「ペニシリンはクシャミが生んだ大発見―医学おもしろ物語25話」百島 祐貴
2019/04/25公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
■医学についてのおもしろトピックを集めた
一冊です。
特筆すべきは、150年前まで麻酔がなかった。
日本では1970年代まで注射針を使いまわしていた。
ピロリ菌が発見されたのが1980年代。
つまり、医学が発展したのは最近なのです。
去年が戊辰戦争終結150年でしたので、
この150年で医学がいかに発展したのか
感動を憶えます。
・1960年代、予防注射の列に並ぶと、校医の先生が
一本の注射器、注射針で数人の生徒にまとめて
注射していたのを良く憶えています・・・
このような注射針の使い回しによって、
特にウイルス性肝炎が日本中に広まったのです(p161)
■個人的に面白いと感じたのは、
細菌による感染症を防ぐために
清潔、手洗いを提案し、
死亡率を劇的に低下させた医師が
批判されたということです。
1840年代で細菌の存在は知られておらず、
仮に医師の提案が正しいとすれば
それまでの医師の無知が証明されてしまう。
ハンガリー出身の医師ゼンメルヴァイスは、
ウィーン総合病院から批判されながら、
故郷に戻ることになったのです。
・ゼンメルヴァイスは、解剖時の遺体に存在する
「死体毒素」が医学生の手を介して産婦に移行し、
産褥熱(さんじょくねつ)を起こすのではないかと
考えました・・ブラシで手をよく擦り、死体臭が
なくなるまで塩素液で洗う・・死亡率は
3%にまで低下したのです・・周囲にヤッカミが
起こります・・・不潔だといって差別して、
医学生に手を洗えと命じているのだ」などという
理不尽な批判が飛び交いました(p168)
■現在、バイオ研究が盛り上がっているように
医学はまだまだ発展するのでは
ないかと思いました。
ムダな医療もあると思いますし、
新しい治療法も出てくるのでしょう。
遺伝子操作も可能となってきています。
いい時代に生まれたものです。
百島さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・日本国内には、約4000代のMRI、1万台のCTが
稼働しています。人口当たりに換算すると
MRIは第二位のアメリカの1.5倍、
CTにいたっては3倍・・・
頭部のMRIの料金は、日本では1万円以下で・・・
アメリカでは1000~1500ドル以上、
つまり10万円以上します(p120)
・1871年の普仏戦争では、フランス軍兵士2万人が
天然痘で死亡したのに対し、ワクチンを使っていた
ドイツ軍はほとんど被害がなかったことから、
その効果が広く認識されました(p136)
・スペイン風邪の正体はインフルエンザでしたが・・・
五億人以上がかかり、死者は少なく見積もっても
2000万人、おそらく4000万人以上と推測され、
第一次世界大戦の戦死者1000万人を遥かに
上回りました。そして死者の半数以上が
20~40歳の若者でした(p175)
・ヘリコバクター・ピロリ菌・・・
1983年、二人はこの細菌が胃炎や胃潰瘍の
原因であると学会で発表しました・・・
胃潰瘍の患者に抗菌薬を投与し、その結果、
適切に治療すれば80%以上が
完治することを示しました(p221)
・コッホとパスツールは犬猿の仲・・・
パスツールはドイツ語を全く解さず、
コッホはフランス語を多少読めましたが
話せませんでした(p62)
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
■目次
第1部 診断編
何でも測らないと気がすまない男―体温測定
秘めた恋を脈で診断―脈拍測定
初めて測ったのは牧師―血圧測定
電話ごっこを見てひらめいた―聴診器
若旦那の趣味が昂じて―顕微鏡
細菌学の巨人の大失策―ツベルクリン反応
人類初体験の透視する見えない光―エックス線(X線)
深夜の極秘人体実験―心臓カテーテル検査
二重らせんのダーク・レディ―DNA
大道芸がヒント―胃カメラ(胃内視鏡)
ビートルズが支えた最新技術―CT
ノーベル賞をめぐる大波乱―MRI)
第2部 治療編(毒殺事件を呼ぶ先端治療―輸血
農婦に教わった予防法―種痘(ワクチンの誕生)
狂気を呼んだ四人の争い―全身麻酔
失われた処方を求めて―麻酔薬・通仙散
物理学を超えた町工場のオヤジさん―注射器
次々に産婦が死んでいく謎の病棟―消毒法
風邪ひきイタチに助けられ―インフルエンザ・ワクチン
クシャミが生んだ大発見―ペニシリン(抗生物質)
亡き患者への想いを胸に―人工心肺
靴墨の缶で作った命の機械―心臓ペースメーカー
一万回のセックスを観察―セックス・カウンセリング
病原菌を飲んで自説を証明―胃潰瘍の治療(ピロリ菌の発見)