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「奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき」ジル・ボルト・テイラー

2019/10/08公開 更新
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奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)


【私の評価】★★★★☆(88点)


要約と感想レビュー

右脳の世界は豊かな世界

神経解剖学者であるテイラーさんは、左脳内で脳内出血をおこし、奇跡的に一命をとりとめました。左脳の機能が低下したことで記憶、話す、読む、歩くことができなくなりました。


ところが、左脳のない右脳の世界は、自分という境界のない「今、ここ」に自分がいるだけの豊かな世界だったのです。右脳は満ち足りて慈しみ深く、平和と愛、歓びを表現していたという。


右脳はとにかく、現在の瞬間の豊かさしか気にしません。それは人生と、自分にかかわるすべての人たち、そしてあらゆることへの感謝の気持ちでいっぱい。右脳は満ち足りて情深く、慈しみ深く、いつまでも楽天的(p170)

怒り・不安・さびしさは左脳が作り出している

リハビリにより左脳の機能が回復してくる中で、テイラーさんは気づきました。生活していく中で生じる怒り、不安、さびしさといった感情は、左脳が作り出していたのです。


右脳は常に今、この瞬間を感じており、そこには過去の恨みもなければ、将来の不安もないのです。左脳は正しいがゆえに他人を批判し、自分を傷つけるのです。


だから著者は、左脳の心が生む不安や心配のループから脱出する方法を見つけました。それは、息を深く吸って、「今この瞬間、わたしは完全で、ひとつで、美しい」という言葉を繰り返し口にすることです。


わたしがあえて回復しないようにしたのは、自分や他人に対して意地悪になったり、絶え間なく不安になったり、あるいは、口汚くののしってしまうような左脳の一部でした(p177)

右脳に委ねることで楽しいほうを選択できる

スポーツでいうところのゾーン、宗教でいうところの悟りとは右脳にあるのではないかと思いました。人はどうしても考えすぎてしまい、煩悩に引きずられてしまいます。それは左脳の仕業なのです。


ただ、マイナスの感情が押し寄せたときに、その感情を尊重することも大切であるという。尊重したうえで、マイナスの感情を体験できたことを感謝し、それから思考を現在の瞬間に戻すようにしているという。右脳にとっては、現在、今、この瞬間が永遠なのです。


左脳の機能を低下させ、自分を右脳に委ねることで正しいのではなく楽しいほうを選択できるのではないでしょうか。テイラーさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・頭の中でほんの一歩踏み出せば、そこには心の平和がある。そこに近づくためには、いつも人を支配している左脳を黙らせるだけでいい(p132)


・左脳マインドはわたしを、いずれ死にいたる一人の脆弱な人間だと見ています。右脳マインドは、わたしの存在の真髄は、永遠だと実感しています(p196)


・自分に苦痛を与えるような思考を巡らす必要なんかないんだとい気づいたことが、一番元気をくれました(p179)


・わたしは、たいていの場合、敵意のある対決を避け、共感を選ぶようにしています・・・まちがいはつねに起きるものですが、だからといって、自分を責めたり、あなたの行動や誤りをたしなめる必要があるわけじゃない(p181)


奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)
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ジル・ボルト テイラー
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【私の評価】★★★★☆(88点)


目次

脳卒中になる前の人生
脳卒中の朝
助けを求めて
静寂への回帰
骨まで晒して
神経科の集中治療室
二日目あの朝の後で
GGが街にやってくる
治療と手術の準備
いよいよ手術へ
最も必要だったこと
回復への道しるべ
脳卒中になって、ひらめいたこと
わたしの右脳と左脳
自分で手綱を握る
細胞とさまざまな拡がりをもった回路
深い心の安らぎを見つける
心の庭をたがやす



著者経歴

ジル・ボルト・テイラー(Jill Bolte Taylor)・・・神経解剖学者。1996年、37歳のとき脳出血により左脳の機能をすべて失った。8年のリハビリの末、身体、感情、思考すべての脳機能を回復させた体験を語ったTEDトーク(2008年)は、これまでに2800万回以上視聴され、伝説の講演となっている。現在は、ハーバード大学脳組織リソースセンター(ハーバード・ブレインバンク)のナショナル・スポークスマンとして、重度の精神疾患の研究のために脳組織を提供することの重要性について、啓蒙活動を行っている


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