「アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ」ジョー マーチャント

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アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ (文春文庫)

【私の評価】★★★☆☆(79点)


■1901年ギリシアの沖合から
 アンティキテラの機械と呼ばれる
 青銅の機械が発見されました。


 機械には4本のスポークを持った歯車と
 さらに小さな歯車が見られ、
 小さな文字が刻まれた板もあり
 時計のようなものと考えられました。


 しかし、時計ではありえないのです。
 この船は2000年も前に沈んだものと
 考えられたからです。


・角張った形と丸みをおびた把手から、
 アンティキテラの壺の大半は
 ロードス島産と思われた。
 そして作りがやや粗雑であることから、
 年代は紀元前一世・・
 アンティキテラの壺の中には、
 把手が(二連式散弾銃のように)二連式に
 なっているものもいくつかあった。
 これはコス島で作られた壺と考えられた(p81)


■アンティキテラの機械発見から
 半世紀後にイギリスの若い学者
 プライスがこの機械に注目します。


 X線写真撮影機で
 アンティキテラの機械を撮影し、
 その構造を読み解いたのです。


 1976年、プライスはこの機械が
 差動歯車を持った月と太陽の動きを
 計算するものと発表しました。


・差動歯車・・この仕組みが最初に利用されたのは
 ヨーロッパで、ルネサンス期の天文時計の
 天体を動かすために使われたが、その後
 このアイディアが紡績に採用された(p103)


■さらにその後、ブロムリーとライトが
 アンティキテラの機械を
 X線断層撮影してさらに精密に
 解析しました。


 21世紀に入るとフロイトがCT撮影と
 最新のコンピュータグラフィックを用いた
 解析が行われ、2006年に機械の構造は
 ほぼ解明されたのです。


 研究者の間には、
 発見者としての名誉をかけた
 研究の主導権争いがあることが
 よくわかりました。


 マーチャントさん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・銅が海中に沈むと・・・
 塩化銅が作り出される・・・
 そして錫も酸素イオンに反応して、
 酸化錫を作り出す・・
 この新たな化合物が海中に沈むと
 ブロンズの表面に錫層を形成し、
 その層がそれ以上の腐食を
 防いでくれるのだ(p42)


・道具に歯車を使った最初のギリシア人は、
 紀元前三世紀の最も有名な二人の発明者、
 クテシビオスとアルキメデスである・・・
 ヴィトルヴィウスは、クテシビオスが
 水時計を作ったと書いている。
 水に浮かんだ浮きが、水位が上がるとともに
 上昇し、「台と歯車」の働きで、
 一時間ごとに針を動かす装置である(p47)


・ブロンズの硬貨も数枚まじっていた・・・
 エフェソスの硬貨だった・・
 銀貨よりやや時代が下がり、
 紀元前70年から60年のあいだに
 発行されていた(p87)


・紀元1000年頃に・・アル・ビルニが"月の箱"
 と名づけた歯車つきの暦のことが書かれていた。
 その箱はアストロラーベの裏側にとりつけるもので、
 中に8個の歯車があり、天球上の太陽と月の位置、
 および月の位相が計算できた(p145)


・機械が歯車を使ってたんなる天体の円運動だけでなく
 楕円運動も、さらには軌道面の変化までも
 模倣していた証拠を手に入れたのだ。
 これほどのものを設計し実現するには、
 驚異的な能力が必要だ(p237)


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【私の評価】★★★☆☆(79点)

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■目次

1 海底より現れしもの
2 ありえない
3 「戦利品」
4 科学史は塗りかえられた
5 大胆な推理
6 十九世紀のコンピュータがふたりを結びつけた
7 すべては解読の名誉のために
8 最強の布陣
9 みごとな設計
10 アルキメデスの影



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