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「岩盤規制 誰が成長を阻むのか」原英史

(2020年8月26日)|本のソムリエ メルマガ登録
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【私の評価】★★★★☆(85点)


内容と感想

■元経済産業省官僚であり、
 政府の規制改革推進会議委員、
 国家戦略特区ワーキンググループ座長代理
 の著者が教える日本の規制の実態です。


 著者は加計問題で国会に参考人招致され、
 加計問題は不適切な規制をただしたものと
 証言したのですが、報道はたったの2分。


 一方、「行政が歪められた」と証言する
 前川元文科次官の発言は2時間以上
 報道されました。


 今も岩盤規制と著者の戦いは
 続いているのです。


・加計問題・・・文部科学次官を退任した前川喜平氏が「行政が歪められた」として会見を開き、批判一色の様相となった・・・真相は、「歪められていた行政をただした」・・・一般に大学や学部は、文部科学省の認可プロセスを経て、適正な計画ならば認められる。ところが、獣医学部の場合、すでに存在する16学部だけしか認めず、新設は一切門前払いする規制があった(p25)


■米国では、禁止されていること以外は
 すべて許されている。
 日本では、すべて官僚にお伺いを
 たてなければわからない、
 というジョークがあります。


 こうした日本の岩盤規制は、
 業界関係者、族議員、官僚の
 鉄のトライアングルから
 作られているのだという。


 官僚の天下りは禁止されていますが、
 官僚は業界に利益を誘導し、
 退官後のメリットを享受するという
 構造は変わっていないのです。


・獣医学部新設と天下りの問題は、決して無関係ではない。「事前規制型」行政を色濃く残してきたことと、裏で天下りあっせんを続けていたことは、地下で同じ水源につながっている。そして、これは文科省だけの問題ではない(p102)


■薬をネットで売ることへの規制や
 テレビ放送のソフト・ハード分離の議論、
 学校教育への規制など日本には
 不思議な規制が残っているようです。


 とはいえ、官僚にお伺いをたてないと
 後で梯子をはずされるか、
 マスコミから叩かれるか、最悪、
 逮捕されるおそれもあります


 日本において官僚の力をあなどっては
 ならないのでしょう。


 原さん、
 良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・規制を担当する省庁の課長たちにとって、「事前規制」は権力の源泉そのもの・・・「事前規制」があるから、業界は省庁にいちいちお伺いをたてる。その諾否の権限を握っているから、業界のコントロールができる(p77)


・伝統的な政策決定は、関係業界、族議員、役所というインナーサークルで閉鎖的になされていた。官僚たちは、民主主義のプロセスで選ばれる総理大臣や大臣の指示より、インナーサークルの利益の最大化を優先した。これは決して過去の話ではない(p19)


・政府には審議会や研究会が数多くあるが、大半は、役所の作る政策プラン(報告書案や答申案などの形をとる)にお墨付きを与える会議だ(p14)


・千円カットの店では、地域にもよるが、バックヤードに謎の洗面台が置かれている・・・千円カットの店では、洗髪はしない・・・多くの自治体で「理容室である以上、必ず洗髪台を設置しなければならない」との規制が、この10年ほどで急速に広まったためだ(p33)


・クリーニング店では、宅配ボックスを例外的ケースでしか設置できない・・・「対面」と「顔色」で、病原菌の感染を防ぐため、高熱のありそうな人が持ってきた衣類はカウンターでより分けるためという理屈だ(p11)


・例えば数学の先生がいない場合、他の科目免許(英語、体育など)の先生が特例で教えることは認められるが、学校外にいる数学の先生がテレビ会議方式で教えることは原則認められない(p11)


・あるローカル局の番組の収録でのことだ。私は、そこの自治体の行政運営について、かなり批判的なコメントをしたところ、そのコメントは編集段階で全てカットされ、一切放送されなかった。制作スタッフにきくと、理由は「(その自治体が)テレビ局の株主なので」とのことだった(p119)


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▼引用は、この本からです

原 英史、集英社


【私の評価】★★★★☆(85点)


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目次

はじめに
1 加計問題にみる岩盤規制の基本構造
2 「20世紀の規制改革」を怠った日本
3 官僚機構改革「面従腹背」の歴史
4 マスコミが殺気立った「放送法4条騒動」
5 放送界「ハード・ソフト分離」とテレビの未来
6 「電波オークション」と「高い携帯電話料金」の深層
7 世界が直面する「現在の課題」――「格差とグローバル化の影」
8 世界が直面する「未来の課題」――第4次産業革命への対応
おわりに 「全知全能の政府」の可能性と「アジャイルな政府」


著者紹介

原 英史(はら えいじ)・・・1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省、大臣官房企画官、中小企業庁制度審議室長などを経て2009年退官。「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める


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