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「ライス回顧録 ホワイトハウス激動の2920日」コンドリーザ・ライス

(2020年6月30日)|本のソムリエ
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【私の評価】★★★★☆(84点)


■コンドリーザ・ライスといえば、
 アフリカ系アメリカ人でありながら、
 大統領補佐官、国務長官を歴任。


 大統領補佐官のときには
 911アメリカ同時多発テロ事件から
 アフガニスタン、イラク戦争に
 対応しています。


 2004年からの国務長官時代には
 北朝鮮核実験やパレスチナ問題に対応。、
 最後の2008年にはリーマンショックを
 経験しています。


 北朝鮮問題については、
 軍事オプションをちらつかせながら
 中国の影響力に期待するというのが
 アメリカの基本方針のようです。


・大統領は、中国を動かすためにはどのような言葉を使えばいいのか、電話会談をする前にアイデアを求めてきた・・・単刀直入に、北朝鮮に軍事力を行使するようにアメリカの強硬派から強い圧力がかかっていると江沢民に言い、さらに大統領自身の判断で、北朝鮮をこのまま野放ししておくと日本が核武装化する可能性も排除できない、と付け加えた(p230)


■興味深かったのは、外務省にあたる国務省と
 国防総省とワシントンの大統領府が、
 それぞれ対立していることでしょう。


 国防総省は軍のことに口を出してほしくない。
 国務省は外交のことに口を出してほしくない。
 大統領府は最高責任者として口を出したい。


 もちろん外交と軍事は補完しあいながら、
 アメリカの力の源泉ですから、
 対立する方針を調整し、決定するのが
 大統領府の役割なのです。


 それぞれの立場で、それぞれの意見があり、
 その調整結果で政策が大きく変わる
 怖さを感じました。


・ホワイトハウスが軍の指揮系統に口を出しすぎているとドン(ラムズフェルド)が考えていて、それに苛立ちを募らせていたことを、私はまったく知らなかった。ジェリー(ブレマー連合国暫定当局長)を任命するときに、大統領が彼と二人きりで会ったことも、ドンには不満だった。それに、私が定期的にジェリーに電話をしてイラクでの進捗状況を確認していたことにも怒りを感じていた(p226)


■スタンフォード大学の東欧・ロシアの
 専門家である教授が、国務長官に
 なれる仕組みがアメリカにはあるのだな、
 と感じました。


 人事の流動性と組織の変更などを見ると
 日本よりトップダウンで変化が激しく、
 良くいえば実力主義、結果と責任が明確、
 という感じでしょうか。


 今度は、ボルトン米大統領補佐官の
 暴露本を読んでみようと思います。


 ライスさん、
 良い本をありがとうございました。


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■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・NSCが仲介すべきなのは、部門間で政策に関する合意が成立しない場合や、調整できない場合などだ・・国防総省と国務省は多くの場合どのレベルにおいても、協働する道を見つける必要がある(p29)


・国防総省の予算は国務省のおよそ40倍もあり、その運営能力には目を瞠るものがある。国務省としてはときとして、軍の勢力範囲を苦々しく思う一方、それに依存している(p29)


・大統領は国務省に根強い不信感を持っており・・・「大統領が本当に言いたかったこと」と呼んだ類のリーク情報に、たえず腹を立てていた(p267)


・国務省がアフガニスタンやイラクになかなか外交局の高官を派遣できない・・必要な人材が不足しているのは相変わらずで、職員が家族を帯同できないような、難しい地域のポストは特にそうだった。国務省は配属を立候補制で決めているので、人気のないポストはなかなか埋まらないことが多かった。とりわけ、家族の事情に配慮しなければならないことが多い中間管理職に、その傾向が強かった(p291)


・実はスピーチライターが挿入した「悪の枢軸」という言葉には、深い意味はなかった。単に大量破壊兵器を所有する一部の国家がそれをテロリストに引き渡すかもしれないという点をはっきり示すためのものでしかなかったのだ(p145)


・軍事オプションは、平壌に対しては良策とは言えなかった・・ほぼ確実に、ソウルに多大な損害が出る・・ウィリアム・ペリー元国防長官をはじめとする有力者たちが、2006年7月の北朝鮮の核実験に先立って、北朝鮮の弾道ミサイル基地に対する空爆を開始すると威嚇すべきだと提案したが、ブッシュ大統領とその補佐官たちは、軍事行動を真剣な検討対象にはしなかった(p643)


・米海軍の偵察機がいつもの監視任務についていたところ、中国の戦闘機二機のうち一機と衝突したという・・・公海上であったため、航行の自由を主張することが重要だった。問題が複雑になったのは、人民解放軍が事実とは異なる情報を中国指導部に報告したからだ(p56)


・アメリカがいつも人権問題やチベット問題を取り上げるのを中国は快く思わなかったが、彼らは我慢してきた。大統領は、ホワイトハウスの公邸でダライ・ラマと何度も面会したが、北京からの遠吠えはほとんど聞こえてこなかった・・・人権問題に対しては断固とした姿勢で臨む・・・私たちは、これほど急速に成長を続けている国で、一党独裁がいつまでも続くわけがないと確信してもいた(p582)


・韓国が、アメリカの長年の友人である日本に深い疑念を抱き続けていることにはどう対処すればいいのだろう?ロシアと日本がいまだに平和条約を結んでいないことや、日本と中国の緊張関係については?・・・東アジアは悪い二国間関係の宝庫だった・・・この地域に漂う憎しみの感情に巻き込まれて、身動きがとれないこともしばしばあった(p287)


・日本の真珠湾攻撃についてさまざまな議論がなされ、「奇襲攻撃」は避けたいという気持ちがあった。私たちは、タリバンに最後通告を行い、その後、宣戦布告をする必要があった。コリンはパキスタンに選択肢を示す役割を引き受けた。私たちにつくか、それとも敵になるか?(p91)


・アメリカに深い敵意を抱いている不可解な専制国家である北朝鮮やイランは、核兵器を含む大量破壊兵器の開発を始めようとしているように見えた。サダム・フセインは中東を牛耳り・・・大量破壊兵器を再び購入したり製造したりする能力は次第に制約を受けないようになっていた・・・当時私たちは、パキスタン核開発の父と呼ばれたA・Q・カーンがサイドビジネスをしていたことを知り、大きな危機感を抱いていた(p142)


・当時、イランの工作員が、イラク国内でシーア派の民兵に高性能の爆破装置を提供したり、訓練を施したりするなどの活動を展開していた。ブッシュ大統領はそうした活動に従事する工作員を対象とする襲撃許可を出した。この決定は中東全域に衝撃を与えたが、「イランの過激派がイラク国内で活動した場合、処罰の対象となることを、テヘランに知らしめる必要がある」と説明した・・・そのとき拘束された過激派のなかに、イランの軍事諜報組織クッズ軍の高官が一名含まれていた・・(p499)


・必要だというCIA長官の意見を受け入れたのだ。「殺害もしくは捕獲」の対象とされた個人一覧を作成したことは気がかりでもあった。特に、そうした作戦では民間人の犠牲者も出るように思えたからだ。だが、それが9・11後に私たちが置かれた状況だった。合法かつ必要である選択肢を却下すべきだったとは思わない(p118)


・相手国の外相には、ディナーは遅くとも午後9時半には終わらせてほしいと告げておく。「私がわずか4時間の睡眠で、アメリカの名のもとに決断を下すなんて、勘弁してほしいでしょう?」と事前にスタッフには言っておく。そして、その土地の"珍味"にはなるべく手をつけないよにする・・・(p412)


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▼引用は、この本からです

コンドリーザ・ライス、集英社


【私の評価】★★★★☆(84点)


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■目次

時間が途切れる前
実直な仲介者
政策に着手する
中東
ウラジーミル・プーチン
「アメリカが攻撃されている」
戦争計画の始まり
テロとの戦いと国内戦線
南アジアの核問題
二国家解決 他


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