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「ゼロデイ米中露サイバー戦争が世界を破壊する」山田 敏弘

(2020年8月27日)|本のソムリエ メルマガ登録
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【私の評価】★★★☆☆(77点)


内容と感想

■ゼロデイ脆弱性とは、ソフトウェアの欠陥で
 一般に知られていないもののことで、
 闇の世界で高額で取引されているという。


 各国のサイバー軍が、兵器として
 ゼロデイ脆弱性を民間から購入して
 いるのです。


 もちろん敵国からの攻撃を防ぐための
 研究にも使われると思いますが、
 指示があればいつでも攻撃できるよう
 準備しているのでしょう。


 特にサイバー戦争は物理的な
 戦争よりも見えにくいため
 敷居が低いのです。


・NSAは(フランスの)プーペンが提供する年間定期登録プランを購入していたことが判明している・・・さらにプーペンは、NATOに加盟しているドイツのような先進国や、ASEAN諸国、ニュージーランドやオーストラリアにも、ゼロデイ脆弱性を販売している・・・サイバー武器商が、サイバー軍拡競争を煽っているという構図だ(p202)


■2010年にはイランの核施設で
 ウランを濃縮する遠心分離機が暴走し、
 破損したことが、明らかになりました。


 これはスタックスネットと呼ばれる
 デジタル兵器によって、シーメンス製の
 制御装置がハッキングされ、
 遠心分離機が外から制御されたのです。


 ゼロデイ脆弱性も活用し、
 イラン側がわからないうちに
 核施設が乗っ取られていたのです。


 スタックスネットを仕掛けたのは
 イスラエルとアメリカというのが、
 定説となっています。


・スタックスネットの存在が知れ渡った後、2010年11月にイランでは核技術の専門家二人が、相次いで暗殺事件に巻き込まれた。一人は車に仕掛けられた爆弾で死亡、もう一人は、何者かが車に仕掛けた爆弾から辛くも逃れて一命を取り留めた(p71)


■アメリカは、情報漏洩のリスクがあるとして
 中国の情報通信製品製造会社
 ファーウェイなどを取引停止にしており、
 他国に対しても中国の情報通信機器を
 排除させようとしています。


 これは中国への情報漏洩というよりも
 中国の情報通信機器が大きいシェアを占めると
 アメリカが現在行っている情報収集が
 難しくなるからなのでしょう。


 すでにサイバー報戦争は始まっている
 ということなのです。


 山田さん、
 良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・ある元米国防総省高官は私の取材に、「国防総省だけでも少なくとも20テラバイトの需要データを中国に盗まれている」と語る(p28)


・北朝鮮は韓国にどんな攻撃を仕掛けたのか。2013年3月、韓国の主要放送局2社や金融機関などが一斉にマルウェアを使ったサイバー攻撃に見舞われ、内部ネットワークが使えなくなり、5万台のコンピュータがダウンする事態に陥った。MBC(韓国文化放送)はシステムがフリーズしたが、なんとか放送を続けた。ただこの攻撃により、対象となった放送局や金融機関では多数のパソコンからデータが消去された(p243)


・原子炉が他者によっても操作しうるデジタルコントロールで動いていることを考えれば、原子炉内の圧力を変えたり、はたまた電源の供給に不具合を起こし、原子炉に多様なダメージを与えることができる(p74)


・「キャンディグラム」というツールは、ターゲットが特定の電波塔を使った際にショートメールで監視者に通知する、いわゆる現場のスパイのために作られたと思われるツールである(p184)


・郵送中の機器にマルウェアを埋め込む手法は「サプライチェーン妨害」と呼ばれている・・・マルウェアが数か月後に、NSAの極秘システムに折り返し連絡をしてきた。この『コールバック』によって、相手のデバイスへの不正アクセスを可能に・・(p186)


・NSAと密に協力している、イギリスでシギントを専門に諜報活動を行うGCHQ(政府通信本部)は、NSAと共謀して、ベルギー最大の通信会社ベルガコムをこのクアンタム・インサートを使って監視していた。なぜベルギーかというと、ベルギーの首都ブリュッセルにはEU(欧州連合)の本部が置かれ・・(p188)


・スノーデンによって暴露された2013年の予算を見ると、NSAはゼロデイ脆弱性を購入するのに、2510万ドルを使っている・・・またNSAは優秀なハッカーを多く抱えているために独自でゼロデイ脆弱性の発見も行っている(p201)


・関係者らの証言によれば、マイクロソフトはかつて自社製品の脆弱性に警告やパッチを出す前に、その脆弱性をNSAと共有していたという指摘もある・・・シスコは、米政府が監視できるように自社製品のルーターにわざとバックドア(裏口)を作っていたと言われている(p206)


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▼引用は、この本からです

山田 敏弘、文藝春秋


【私の評価】★★★☆☆(77点)


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目次

プロローグ 二〇××年末、東京
第一章 ナタンズの姿なき攻撃者
第二章 スタックスネットを見破った男
第三章 二一世紀のマンハッタン計画
第四章 「デジタル・パールハーバー」が起こる日
第五章 「ムーンライト・メイズ」と「タイタン・レイン」
第六章 アメリカが誇る世界最強のサイバー軍団
第七章 インフラを狙え!
第八章 暗躍するNSAと「サイバー兵器」
第九章 「ゼロデイ」が生んだ、新しい死の商人
第十章 小さなサイバー大国イスラエル
第一一章 サイバー空間の新世界秩序
第一二章 ロシアがトランプ大統領を誕生させた
エピローグ 二〇一七年、そのとき日本は......


著者紹介

山田 敏弘(やまだ としひろ)・・・国際ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版などに勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員として国際情勢の研究・取材活動に従事。国際情勢やサイバー安全保障を中心に多くのメディアで執筆を行っている


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