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「幸福論」須藤 元気

2019/06/14公開 更新
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幸福論


【私の評価】★★★☆☆(76点)


要約と感想レビュー

 先週、高野山に参拝してきたので、手にした一冊です。須藤 元気さんはレスリングの選手から格闘家になった変わり種。最近ではスーツ姿で7人のチームでダンスをする姿を、CMで見たのが私の印象です。須藤さんは2005年に「お遍路」、つまり高野山を開いた弘法大師(空海)の足跡をたどり、88の霊場を参拝した記録がこの本なのです。


・僕も一人になって、知らない場所を歩きながら「歩き瞑想」をしてみたかった。「人生で大切なのは、本を読むこと、人の話を聞くこと、そして、旅をすること」以前何かの本で読んだこの言葉をふと思い出して、僕は旅に出ることを・・考え始めた(p11)


 格闘家である元気さんの家訓が「頭を使え」というのが面白い。実際、元気さんは考えることが多かったという。でも、もっと直感を大切にして良いのではないか。正しいより楽しいことを選んでも良いのではないかと思ったという。正しい、正しくないというものは人が考え出した基準によって作られたもの。それを手放せば人はより自由になるのでしょう。


 だから著者は、人生何を手に入れるかではなく何を手放すかであると行っています。手放し、執着しなくなればなるほど逆にそれをふんだんに手に入れることができるというのです。物でもお金でも、チャンスでも、もし自分がほしいものがあったら、まずはそれを人に与えることから始めると良いという。与える人こそが、与えられるということなのです。


・須藤家の家訓が「頭を使え」だったせいか、今までの人生で思考の堂々巡りを感じることが多かった・・・頭は「秘書」のようなもので、自分の直感こそが、「社長」であり、すべての決定機関だということに気づいた(p143)


 須藤さんが「淡々と日常をこなしているように見える人たちが、「日常生活」という名の修行をしているように見えた」と言っているように、「お遍路」とは参拝することが大事なのではなく、そうした時間を持つことが大事なのではないかと思いました。日常から離れて自分や人生というものを見つめることができる時間を持つということです。


 元気さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・迷いがあるから壁に囲まれ自分のものに執着するが、悟りを開けばすべて十方は空だ。もともと東も西もない。どこに南や北があるというのか(p3)


・僕は、今まで形あるものを追求してきたが、形がないものこそ、永遠に残るものだと感じてきた(p183)


・今、この瞬間を生きる・・・今が幸せであれば、未来もまた幸せになる(p184)


・日ごろから僕は、極力ネガティブなことは口にしないように心がけている。よく、ちょっとしたことで「サイアク!」と言う人がいるけれども、そういうネガティブなことを口にするから、またそういう状況が繰り返し起こっているのではないだろうか?(p46)


・幕末期の長州藩士、高杉晋作は、己の自戒として「困った」という言葉を一切口にしなかったという(p46)


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【私の評価】★★★☆☆(76点)


目次

プロローグ 四国八十八カ所を旅する
THE LONG AND WINDING ROAD―発心の道場・徳島県
HONESTY―修行の道場・高知県
NEVER MIND―菩提の道場・愛媛県
TIME TO SAY GOOD‐BYE―涅槃の道場・香川県
エピローグ 八十八カ所を経て見えてきたもの
Simple&Positive!―GENKI SUDO 1978‐2005



著者経歴

 須藤元気(すどう げんき)・・・参議院議員、総合格闘家、レスリング指導者、ダンスパフォーマー、書家、魚屋店主、英会話学校代表。1978年東京都生まれ。高校時代からレスリングを始め、サンタモニカ大学でアートを学びながら格闘家としての修業を続け、帰国後に格闘家としてプロデビュー。2006年現役引退後は作家、タレント、俳優、ミュージシャンなど幅広く活躍。2008年、拓殖大学レスリング部監督に就任(最優秀監督賞を7回受賞)。2009年にはダンスパフォーマンスユニット「WORLD ORDER」を立ち上る。2019年、参議院の比例区に立憲民主党公認で立候補し当選。2020年、立憲民主党を離党し、無所属。


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