人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「サブスクリプション」ティエン・ツォ、ゲイブ・ワイザート

2020/04/10公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー

サブスク(継続課金)の実例

米国では小売店だけでなく、ショッピングモールが減少してきているという。リアル店舗からネット販売、ネットでのサービス販売に大きな転換が起きているのです。そしてデジタルサービスは商品を買うのではなく、月額○円で使い放題などといった継続課金になってきているのです。この本ではそうしたサブスク(継続課金)の実例を数多く教えてもらえます。


例えばカー・サブスクリプションの多くは、月ごとに契約することができるという。出かける機会の多い残り2カ月はサブスクリプションで車を利用という使い方もできるのです。
また、ストックホルムのハスクバーナ加入者は、毎月定額料金を支払い、(植木用電動バリカン)、チェーンソー、リーフブロアーのようなバッテリー駆動機器を利用することができ、道具を使い終わったら返却するだけだというのです。


・『フィナンシャル・タイムズ』紙(FT)・・・定期購読者は90万人を超えるが、売上の75%以上がデジタル版からである(p114)


原価がかからないからサブスク拡大

特に原価がかからないソフトウエア、情報、サービスは定額課金に変更する会社が増えてきました。アマゾンプライムは月額500円でアマゾンの商品送料無料、プライムビデオ見放題です。PDFのアドビは、高機能を使おうとすると月額1580円の定額契約が必要。マイクロソフトのOFFICEでさえ365という定額課金サービスを拡大させています。


著者のビジネスの目標は継続的な価値をもたらすサービスを創造し、顧客をサブスクライバーに変えて、定期収益がもたらせる構造を築くことだという。米国から10年遅れと言われる日本でも、売り切りから継続課金ビジネスが拡大していくのでしょう。


・アドビ・クリエイティブ・クラウドのサブスクリプション収入は、ほぼゼロから売上のほぼ100%を占めるまで躍進した・・・アドビが移行を発表した2011年の株価は約25ドル、移行翌年の収入はほぼ35%減少したが、その後、株価は年率25%ペースで上昇・・年間定期収益は約50億ドルである(p136)


スマホをプラットフォームとしたビジネス拡大

最近はスマートフォンの普及でスマホをプラットフォームとしたビジネスが拡大しています。ビジネスのサービス化、スマホ活用、IoT,AI,クラウドとビジネス形態がどんどん変化しています。米国では3000万人以上が音楽ストリーミングサービスと契約しており、米国の音楽ビジネスの売上の半分以上を占めているという。


スウェーデンのエヌジェニックは、スマート・サーモスタットを販売し、顧客は複数の電力会社と需給状況に応じて1時間単位で変わる料金契約を結び、安ければエネルギーを買う量を増やし、高ければ減らすという調整を分単位で行っているのです。こうした事例をたくさん示してもらうことで刺激を受ける一冊でした。ツォさん、良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言

・ハイブリッド型販売モデルというのは、セルフサービスでの販売と営業担当者による販売(一般に「サポート付き販売」と呼ばれる)の両方を組み合わせる(p241)


・フランスの電力会社のエンジーは、顧客が電気製品の修理や保守のための訪問サービスを予約できるサービスを提供している(p181)


・ソーラースタートアップであるLO3エナジーは、ブロックチェーン技術を使って、太陽エネルギーを隣の家に売る仕組みを提供している(p182)



ティエン・ツォ、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★★☆(86点)

目次

第1部 サブスクリプション・エコノミーの到来
------------------------------------
第1章 製品中心から顧客中心へ――すべては顧客を知ることから始まる
第2章 小売業にまつわる誤解――古い「筋書き」を逆転させる
第3章 メディアの隆盛――新たな黄金時代の幕開け
第4章 飛行機、電車、自動車――サービスとしてのモビリティ
第5章 新聞・出版――かつて新聞を出していた会社
第6章 テクノロジー産業の復活――〝魚〟を飲み込め!
第7章 IoTと製造業の興亡――モノを売る時代は終わった
第8章 所有から利用へ――あらゆるビジネスに広がる成長機会

第 2 部 サブスクリプション・モデルで成功をつかむ
------------------------------------
第9章 企業がサブスクリプション・モデルを選択するとき
第10章 イノベーション――永遠のベータ版にとどまれ
第11章 マーケティング――4つのPが変わった
第12章 営業――8つの新しい成長戦略
第13章 ファイナンス――新しいビジネスモデルの構造
第14章 IT――製品ではなくサブスクライバーを中心に置く
第15章 組織にサブスクリプション文化を根づかせる



著者経歴

ティエン・ツォ (Tien Tzuo)・・・Zuora 創業者兼 CEO。セールスフォース・ドットコムの創業期に入社し、CMO(最高マーケティング責任者)やCSO(最高戦略責任者)を歴任。同社での経験から「サブスクリプション・エコノミー」の到来をいち早く予見し、2007年にZuoraを創業しCEOに就任。Zuoraは、従来のプロダクト販売モデルからサブスクリプション・モデルへのビジネスモデル変革と収益向上を支援するSaaSプロバイダで、世界に1,000社以上の顧客を持つ。2018年4月にニューヨーク証券取引所に上場。


ゲイブ・ワイザート (Gabe Weisert)・・・Zuoraの『Subscribed』誌編集長。これまでにヤフー! 、フォーブス・ドットコムで執筆・編集業務に携わったほか、アンドリュー・ハーパー・トラベルのシニアウェブエディターを務めた。


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 

人気ブログランキングへ


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


メルマガ[1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』]
3万人が読んでいる定番書評メルマガです。
>>バックナンバー
登録無料
 



<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本 ,


コメントする


同じカテゴリーの書籍: