【私の評価】★★★☆☆(72点)
■コンクリートの寿命は
永遠ではありません。
特に、戦後のコンクリート構造物は
海砂が使われていたり、
アルカリ骨材反応への対応ができて
いなかったりして、寿命末期と
なっているものも多いという。
問題なのは、
コンクリートは補強はできるものの、
鉄筋のサビやアルカリ骨材反応による
ひび割れには、取替るしか
抜本的な対策がないことなのです。
・山陽新幹線は、1972年に新大阪~岡山まで開通し、
その後の1975年に博多までの644kmが開通している。
こちらも開通後40年が経とうとしている。
山陽新幹線では、海砂の使用、アルカリシリカ
反応を持つ骨材を使用したコンクリートが
かなりの部分で用いられており・・
待ったなしの状態のはずである(p204)
■著者が恐れるのは韓国のように
ビルや橋やダムが崩壊することです。
日本ではコンクリート構造物の崩壊は
あまり聞きませんが、コンクリートの
一部が剥がれて落下する程度のことは
頻繁に起きているのです。
特にコンクリートは表面からは
ひび割れくらいしか見えませんので、
内部がどの程度劣化しているのか
評価しにくいことから、
対策が後手後手となる恐れがあります。
・アルカリシリカ反応によるコンクリートの
劣化は、1986年の建設省の通達以降大幅に
減少しているものの、その後も「無害でない」
骨材に近い「無害」な骨材を用いてアルカリ
シリカ反応による劣化が起こったという報告があり、
まだまだ予断を許さない状況にある・・・
30年以上経過したからといって、
油断はできないのである(p105)
■著者の提案は、コンクリート技術継承のため
ダムなどのコンクリートを使った
大型プロジェクトを計画的に実施すること。
また、コンクリート診断士のような
資格制度を強化することです。
技術継承しながら人を育て、
合わせてコンクリートの現場技術の
レベルを上げていくことなのでしょう。
未だにアルカリ骨材反応が起きている
との指摘もありますので、
今後も調査していきたいと思います。
溝渕さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・コンクリート構造物の多くがひび割れ、
コンクリート内部の鉄筋が錆びて
ボロボロになりながらも人々の生活を
支えている現実に、ほとんどの人は
気付かないまま日常の生活を送っている(p28)
・ある地下鉄関係者は、戦前につくられたものは、
ジャンカ(コンクリートが雷おこしみたいに
なっている状態)がいたるところにあって、
一見出来の悪いコンクリートのようだが、
調べてみると最近つくられたものよりも
耐久性が優れていて、今のコンクリートは
軟弱であると言われていた(p154)
・予防管理維持・・・
NEXCOでは供用前の新東名拘束道路の橋梁で、
全面に撥水剤を塗布する工事を数億円かけて
行っている(p170)
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
■目次
1 コンクリート構造物に異変
2 コンクリート構造物の寿命
3 腐食する山陽新幹線高架橋
4 コンクリートのがん
5 コンクリートが分解する
6 明るみになった手抜き工事
7 高度成長の負の遺産
8 良質な遺産を残すために
付 分譲マンションへの対策