「ペニシリンはクシャミが生んだ大発見―医学おもしろ物語25話」百島 祐貴

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ペニシリンはクシャミが生んだ大発見―医学おもしろ物語25話 (平凡社新書)

【私の評価】★★★☆☆(77点)


■医学についてのおもしろトピックを集めた
 一冊です。


 特筆すべきは、150年前まで麻酔がなかった。
 日本では1970年代まで注射針を使いまわしていた。
 ピロリ菌が発見されたのが1980年代。


 つまり、医学が発展したのは最近なのです。


 去年が戊辰戦争終結150年でしたので、
 この150年で医学がいかに発展したのか
 感動を憶えます。


・1960年代、予防注射の列に並ぶと、校医の先生が
 一本の注射器、注射針で数人の生徒にまとめて
 注射していたのを良く憶えています・・・
 このような注射針の使い回しによって、
 特にウイルス性肝炎が日本中に広まったのです(p161)


■個人的に面白いと感じたのは、
 細菌による感染症を防ぐために
 清潔、手洗いを提案し、
 死亡率を劇的に低下させた医師が
 批判されたということです。


 1840年代で細菌の存在は知られておらず、
 仮に医師の提案が正しいとすれば
 それまでの医師の無知が証明されてしまう。


 ハンガリー出身の医師ゼンメルヴァイスは、
 ウィーン総合病院から批判されながら、
 故郷に戻ることになったのです。


・ゼンメルヴァイスは、解剖時の遺体に存在する
 「死体毒素」が医学生の手を介して産婦に移行し、
 産褥熱(さんじょくねつ)を起こすのではないかと
 考えました・・ブラシで手をよく擦り、死体臭が
 なくなるまで塩素液で洗う・・死亡率は
 3%にまで低下したのです・・周囲にヤッカミが
 起こります・・・不潔だといって差別して、
 医学生に手を洗えと命じているのだ」などという
 理不尽な批判が飛び交いました(p168)


■現在、バイオ研究が盛り上がっているように
 医学はまだまだ発展するのでは
 ないかと思いました。


 ムダな医療もあると思いますし、
 新しい治療法も出てくるのでしょう。
 遺伝子操作も可能となってきています。


 いい時代に生まれたものです。


 百島さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・日本国内には、約4000代のMRI、1万台のCTが
 稼働しています。人口当たりに換算すると
 MRIは第二位のアメリカの1.5倍、
 CTにいたっては3倍・・・
 頭部のMRIの料金は、日本では1万円以下で・・・
 アメリカでは1000~1500ドル以上、
 つまり10万円以上します(p120)


・1871年の普仏戦争では、フランス軍兵士2万人が
 天然痘で死亡したのに対し、ワクチンを使っていた
 ドイツ軍はほとんど被害がなかったことから、
 その効果が広く認識されました(p136)


・スペイン風邪の正体はインフルエンザでしたが・・・
 五億人以上がかかり、死者は少なく見積もっても
 2000万人、おそらく4000万人以上と推測され、
 第一次世界大戦の戦死者1000万人を遥かに
 上回りました。そして死者の半数以上が 
 20~40歳の若者でした(p175)


・ヘリコバクター・ピロリ菌・・・
 1983年、二人はこの細菌が胃炎や胃潰瘍の
 原因であると学会で発表しました・・・
 胃潰瘍の患者に抗菌薬を投与し、その結果、
 適切に治療すれば80%以上が
 完治することを示しました(p221)


・コッホとパスツールは犬猿の仲・・・
 パスツールはドイツ語を全く解さず、
 コッホはフランス語を多少読めましたが
 話せませんでした(p62)


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【私の評価】★★★☆☆(77点)

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■目次

第1部 診断編
 何でも測らないと気がすまない男―体温測定
 秘めた恋を脈で診断―脈拍測定
 初めて測ったのは牧師―血圧測定
 電話ごっこを見てひらめいた―聴診器
 若旦那の趣味が昂じて―顕微鏡
 細菌学の巨人の大失策―ツベルクリン反応
 人類初体験の透視する見えない光―エックス線(X線)
 深夜の極秘人体実験―心臓カテーテル検査
 二重らせんのダーク・レディ―DNA
 大道芸がヒント―胃カメラ(胃内視鏡)
 ビートルズが支えた最新技術―CT
 ノーベル賞をめぐる大波乱―MRI)
第2部 治療編(毒殺事件を呼ぶ先端治療―輸血
 農婦に教わった予防法―種痘(ワクチンの誕生)
 狂気を呼んだ四人の争い―全身麻酔
 失われた処方を求めて―麻酔薬・通仙散
 物理学を超えた町工場のオヤジさん―注射器
 次々に産婦が死んでいく謎の病棟―消毒法
 風邪ひきイタチに助けられ―インフルエンザ・ワクチン
 クシャミが生んだ大発見―ペニシリン(抗生物質)
 亡き患者への想いを胸に―人工心肺
 靴墨の缶で作った命の機械―心臓ペースメーカー
 一万回のセックスを観察―セックス・カウンセリング
 病原菌を飲んで自説を証明―胃潰瘍の治療(ピロリ菌の発見)



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