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「『がんばる経営者』が会社をつぶす:最強の組織をつくる経営術」長友 威一郎

2020/01/08公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(89点)


要約と感想レビュー

自立型組織へ向けたコンサル

著者の会社は、成熟期に達した社員数30~60名の中小企業に対し、自立型組織へ向けたコンサルを行っているという。成熟期の中小企業の多くでは、社長が陣頭指揮をとってここまで成長してきたという成功体験があります。しかし、なぜか売上・利益が伸びなくなったり、幹部との関係が悪くなったりする会社もあるのです。社長自らが陣頭指揮を取り、トップダウンで仕事を進めるやり方に限界がきている可能性があるということです。


そのため最初の段階では、「現場の声を聞くのが怖い」という思いはあると思いますが、社員の声を聞く「強み発見診断」を行います。また、一人ひとりの社員について10~20項目ほどを社長が知っているかどうか埋めていく「社員理解シート」も書いてみるという。ほとんどの経営者の方が社員を理解していないことに気づくのです。それまでは社長がアクセルを踏んで引っ張ってきたのに、今はアクセルを踏むと社内の内部分裂が広がっていく状態なのです。


そうした状態を理解すれば、アクセルを踏むなら少しずつ、社員がついてこられるスピードを自覚することができるようになるのです。


・トップダウンのやり方・・・このやり方は失敗という結果を招きます。「N字回復」を目指す上で大切な要素である、社員たちが自ら考えて動くという自律心を潰してしまうからです(p29)


「理念構築合宿」と「理念浸透合宿」

成熟期から衰退期に向かう企業では、社長と社員との間に距離がある場合が多いという。社長はトップダウンで指示し、部下はただ従っている。場合によっては、一部幹部が派閥を作って社長と対立している。仲間と集団退職してしまうことさえあるのです。そうした会社に対し、社長と社員との距離を縮めることで、幹部や社員が仕事を自律的に行える環境作りを提案しています。社員と幹部、経営者とが自由に意見を言い合えるような環境づくりの一環として例えば、「社内勉強会、食事会、誕生日会」を行うのも効果的だという。


また、著者の会社では社長による「理念構築合宿」を行ったうえで、社長の想いを明確にしたうえで、「理念浸透合宿」を企画するという。「理念浸透合宿」では、社長と幹部とがきちんと対話する場をつくり、幹部同士が和解する場をつくることから始めるという。これが実際には難しいのでしょう。そうした基礎をしっかりさせたうえで、幹部同士で「会社の今の問題や課題」について話し合うのです。


・会社に対するロイリティはないけれど、スキルだけはあり、組織の中でも非常に高い影響力を持つ「人罪」・・・「人罪」の場合、自分のスキルを認めてもらえていると感じたとき、相手に心を開く傾向があります(p59)


トップダウン型組織から自律的組織

安定期に入った会社にとって、トップダウン型組織から自律的組織に移るということは、大切な視点だと思いました。「成長期」の社長の仕事は「陣頭指揮」ですが、「成熟期」の社長の仕事は「何もしない」ことで社員が自ら動くことなのです。


そのためにも社長と社員との良い関係を構築する必要があります。その上で、理念を共有し、権限を譲渡できるのか、ということだと思いました。長友さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・リーダーが社長に「50%の本音」を話せる会社は伸びる!・・・私たちも経営者をサポートするときは、ありのまま全てを社長に報告するということはしません(p88)


・奥様との関係が悪ければ「奥様に対して、社長は今、ものすごく苦労させていますよね。それでも支えてくれている奥様に、素直に心から『ありがとう』という手紙を書きませんか」と促すこともあります(p142)


・誕生月が同じ社員を集めて、毎月1回誕生日を祝う食事会を開いています。そこでは、誕生日を迎えた本人の上司からの手紙をプレゼントしています(p83)


・「挑戦型企業」の社長の目は、未来に向いています・・事業や社内組織づくりなど実務的な部分において、半年、1年先のことを見据えた取り組みに着手している状態です(p43)



長友 威一郎、合同フォレスト


【私の評価】★★★★☆(89点)


目次

第1章 売上が伸びるほど、社長の仕事が減る理由
第2章 あなたの会社は防戦型? 応戦型? 挑戦型?
第3章 「できる社長」は社員のやる気をなくす
第4章 社員が自然に育つ仕組みづくり
第5章 最強の組織が育つ環境づくり
第6章 社長の"ヒマ時間"が会社の未来をつくる



著者経歴

長友 威一郎(ながとも いいちろう)・・・株式会社ソリューション代表取締役。大学卒業後、富裕層マーケティング会社最大手・リゾートトラスト株式会社に入社。2006年、株式会社ソリューションの創業メンバーとして入社。2015年、専務取締役に就任し、経営者の「右腕」としてコンサルティング事業部の統括を行う。2017年、代表取締役に就任。株式会社ソリューションにおける自身のナンバー2経験をもとにした、幹部同士の協力体制を構築するマネジメント力には定評がある。


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