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「マンガーの投資術 バークシャー・ハザウェイ副会長チャーリー・マンガーの珠玉の言葉 富の追求、ビジネス、処世について 」デビッド・クラーク

2019/06/17公開 更新
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マンガーの投資術 バークシャー・ハザウェイ副会長チャーリー・マンガーの珠玉の言葉 富の追求、ビジネス、処世について ( )


【私の評価】★★★★★(95点)


要約と感想レビュー


偉大な企業を買う

マンガーとは、世界一の投資家といわれるウォーレン・バフェット氏のパートナーです。バフェットが投資持株会社バークシャー・ハサウェイの会長、マンガーが副会長です。


マンガーの偉大さは、格安の企業を買うのが得意なバフェットを格安でなくとも偉大な企業を買うように導いてきたことでしょう。格安の企業を買うだけなら、いずれはその企業は売らなくてはならない。もし、その企業が偉大であれば持ち続けるだけで良いのです。


そこそこの会社を割安な価格で買おうとするのではなく、すばらしい会社を適正な価格で書いなさい(p6)

格付け会社は信用できない

面白いのは、ウォール街の金融業界の闇をはっきり指摘していることです。格付け会社は信用できません。そもそも格付会社は格付けを請け負ったとき、数百万ドルを受けとっているのだから、格付会社の評価は参考にならないのです。


ファンドはボーナス・手数料目当てです。ファンドや投資銀行は大きくレバレッジをきかせ予想通りいけば何千ドルものボーナスをもらい、負けたとしても、市場のせいだとして会社に損失を埋め合わせてもらうだけなのです。


節税目的の投資話もあぶないのです。過剰な節税の手段を提供しようと近づいてくる人は多いのですが、話に乗ってはなりません。金融業界が、一発当てて億万長者になろうとする人たちのためのギャンブルの場と化してしまった現状に警鐘を鳴らしているのです。


金融コンサルタントや証券会社が好んで勧める分散投資とは、悪い銘柄を選んでひどい目に遭うのを避ける方法でもあるが、それは同時に、すばらしい銘柄を選ぶ機会をなくしてしまう方法でもある(p40)

株価の上昇時は現金を積み増す

それに対しマンガーやバフェットは、株価の上昇に対しては、株を買うのをやめて現金のポジションを積み増しています。強気相場であれば、投資資金を預ける顧客には困らないし、買えば株価が上がるのです。マンガーやバフェットは金融危機のような状況がいつ起こっても対応できるように、リターンが低くなることは承知のうえで、現金のポジションを積み上げているのです。仮に顧客が資金を別のところに移してしまってもかまわないのです。


マンガーの投資哲学は、割安な会社の株式を買うものです。近視眼的な株式市場では、ときに株価は会社の長期的な経済価値に対して割安になることがあるのです。能力のある経営者の質よりも、事業の質に賭けるのがマンガー流なのです。


マンガーは、投資手数料目当てのビジネスと化している投資運用業は愚かだと確信している。誰もがファンドマネジャーになりたがる(p60)

読書の重要性

著者が出会った賢人はいつも読書をしていたという。マンガーもバフェットも多量の本を読んできたのです。マンガーは子どもたちから「足の生えた本」と呼ばれていたという。


本当の知恵が、ここにあるのだと思いました。しかも、その知恵を誰もが買って知ることができるのです。ところが、誰もが実行できるわけではないとも思いました。なぜなら、世の中に大富豪や成功者が、それほど多くないからです。


クラークさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・(マンガーは)オフィスで過ごす時間のうち一時間を自らの不動産投資のために費やすことにして、実際に5件の投資案件を成功させた・・このときの最初の100万ドルを稼ぐのが最も難しかったと言っている(p11)


・株価が高すぎることを、二人はどうやって知るのだろうか。それは金融業界の主要メディアが、もはや二人の才能は輝きを失ってしまった・・と書き始めるときである(p82)


・米国の・・・化石燃料を使うことでエネルギーの自給を実現しようという主張をよく耳にするようになったが、まったく馬鹿げた政策だと思う(p122)


・中国に投資してはいけないのだろうか。下手に手を出すとひどい目にあうかもしれない。インドネシアで聞いたことだが、「あなたが賄賂と呼ぶものは、アジアでは家族の価値観なのだ」(p134)


・良いキャリアを築くためのルールが3つある。
 1自分自身が買おうと思わないものを売らないこと、
 2尊敬しない人のために働かないこと
 3いっしょに仕事をして楽しい人々とだけ働くこと(p199)



【私の評価】★★★★★(95点)


目次

PART1 投資で成功する考え方
PART2 企業、銀行、経済
PART3 事業と投資に関する哲学
PART4 人生、教育、幸福の追求についての助言



著者経歴

デビッド・クラーク(David Clark) ・・・ウォーレン・バフェット研究の第一人者。カリフォルニア大学でファイナンスおよび法律を専攻。バフェット一家と長年友人関係にあり、ポートフォリオ・マネジャー、弁護士、バフェットロジー講師という3つの顔を持つ 林康史(ハヤシヤスシ) 立正大学経済学部教授。大阪大学法学部卒、東京大学修士(法学)。クボタ、住友生命保険、大和投資信託、あおぞら銀行を経て、現職 石川由美子(イシカワユミコ) 株式会社トーキョー・インベスター・ネットワーク代表取締役。上智大学卒、法政大学修士(経済学)。カザノブ証券会社、スタンダード・アンド・プアーズMMSを経て、1996年11月に株式会社トーキョー・インベスター・ネットワーク設立、代表取締役に就任。個人投資家向け投資信託ポータルサイト「投信資料館」を運営 山崎元(ヤマザキハジメ) 経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員、国家公務員共済組合連合会資産運用委員会委員、株式会社マイベンチマーク代表。1958年北海道生まれ。1981年東京大学経済学部卒業、三菱商事に入社。その後、大手金融機関など12回の転職を経て現職。資産運用及び経済全般の分析・評論を専門とする


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