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「潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日」峯村 健司

2019/12/03公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

 朝日新聞国際報道部の記者による一冊です。2007年から2013年、胡錦濤から習近平指導部への移行を現地で取材してきたという。著者の業績は下記のとおり。
 2008年、空母ワリャーグ改修を撮影。
 2010年、金正日の中国訪問を予測。
 2011年、中国のステルス戦闘機「殲20」撮影。
 現場に出て写真や一次情報を得るのが著者のやり方だとわかります。


・中国・上海市の長江岸からカーフェリーで1時間・・「空母島」中州に浮かぶ東西27キロ、南北数キロの細長い長興島を、地元の人たちはひそかにこう呼ぶ(p114)


 習近平指導部へ移行する過程で、報道規制が強くなり、反腐敗キャンペーンで締め付けが強くなってきたことがわかります。また、解放軍増強も継続され、空母建設やステルス戦闘機の開発、サイバー部隊の存在などが明らかになっていきます。経済の減速から軍事的拡張と中国共産党政権が大きく転換してきているということなのでしょう。


・私が北京にいた2010年ごろまでは、一部の地方紙や経済雑誌を中心に調査報道が活発だった。食品安全の問題から官僚の汚職疑惑まで踏み込んだ独自報道があり・・今ではそのような進歩的なメディアは閉鎖に追い込まれたり、党の監督下に置かれたりして、国営新華社通信の記事を横並びで伝えるだけの存在となった(p232)


 この本を読んでいて思ったのは、情報統制されている中国では情報収集が難しいということです。空母や戦闘機の写真を撮影したり、現地報道や当局者の言葉を翻訳することぐらいしか特派員はできないのです。峯村さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・北京に赴任して最初の仕事は、国営新華社通信の端末の前に座ってニュースをチェックすることだった・・・それを翻訳して、「新華社通信によると」という記事を書くのが日課だった(p17)


・2013年・・海上自衛隊のヘリコプターが中国海軍艦に火器管制レーダーを照射されていたのだ・・まさに発射に直結する行動で、衝突の可能性が一気に高まる(p195)


・「戦争の準備をせよ」2013年1月14日の中国軍機関紙「開放軍報」は、軍総参謀部が全軍に対してこう指示を出したことを伝えた・・軍当局者は・・「釣魚島(尖閣諸島)をめぐる東シナ海の空と海での日米との対立を受けたものだ。この指示が最後に『開放軍報』紙上に出されたのは中越戦争が始まる直前のタイミングだった(p199)


・軍人たちの横暴の背景には、自分たちは特別だ、何をしても許されるという特権意識がある・・交差点に立つ警察官は一度も取り締らない。「軍の車両を捕まえると、面倒なことになるから見て見ぬふりをするしかない」と警察関係者は打ち明ける(p220)


・2004年5月、中国・上海の日本総領事館に勤務していた40代の男性領事が中国側から外交機密に関連する情報などの提供を強要されていたという遺書を残し、総領事館内で自殺した・・「かぐや姫」に通っていたのは、この領事だけではなかった(p98)


・吉林省政府当局者は私にこう証言する。「2008年だけで北朝鮮に向かった2000~3000両の中国の貨車が返されないまま、北朝鮮国内で使われています。ただ、北朝鮮側を怒らせると何をするかわからないから抗議できないのです(p166)


・北朝鮮に詳しい中国共産党関係者は、「我々が最も恐れるのが、北朝鮮の体制が揺らぐことです。あまり圧力をかけ過ぎると崩壊しかねない(p166)


▼引用は下記の書籍からです。


峯村 健司、朝日新聞出版


【私の評価】★★★☆☆(70点)


目次

序章 異形の超大国は何を目指しているのか―現場から見た急速な近代化の足元
第1章 中国軍の強さともろさ―新型ステルス戦闘機の実力
第2章 サイバー空間を占拠せよ―戦力と戦略の実態
第3章 宇宙開発への野望
第4章 世界最大規模のスパイ活動
第5章 中国、海軍大国への胎動―ルポ「空母建造」の現場潜入
第6章 国境から見た北朝鮮―「血の同盟」の実態
第7章 組織でみる中国軍の実像
終章 最後の中国特派員になるかもしれない―縦横無尽に取材のできた時代



著者経歴

峯村 健司(みねむら けんじ)・・・1974年生まれ。1997年朝日新聞社に入社。中国総局員(北京勤務)、 ハーバード大学フェアバンクセンター中国研究所客員研究員などを経て、アメリカ総局員(ワシントン勤務)。2010年度にボーン・上田記念国際記者賞受賞。


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