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「あの会社はこうして潰れた」帝国データバンク情報部藤森徹

(2020年2月 6日)|

【私の評価】★★★★☆(80点)


■リーマンショックの後に
 「中小企業金融円滑化法」が制定され
 借金返済の猶予を受けて、
 日本の倒産数は減少しているという。


 この本では倒産事例を紹介していますが、
 エドウインやミュゼプラチナムなど
 「あの会社が経営破綻していたんだ!」
 とびっくりするものもありました。


 エドウインは社長が為替取引で
 ギャンブルを繰り返し500億円を超える
 損失を出していたという。


 エドウインの場合は、
 本業が堅調だったため伊藤忠商事の
 全額出資子会社として再出発しています。


・エドウインの不正経理の概要を見てみる・・主にドル・円による為替取引を10年以上も前から繰り返し・・累積の赤字額は520億円・・当時の社長、常見修二の巨額財テク(p120)


■経営破綻のパターンとしては、
 拡大スピードが早すぎて、
 収益が減少し、借入金が増え、
 資金繰りが回らなくなるもの。


 逆に、業界が右肩下がりなのに
 現状を変えることができず
 累積債務により
 資金繰りが回らなくなるもの。


 さらには為替や市場の混乱に
 巻き込まれて倒産するパターンですが
 粗利益が小さく余裕のない会社は
 常に倒産の危険性があるのだと
 感じました。


・婦人靴卸のシンエイは・・伊勢丹、三越、高島屋、西武百貨店、そごうなど・・・ブランド「Riz」や「Marie」は若い世代の女性に広く知られた・・・業界の2つの商習慣に縛られた姿だ。1つは「マネキン」の存在・・百貨店には社員のほかに、メーカーや問屋が派遣する販売員が店頭に立つ・・もう1つが委託販売制度だ・・納品した段階でいったん全量を売り上げに計上・・在庫を返品すると、問屋やメーカーはその分を最初に計上した売上高から減額する(シンエイ)(p62)


■業界のすべての会社が倒産している
 わけではないの、なぜその会社だけが
 倒産したのかが重要だと思いました。


 キャッシュフローをプラスにすること、
 資金的な余裕を持つこと、
 が大事だと思いました。


 現在、会社を経営している方は
 倒産させていないだけで素晴らしい
 経営者と言えるのでしょう。


 藤森さん、
 良い本をありがとうございました。

───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・2015年10月6日に業界大手で「ミュゼプラチナム」を運営するジンコーポレーションが借入金の返済猶予を求める私的整理を進めていることがわかり・・・ミュゼプラチナムでは、低価格キャンペーンによる脱毛に先立ってカウンセリングを行い、ほかの部位や全身脱毛のコースなども提案。例えば全身脱毛で4回通うコースだと16万8000円・・・急成長のあおりで既存会員の予約が取りにくい事態が発生・・会員からの解約が増加し、資金繰りの計画が合わなくなったという(p88)


・出版業界では再販売価格維持制度のもと、「返品条件付売買」で流通が成り立っている・・新刊本は約7割、雑誌などは約4割が返品されるといわれる・・・1996年の2兆6564億円をピークに市場規模は減少傾向が続いており、2016年には1兆4709億円まで落ち込んでいる・・・栗田出版販売は・・2014年9月期以降は債務超過に陥っていた(p188)


・銀行側から見ると、融資に消極的にならざるを得ない・・介護事業は、介護報酬の引き下げや予防介護への転換など国の政策に大きく影響されるため、経営推移の予見が難しい。また入居者の募集の面でもマンションとは違い数ヶ月で「完売御礼」とならないため、資金繰り悪化による事業者の破綻リスクが比較的大きくなりがち(聖母の会福祉事業団)(p222)


・2010年から2016年の7年間で245の旅行会社が経営破綻した。華やかに見えるトラベル業界だが、競争激化に加えて、インターネットによる航空券の直接購入などの影響で従来の手数料ビジネスが限界にきているという厳しい現実がある
 (ロータリーエアサービス)(p26)


・日本ロジテックの場合、ずさんな電力供給計画のために、破綻直前のインバランスペナルティが26億円にまで膨らんでいたようだ(p84)


・急速なFC拡大にかかるコストが大きな負担となっていた。さらに、首都圏に進出した際の先行投資も重く・・一部からは「役員が過大な報酬を受けていた」と指摘する声もある(回転寿司チェーンの海王コーポレーション)(p147)


・「金融村の理論」では、不測の事態に陥った局面ではメインバンクの責任がまず問われる・・確固とした信頼関係をメインバンクと構築していることが、いざというときの保険となる・・多数の金融機関と取引するのはリスクがある(p123)


・通称「パクリ屋」といわれる詐欺集団が、言葉巧みに取引を持ちかけ、数百万円、数千万円単位で商品をだまし取る・・・現在でも全国で10を超えるパクリ屋が暗躍していると見られる(p173)


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帝国データバンク情報部
藤森徹、日本経済新聞出版社

【私の評価】★★★★☆(80点)


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■目次

第1章 構造変化に呑まれた企業はこうなる
第2章 老舗企業のたどった末路
第3章 あの上場会社はこうして潰れた
第4章 ベンチャー企業はどこでつまずいたか
第5章 捨てられる会社、捨てられる社長
第6章 闇経済、不正、詐欺の舞台裏
第7章 出版業界のタブーに迫る
第8章 あなたもその倒産に巻き込まれる



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