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「21世紀の戦争と平和: 徴兵制はなぜ再び必要とされているのか」三浦 瑠麗

本のソムリエ 2019/05/22メルマガ登録
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21世紀の戦争と平和: 徴兵制はなぜ再び必要とされているのか


【私の評価】★★★☆☆(79点)


■よくテレビの討論番組で見る
 国際政治学者の三浦 瑠麗さんが
 徴兵制の必要性を説明する一冊です。


 論文調のため歴史を遡ったり、
 他国の事例を紹介しているため
 読むのがたいへんです。


 結論としては、
 国民が戦争を自分ごととして考えるために
 徴兵制を提案しており、
 徴兵制によって戦争回避の可能性が
 高まるとしています。


・関東軍の独走から戦争が既成事実化・・・徴兵制の存在が軍部の暴走の原因ではない・・・むしろ徴兵制の不平等、つまり一般国民の多くが「自分は戦争に駆り出されることはない」と思い込んでいたことが、シビリアンの冒険主義や軍部の独走を許す一因になったのである。一般国民が本当に平等に徴兵されたといえるのは、太平洋戦争の最後の二年間ほどであった(p123)


■そもそも武器が高度化された
 現代の軍隊において、
 徴兵制は意味はないと断言しています。


 つまり、武器や装備の操作について
 専門の教育を受けた軍人でなければ
 作戦を実施できない。


 そこらの素人が何人集まっても
 戦力にはならないし、
 足手まといになるというのです。


・・2017年5月7日、徴兵制復活を公約とするエマニュエル・マクロンがフランス大統領選に勝利・・
 ・2018年1月1日、スウェーデンが2010年に廃止されていた平時における徴兵制を復活させた(p24)


■そうした中で徴兵制の意味があるとすれば、
 国民が「自分も徴兵されるかもしれない」
 という危機感を持つことです。


 過去の戦争は、自分は戦争に行かないだろう
 と思い込んでいる政治家、国民、マスコミ
 によって推進されてきたのです。


 誰もが徴兵される可能性があれば、
 誰も戦争を求めないだろう
 ということです。


 三浦さん、
 良い本をありがとうございました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・民主国家が行ってきた戦争は、無知から来る異質なものへの敵意、指導者の政治的利益に基づく裁量、国民が我が事として考える想像力の不足、正義を武力で実現することのコストの低下、などの要素が働いた結果として起きた事象である(p256)


・徴兵制のない先進国で民意に支えられた戦争が起きているという事実は、徴兵制の廃止が必ずしも平和に資するものではないことを示している(p76)


・むしろ成熟した民主国家においては、シビリアンこそが攻撃的になり、武力行使に反対する軍人に戦争を強要する事例が多数みられる(p76)


・エラスムスは、君主は開戦の是非について、戦争を楽しいものと思いがちな若者に諮問すべきではなく、慎重で確固とした祖国愛を抱いている年取った人びとを呼んで意見を聞くべきだと助言している。けれども、それは老人たちの世代が大戦争を経験している場合にのみ言えることなのかもしれない(p143)


・軍事研究の立場を取れば、兵士は守るべき国民ではなく戦争の道具であり、平和研究の立場からすれば自ら志願する兵士は理解しがたい異質な存在なのである。このように、現代において相対立する二つの立場は、国民から兵士を分断しようとする一点において奇妙に噛み合っている(p74)


・ローマ帝国の崩壊・・・戦闘部隊は傭兵隊の寄せ集めとなり、豊かな人びとは軍に敬意を払うことを忘れ、彼らを養うことで市民生活の土台が提供されていること自体を忘れていた。負担共有の前提が崩れ、国の一体性が失われれば、結局は力の強い者が力による統治をすることになる(p83)


・国家中心の世界観・・・国家生存のためには常備軍を持つことは避けられないが、国際法を整備し、政府間の相互不信を取り除けば、軍拡競争を抑えることができると考える(p64)


・人民中心の世界観・・・人民の利益を中心にすれば平和が実現できるという考え方で、本来は世界政府の樹立を目指す動きであった。そのために、国家が設けている障害、たとえば移動の自由の制限や、商業取引や好きな職業に従事する権利などの規制は、取り除くべきと考える(p64)


・ヘーゲルは、1821年に出版した「法の哲学」のなかで、カントが言うような国家連合に自らの主権を制限してまで協力する国家の意思を担保することはできず、実現したとしても偶然に頼らざるをえないではないか、と疑問を呈し、さらに国家の連合体は必然的に他のところにその敵を作り出すとして批判した(p66)


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■目次

第1部 共和国による平和
第2部 負担共有の光と影



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