経営の教科書「TRACTION トラクション ビジネスの手綱を握り直す 中小企業のシンプルイノベーション」ジーノ・ウィックマン
2020/12/16公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
起業家のための経営メソッド
著者は家業立て直しの経験をまとめた「起業家のための経営メソッド」(EOS)を販売しています。「起業家のための経営メソッド」はビジョン、人、データ、課題、プロセス、トラクション(実行力)から構成。それぞれパターン化することで、だれでもレベルの高い経営ができるようにするというのが著者のPRです。何でも仕組み化して商品化するのは、欧米らしいところですね。
仕組化することで、カリスマと同じようなことを普通の人でもできるようにするということ。カリスマ経営者のフランチャイズのようなものと考えればよいのでしょう。
企業が大きくなってくる過程で経験する落とし穴は、同じようなものです。例えばフォーカスしていない。本来、ビジョン・理念で売るべきサービスが明確であれば、営業部隊が「それをお求めでしたら、我が社ではお役に立てそうにありません。うちが得意としているのはこの3つの分野ですから」と答えるはずなのに、現実は違うのです。
ビジョン・トラクションシート・・・自社が最も抜きん出た分野にフォーカスし続け・・・マーケッティング戦略を明確化し、「10年目標」、「3年後イメージ」、「1年計画」を具体化し、ビジョンを効果的に伝え、全社員がそれを共有できるようになるだろう(p3)
毎週ミーティングで経営の状況を把握
特徴としては、毎週ミーティングで経営の状況を把握し、課題があれば改善を行うことでしょう。方向性に間違いがないか、週次で業務の進捗状況をチェックするのです。毎週のアジェンダにある「石」とは、「マイルストン」のような重点項目の締め切りです。いつまでに誰が何をやるのか、優先事項を「石」として明確にすることで、業務を推進(トラクション)するのです。皆が「石」に集中する環境を作ることで、集中力を高め、実行度を高めるのです。
また、短時間にミーティングを終えるために、進捗状況のチェックには時間制限があります。課題は、課題リストに入れて優先順位を考慮しながら、後で課題解決トラックで話し合うという仕組みが素晴らしいと思いました。仕組みとして進捗状況のチェックが30分と決めているから、30分で終わり、もっとも大切な課題解決に1時間を使えるわけです。
・毎週のアジェンダ
切り替え 5分
スコアカード 5分
石の進捗状況 5分
顧客・従業員のニュース 5分
To Doリスト 5分
課題解決トラック 60分
ミーティング終了 5分(p225)
具体的で測定可能な優先項目
トラクションとは、「実行力」の意味です。では、トラクション(実行力)をつけるために必要なのは、具体的で測定可能な優先項目を明確化することだという。そして、組織を運営するための社内でのミーティングの質を向上させることも重要だという。
守・破・離と言われますが、最初は「守」ということで本書のようなある程度成果が見込めるパターン化したものを導入したほうが、失敗が少ないのではないか、と思いました。もちろん従業員の解雇の方法など国によって合う合わないところがあるかもしれませんが、仕事を進める原則はどこでも変わりません。
内容としては一般に良いといわれている手法を網羅しており、本書の内容をやってみるだけでも面白いと思います。ウィックマンさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・1年計画が決まったら・・・次の四半期で最も重要な優先事項は何かを決める・・・本書ではこうした優先事項を「石」と呼んでいる(p85)
・スコアカードとは、組織にとって重要な5~15の数値が含まれた週次レポートのことだ。スコアカードは、毎週ビジネスの脈拍をフォローし、今後の展開を予測し、組織が目標から逸れたらすぐに教えてくれる(p4)
・スコアカード(週間売り上げ、現金残高、営業電話、営業ミーティング、提案、成立した取り引き、給与総額、顧客の問題、顧客満足度、売掛金、買掛金(p140)
・満足保証・・保証がなくても会社が潰れることはないが、保証があればビジョンをより早く達成できる(p76)
・コア・プロセスを文書化するには・・・文書化するのは各プロセスの責任者だ(p176)
【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
第1章 起業家のための経営システム(EOS)
第2章 つるから手を離す
第3章 ビジョン
第4章 人
第5章 データ
第6章 課題
第7章 プロセス
第8章 トラクション(実行力)
第9章 すべてのモジュールを合わせてEOSを実践する
第10章 始めよう
著者経歴
ジーノ・ウィックマン(Gino Wickman)・・・承継した家族経営のビジネスをV字回復させた経験からEOS(起業家のための経営システム)を生み出す。 EOSワールドワイド創設者。中小企業の現場に赴いて経営チームがEOSを導入するサポートすることに多くの時間を費やしている。
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