人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

統一場理論ノーベル賞作家の書いた「科学の発見」

2020/12/21公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

「科学の発見」


【私の評価】★★★☆☆(76点)


要約と感想レビュー

 1979年に電磁力と弱い力を統合した統一場理論で、ノーベル賞を受賞した著者による科学の歴史です。私たちは学校で物理・化学を勉強していますが、アリストテレスの時代には物理・化学は哲学でした。つまり、物は何なのか。地球とは何なのか。太陽と星はなぜ動くのか。古代の人々は考え、悩んでいたのです。


 例えば、私達が原子とは何なのかとわかったのは、1911年のことです。アーネスト・ラザフォードが金原子の質量が正電荷を持つ小さな重い原子核に集中していること、負電荷を持つそれより軽い電子がその周囲を回転していることを実験を明らかにしたのです。100年前のことでしかないのに驚きです。


・アリストテレス・・・彼は「自然か人工か」の区別にこだわった・・・アリストテレスやその弟子たちが実験を軽視したのは、この自然偏重のせいだったかもしれない(p47)


 そして私たちは、21世紀という幸福な時代に生きています。医療が科学的に有効性を持つようになったのは19世紀後半頃からのことだし、原子の存在が明らかになったのが1905年、原子核の存在がわかったのは1911年なのです。


 一人ひとりがパソコンを持ち、インターネットでつながったのも最近のことです。今、人類は、宇宙にロケットを飛ばし、体外受精で人工的な妊娠を可能とし、新型ウイルスのワクチンを1年で開発してしまう知識を持っているのです。


・1905年、アルバート・アインシュタインは、液体表面で微粒子が不規則に運動する「ブラウン運動」を、「液体の個々の分子がこれらの微粒子に衝突することによって起きる」と説明した・・それまで原子の存在に懐疑的だった科学者ヴィルヘルム・オストヴァルトは1908年に意見を変えた(p333)


 現在でも、電磁力と重力と原子の力をすべて統一する理論は確立されていません。人類すべての貧困をゼロにできていないし、戦争もなくならないし、エネルギーも数百年で枯渇する可能性がある。それでも人類はだんだんと進歩し良い方向に向かっているのではないか、と私はこの本を読んで感じました。


 ワインバーグさん、良い本をありがとうございました。


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 


人気ブログランキングへ


この本で私が共感した名言

・アルキメデスは積分法を先取りする方法を用い、さまざまな平面図形の面積や体積の計算に成功した・・・現在πと呼ばれているもの、つまり円周÷直径の値を「3と7分の1と、3と71分の10の間である」という証明することに成功した(p66)


・19世紀に消毒法という本当に有益な、科学的根拠のある手法が導入された当初、大半の医師がこれに積極的に反対した・・・20世紀初頭あたりまでは、平均的な病人は医師の治療を避けたほうが得策だった(p69)


・アリストテレスは、『天体論』の中で、地球が球形であることの理論的根拠と実証的根拠の両方を述べている・・・月食時に月面に映る地球の影はカーブを描いているし、北または南に移動して観察すると星の位置が変わって見える(p95)


・コペルニクスの地動説・・・太陽中心モデル・・・水星と金星が太陽の近くでしか観測されない理由がこれによって説明できる(p208)


・惑星の軌道は円形ではなく楕円形なのだ、と彼は結論づけた。『新天文学』第58章で、ケプラーはついにこれを明確にする(p222)


・1609年、ガリレオが筒眼鏡と呼ばれるオランダ製の新式器械のことを初めて聞いたとき、天文学の革命が始まった(p230)


・ガリレオは、斜面を転がり落ちる球の動きや前方へ投げ出された物体の動きという人工的な運動にも目を向けた。その意味で、ガリレオの作った斜面は、自然界に存在しない粒子を人工的に作り出す現代の粒子加速器の遠い祖先だと言える(p255)


・デカルトの最大の貢献は、曲線上や面上の点の座標を満たす方程式によって曲線や面を表す、解析幾何という新しい数学的方法を考案したことだった(p269)


・ニュートンは微積分法を発見したが、この研究は長い間発表されなかった・・・ニュートンの運動と重力の理論は、歴史に最大級の影響を与えた・・・それは1666年のことだった「私は、重力は月の軌道にまで及んでいるのだと考えるようになった・・(p293)


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村へ


▼引用は、この本からです
「科学の発見」


【私の評価】★★★☆☆(76点)


目次

第1部 古代ギリシャの物理学
第2部 古代ギリシャの天文学
第3部 中世
第4部 科学革命



著者経歴

 スティーヴン・ワインバーグ(Steven Weinberg)・・・1933年、アメリカ生まれ。理論物理学者。カリフォルニア大学バークレー校、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学などを経て、現在はテキサス大学オースティン校の物理学・天文学教授。量子論の統一理論への第一歩となる、「電磁力」と「弱い力」を統合する「ワインバーグ=サラム理論」を1967年に発表し、79年にノーベル物理学賞を受賞する。


メルマガ[1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』]
3万人が読んでいる定番書評メルマガです。
>>バックナンバー
登録無料
 

<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本


コメントする


同じカテゴリーの書籍: