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「新聞の正しい読み方:情報のプロはこう読んでいる!」松林 薫

2019/05/15公開 更新
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新聞の正しい読み方:情報のプロはこう読んでいる!


【私の評価】★★★☆☆(73点)


要約と感想レビュー

■元日経記者が書く新聞の読み方です。


 新聞社も一つの企業組織ですので、
 内部の仕組みを知ることが
 大切なのでしょう。


 新聞社では、記者が記事を書き
 デスクが原稿を直して、
 整理記者が見出しをつけて、
 紙面にします。


 個人の記者が暴走して
 偏向記事を書くことなど
 できない仕組みになっているのです。


・整理部のもう一つの役割は見出しの作成です。実は、紙面に掲載されている見出しは、執筆した取材記者が考えているのではなく、整理記者と呼ばれる人たちが付けているのです(p71)


■驚いたのは、新聞は基本的に
 社説や署名記事以外では
 主張を書いてはいけないという事実です。


 では、どうして不適切な見出しや
 発言の一部を切り取るといった
 歪曲が行われているのでしょうか。


 それは主張を書けないからこそ、
 見出しを操作したり、
 都合の悪いことは報道しなかったり、
 発言の一部を切り取ることで
 読者を誘導しているのでしょう。


 これは個人が操作できるものではなく
 組織的な操作なのです。


・日本の新聞では原則として筆者の主張を書かないことになっています・・・善悪などの価値判断にまで踏み込んだ記事が書けるのは、外部からの寄稿を除くと、「社説」と「署名記事」くらいなのです(p59)


■新聞社といえども、
 普通の民間企業の組織なのだと
 思いました。


 私たちと同じような人が
 組織人として忖度しながら
 仕事をしているのです。


 松林さん、
 良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・取材先に「記者はすでにこの事実を知っている」・・と思わせることができれば、秘密を聞き出すことができるのです。一般的な言葉でいえば「カマをかける」わけです(p105)


・記者の行動原理の第一は、「自分の担当分野で他紙に抜かれないこと」・・・次が「スクープを抜く」、そこまで大きなネタでなくても「独自ネタを書く」(p111)


・新聞とテレビでは媒体は違うのですが、新聞記者とNHKの記者は「抜いた、抜かれた」というゲームのルールを共有しています。おそらくこれは、NHKの記者の数が新聞社並に多いからでしょう(p83)


・現地の情勢を深く分析する必要がある時はクレジットに注目し、「なるべく現地に長く滞在している記者」「現地を直接取材している記者」の論評を選んで読むといいでしょう(p187)


・1990年前後のバブル絶頂期からバブル崩壊にかけての時期の記事を読んでいると・・・今ではバブル崩壊の原因として、大蔵省(当時)による不動産融資の規制や、日銀の性急な利上げが槍玉に挙げられます・・・当時の紙面を見ると、「まだまだ生ぬるい」「早く一般のサラリーマンでもマイホームが買えるレベルまで地価を下げろ」などと、日銀や大蔵省を煽る世論があふれています(p209)


・私たちは「近年、凶悪な少年犯罪が増えた」という印象を持っています。最近は「統計を見ると逆に減っているのだ」という指摘も目にするようになりました・・・むしろ因果関係は逆で、最近は少年犯罪が減って「ニュースとしての希少価値」が上がったからこそ、昔ならすぐに忘れ去られたような事件が、何日も続けて紙面やテレビのワイドショーを振るわすのです(p210)


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【私の評価】★★★☆☆(73点)


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目次

第1章 新聞の構成を知る
第2章 記事の中身を読む
第3章 新聞ができるまで
第4章 新聞記者を理解する
第5章 情報を立体的に読み解く
第6章 ニュースを「流れ」で理解する
第7章 情報リテラシーを鍛える


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