「ビジネスモデル全史」三谷宏治
2020/02/24公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★★☆(86点)
要約と感想レビュー
ビジネスモデルとは、お金を稼ぐ仕組みのことです。例えば、髭剃りは替え刃で稼ぐ。プリンターはインクで稼ぐ。これは「替え刃モデル」です。また、カードはお客は手数料無料(お店が手数料を負担)。グーグルは検索は無料で広告で稼ぐ。これは「無料モデル」です。
また、なぜPayPayが「100億円あげちゃうキャンペーン」をやるかといえばスマホ決済のシェアを拡大し標準化を狙っているからでしょう。VHSビデオにしろ、SDカードにしろ、標準となった規格が利益を総取りすることになるからです。
・クレジットカードを一般顧客に(無料で)広くばらまき、小売店などビジネス側への課金で収益を上げるという点で、後に述べる「フリーミアム」の一種といえるでしょう・・今や全個人決済の15~45%(日本15%、フランス32%、イギリス38%、韓国43%、アメリカ45%・・)をも占める、強固な社会インフラです(p32)
私が印象的だったのは、髭剃りのジレットが意識して「替え刃」事業を創業したということです。髭は毎日生えてきますがら、シェーバー本体は安くても「替え刃」で稼ぎ続けることができるのです。ビジネスモデルが確固であれば、新規事業でも成功する確率が高まると考えられます。
自分に関係することで、いずれかのビジネスモデルが適用できないか考えると面白いと感じました。ビジネスモデルを考える切り口としてこの本が役立つと思うのです。
・王冠を発明したのは、まさにその会社の社長であるウイリアム・ペインター・・・彼もジレットにアドバイスします。「君も、一度使ったら捨てられてしまうものを発明しろ。そうすれば客が安定するぞ」(p99)
企業が存続していくためには継続的に事業を見直し、新製品を出していく必要があります。他社のビジネスモデルを分析することで、自分の事業を今の時代に合わせて見直しできないか。まだまだやれることがありそうです。
三谷さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・米NASDAQには年間数百を超える企業が新規公開し、その9割方が数年で登録取り消しになっています・・日本では新規公開が全体で年間40件しかなく、取り消し率も2割程度に過ぎません(p117)
・「ペイパルマフィア」・・・YouTube、LinkedIn、Yammer、IronPort、TESLA、Yelp、そして37頁に登場したSquare。すべてペイパルの幹部や従業員たちによって2002年以降、創業された会社です(p197)
・エバーノート(Evernote)のCEOフィル・リービンは、「フリーミアムが機能するまでには、時間を必要とする」」と語りました。事実、同社の無償ノート・アプリを使い始めたユーザーが、1ヶ月以内に有償ユーザーになる確率はたった1%以下でしたが、2年以上の利用者になると、それは12%に跳ね上がっていました(p224)
・P&Gのコネクト+ディベロプメント・・・
外部からのアイデア3000~4000
↓
本部選別1200~
↓
事業部選別
↓
開発対象150~(p269)
・サン・マイクロシステムズの共同創業者ビル・ジョイがこう表現しました・・
<ジョイの3法則>
1 頭のいい社員は仕事をしない
2 もっとも頭のいい人間の大半は、企業のためには働かない
3 よって、イノベーションはよそ(企業の外部)で生まれる(p304)
この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
三谷宏治、ディスカヴァー・トゥエンティワン
【私の評価】★★★★☆(86点)
目次
序章 お金にまつわる5つのビジネスモデル革新
第1章 ビジネスモデルとは何か?
第2章 近代ビジネスモデルの創生期
第3章 近代ビジネスモデルの変革期
第4章 世紀末、スピードとITによる創造期
第5章 リアルを巻き込んだ巨人たちの戦い、小チームの勃興
第6章 どうビジネスモデル革新を起こすのか?
補章 今、日本から世界に挑戦できること
著者経歴
三谷宏治(みたに こうじ)・・・K.I.T.虎ノ門大学院教授。早稲田大学ビジネススクール・グロービス経営大学院客員教授。1964年大阪生まれ、福井育ち。東京大学理学部物理学科卒業。INSEAD MBA修了。ボストンコンサルティンググループ勤務ののち、アクセンチュア勤務。03~06年にはアクセンチュア戦略グループの統括を務める。現在、社会人教育の他、大学・高校・中学・小学校での子ども・保護者・教員向け教育を中心に活動中。永平寺ふるさと大使、放課後NPOアフタースクール、NPO法人3keys理事
メルマガ[1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』] 3万人が読んでいる定番書評メルマガです。 >>バックナンバー |
|
コメントする