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「教養としての「ローマ史」の読み方」本村 凌二

2019/09/07公開 更新
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教養としての「ローマ史」の読み方


【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

ローマの歴史から現代への応用を考えようという一冊です。ただ、ローマの歴史は文字で記録されたものを読むことにより、その歴史・文化を想像するしかありません。現代への教訓を導き出すのは、なかなか難しいものだと感じました。


例えば、4~5世紀ゲルマン人大移動でローマ帝国は混乱しますが、ローマ帝国は現代の欧米のように彼らを受け入れたという。ただ、違った価値観を持つゲルマン人が大量に入ってくることでローマ帝国は衰退した原因と言われているのです。そのゲルマン人がドイツ人になっているのですから、異民族の侵入は課題が大きいのです。


また欧米は権力を「独裁」「貴族制」「民主政」など様々な体制で制御してきました。いずれも一長一短で、内部の権力争いが絶えないのですが、こうした試行錯誤を行ってきたのが欧米なのです。


このようにローマの歴史は現代のヨーロッパの歴史とつながるものですので、西欧人と付き合いのある人には必須の知識です。西欧人と付き合うようになったら、もっとローマについて学んでみたいと思います。本村さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・民衆を説得すること(人)をギリシャ語で「デマゴーゴス」と言います・・本来のデマゴーゴスは、単に「民衆を説得する人」という意味の言葉でしかありません(p39)


・ローマ軍というのは、決して連戦連勝の常勝軍ではありません。恥辱にまみれた大敗も数多く経験しています。そんなローマ軍が大帝国にまで発展することができたのは、決して敗北という恥辱に沈むことなく、復讐心を掻き立て、その恥を必ず雪(そそ)いできたからなのです(p56)


・ローマは住民の数ではヒスパニア人(今のスペイン、ポルトガル)に劣り、活力ではガリア人に、多才さではカルタゴ人に、それから学芸ではギリシア人に及ばない。しかしながら、神々への敬虔さと慎みにおいては、ローマ人はいかなる人々にも引けを取らない(p93)


教養としての「ローマ史」の読み方
教養としての「ローマ史」の読み方
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本村 凌二
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【私の評価】★★★☆☆(70点)


目次

1 なぜ、ローマは世界帝国へと発展したのか―地中海の統一とカルタゴの滅亡
2 勝者の混迷、カエサルという経験―グラックス兄弟の改革、ユリウス・クラウディウス朝の終わり
3 「世界帝国ローマ」の平和と失われた遺風―五賢帝の治世とその後の混乱
4 ローマはなぜ滅びたのか―古代末期と地中海文明の変質



著者経歴

本村凌二(もとむら りょうじ)・・・東京大学名誉教授。博士(文学)。1947年、熊本県生まれ。1973年、一橋大学社会学部卒業。1980年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。東京大学教養学部教授、同大学院総合文化研究科教授などを経て、早稲田大学国際教養学部特任教授を2018年3月末に退職。専門は古代ローマ史。『薄闇のローマ世界』でサントリー学芸賞、『馬の世界史』でJRA賞馬事文化賞、一連の業績にて地中海学会賞を受賞


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