48の法則(上)


【私の評価】★★★★☆(89点)


要約と感想レビュー

現代のマキャベリ

組織の中で生き抜き、権力を手にする方法が書いてあります。いかに仲間を増やしつつ、敵を減らして中間層を広くし主人から認められるのか。矛盾するようですが、目立ってはだめですが、自分を知ってもらう必要があるのです。一番大切なことは、自分を助けてくれる良い人脈を作ることでしょう。法則7では、他人を自分のために働かせよ、ただし手柄は決して渡すな、と言っています。


また、西欧社会の特徴かもしれませんが、表面的には公平で立派に見せていますが、その裏には嫉妬と欲望と欺瞞が渦巻いているという。つまりルールを決めて平等にやろう!と言いながら、ルールを決めるのは自分であり、自分に有利なルールをどんどん作ったりするのです。そうした裏の考え方を知らないと、地球環境とか差別撤廃などともっともらしいキャンペーンの裏にある謀略に気づかずに、流されてしまうことになってしまうのです。


・何をするにも、文化的に、上品に、民主的に、公正に見えなければならない。しかし、そのルールを額面どおりに受けとって、厳密にそのルールを守りながらゲームをすれば、そこまで愚かでない周囲の者たちに叩きつぶされてしまうだろう(p8)


悪い知らせの使者になるな

「法則24 完璧な廷臣を演じよ」の中の、悪い知らせの使者になるな、という提言は、私の会社組織での経験でも、納得できる内容です。気難しい上司がいたときに、私の先輩は「オレは午前中には上司に説明に行かない。午前中に入った同僚がどう扱われるか見てから判断する」と言っていたことを思い出しました。


つまり、今日の上司は二日酔いで機嫌が悪いのかどうか確認して、機嫌が良さそうなら説明に入るというのです。私はそんなことは気にせずに説明に入っていましたので、先輩に言わせれば「バカ」だったのです。


・悪い知らせの使者になるな・・・王は悪い知らせをもってくる使者を殺す・・・悪い知らせを運ぶ役目が自分ではなく同僚になるようにして、必要とあらば嘘やごまかしも使え。よい知らせだけを運ぶようにすれば、主人に歓迎される(p318)


ヒラメ上司のすすめ

上の顔色ばかり見ている上司を侮蔑的にヒラメ上司と言う人がいますが、実際ヒラメが出世したりするのが現実の世の中です。出世してやりたいことがあるならヒラメ上司といわれようとヒラメになり切るのも、一つの生き方なのでしょう。ただし、ヒラメとはいえ主人より目立ってはなりません。主人にはお世辞を言って得意がらせるがいいのです。


相手に応じて態度や話し方はを変えていくことです。強い相手には、降伏戦術を使って、戦わずに弱さを力に変えるのです。反対に取るに足りない弱い人間に見えたとしても、窮鼠猫を噛むということもあるので侮辱することは控えるべきです。正論は人を傷つけ、侮辱することにもなり、後で反撃されるリスクが高まることになるからです。


西欧的かつ合理的な権力組織の中での生き抜き方だと思いました。グリーンさん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・主人の寵愛を得ようとするなら、わからないように行動しなければならない・・・周囲はつねに、抜けがけする者を排除しようと画策しているのだ(p8)


・法則11 他人を自分に依存させておくすべを覚えよ・・・最善の方法は、依存関係を築くことである。主人にこちらの助力を必要とさせるのだ(p165)


・人びとが自分の行動を包んでいる目くらましにまどわされることなく、その奥にある動機を見抜けなければならない(p17)


・法則15 敵は完全に叩きつぶせ・・・モーセ以来、すべての偉大な指導者は、恐るべき敵は完全に叩きつぶさなければならないと知っていた(p202)


▼引用は、この本からです
権力に翻弄されないための48の法則(上)
ロバート・グリーン、パンローリング


【私の評価】★★★★☆(89点)


目次

法則1 主人より目立ってはならない
法則2 友を信じすぎず、敵をうまく使え
法則3 本当の目的は隠しておけ
法則4 必要以上に多くを語るな
法則5 名声は大いに頼りになる――生命をかけて名声を守れ
法則6 ぜひとも人の注目を集めよ
法則7 他人を自分のために働かせよ、ただし手柄は決して渡すな
法則8 他人に足を運ばせよ――必要ならば餌を使え
法則9 言葉ではなく行動によって勝て
法則10 感染を避けよ――不幸な人間や不運な人間とはつきあうな
法則11 他人を自分に依存させておくすべを覚えよ
法則12 意図的な正直さや寛大さで敵の武装を解け
法則13 他人に助力を求めるときは相手の利益に訴えよ。情けや感謝の念に頼ってはならない
法則14 友を装ってスパイをはたらけ
法則15 敵は完全に叩きつぶせ
法則16 姿を見せないようにして周囲の敬意と称賛を高めよ
法則17 予測不能の雰囲気をかもしだして、相手をつねにおびえさせておけ
法則18 保身のために砦を築くな――孤立は危険である
法則19 相手の性格を見きわめよ――不適当な人物を攻撃するな
法則20 誰にも深く肩入れするな
法則21 だまされやすい人間を装って人をだませ――カモよりも自分を愚かに見せよ
法則22 降伏戦術を使って、弱さを力に変えよ
法則23 自分の力を結集せよ
法則24 完璧な廷臣を演じよ
法則25 新しい自分を創造せよ
法則26 自分の手を汚すな



著者経歴

ロバート・グリーン (Robert Greene)・・・1959年、アメリカ・ロサンゼルス生まれ。雑誌の編集者や脚本家として経験を積んだのち、ベストセラー作家となる。著書に『成功者たちの誘惑術(原題:The Art of Seduction)』、『マスタリー―仕事と人生を成功に導く不思議な力 』(新潮社)などがある。


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