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日本の離島のトピックス集「驚いた! 知らなかった日本国境の新事実」

2020/12/28公開 更新
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「驚いた! 知らなかった日本国境の新事実」


【私の評価】★★★☆☆(76点)


要約と感想レビュー

 日本には6852の離島があるという。この本では、海洋学者がこれら離島の話題を集めた一冊となっています。日本は島国ですので、敵は海からやってくる。交易も海を通じて行う。新技術も海外からやってきた。外国の影響により日本の歴史が変わることもあり、離島には日本と海外との交流の歴史が残されているのです。


 例えば、1800年頃、日本との交易を望んでいたロシアは、長崎に留め置かれ、無視され、頭に来て、北海道で武力行使をしています。今のロシアのように国際政治とは武力が大きな役割を持っているのです。


・1804年にレザノフは、漂流の民津太夫らを伴い長崎に来航し通商を求めたが、半年も待たされた挙句に拒絶された。怒ったレザノフは、ロシア軍人らを使い樺太と国後島にある日本の出先機関「会所」を襲撃する・・・そして、一層ロシア脅威論が蔓延していった(p140)


 特に国境の離島では人が暮らしていることが、海洋権益を主張するための前提となっています。そして今、日本では無人島が増えている現実があります。


 海洋権益を考えれば、経済性を無視してでも離島を実効支配し続けるための施策が求められているのでしょう。しかし人口が減ってきている今の日本に何ができるのでしょうか。


・肥前鳥島から排他的経済水域を宣言すると、韓国の済州島に向けて大きく広がる・・・韓国側は、苦し紛れに肥前鳥島は人が住んでいないので国連海洋法条約第131条3項による岩であり、排他的経済水域を有しないと反論してきた(p44)


 日本が島国であることを再確認させてくれる一冊でした。島国であることのメリットを最大化するためには、今後も離島を守っていくことが必要です。現在の技術を用いれば、ほぼ無人島でも経済活動を行うことが可能ではないかと思いました。


 無人島が他国に占領される前に手を打っていきたいものです。山田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・朝鮮の史書『世宗実録』の1446年の記事には「真倭(本当の日本人)は一割、二割にすぎず、残りは我が国の民である」と記述されており、17世紀、清朝の時代に書かれた歴史書『明史』にも後期倭寇の中心は私貿易を行う中国人であったとされ「真倭は、10のうち3である」とも記載されている・・・偽装倭寇と呼ばれ、すべて悪事は日本人の仕業にしようとしていたのである(p153)


・軍艦島は、島全体がいわば炭鉱都市であり、最盛期の1960年には5267人が暮らし、人口密度は世界一・・・島の炭鉱労働者たちの収入は月額20万円ほどの高所得であり、家には3種の神器といわれたテレビ、冷蔵庫、洗濯機は、ほとんどの家が持っていたという(p210)


・「春一番」の語源は、・・・安政6(1859)年・・・壱岐島元居浦の53人の漁民が鯛の延縄漁に出ている時に、突然襲ってきた大風と大波にのみ込まれ、帰らぬ人となった事故に由来するといわれている(p196)


・信徒の中には、カソリックの信仰に馴染めず、再び潜伏する道を選んだ人々がいた・・・平戸の隠れキリシタンのお宅にうかがうと、3つの祭壇があった。仏壇、神棚、そして納戸神と呼ばれる隠れキリシタンの祭壇である。隠れキリシタンとは、多神教の色彩と祖先への崇拝を併せ持った伝統と形式を重んじる究極の日本化したキリスト教である(p208)


・日本が輸入するカニやウニは、ロシアが支配する海域で密猟されたものが混ざっている。表面的には通常の貿易取引のように見えるが、ロシア人が不正に取得した輸出許可証により持ち込まれている(p26)


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▼引用は、この本からです
「驚いた! 知らなかった日本国境の新事実」山田 吉彦、実業之日本社


【私の評価】★★★☆☆(76点)


目次

現状編 視界不良の日本国周辺
歴史編 これまでの常識を覆す事実
雑学編 目からウロコの面白話



著者経歴

 山田吉彦(やまだ よしひこ)・・・1962年千葉県生まれ。東海大学海洋学部教授、博士(経済学)。海洋政策研究財団客員研究員。学習院大学経済学部を卒業後、金融機関を経て、日本財団に勤務。多摩大学大学院修士課程、埼玉大学大学院経済科学研究科博士課程修了。専門は海洋政策、海洋安全保障、現代海賊問題、国境問題、離島問題


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